おこさま人生相談室 第71回-小林エリカ

おとなのお悩み

話しかけたら、その人がお友達になろうと言います。でもその人と一緒にいても私はあまり楽しくありません。

今回、人生相談にお答えいただくおこさまは、今さん7歳です。
マンガや本を読みだすと集中力を発揮します。夏休みに図書室から自分で選んで学校から借りてきた本は、野坂昭如の『火垂るの墓』野坂昭如著(徳間アニメ絵本)と『語りつごう アジア・太平洋戦争 日本の憲法 平和への願いをこめて』和歌森太郎編(岩崎書店)と『手ことば手話の本』監修井崎哲也・絵・冬野いちこ(あすなろ書房)。最近は「アンネの日記」のアンネ・フランクに関心があるのだそう。
体操とスイミングを習っていて、とくに体操が得意です。
お友だちの、ちかげさん(→第70回参照)チセさんと一緒に「ICK(いちか)」というグループを結成。今さんの担当は、ダンスです。

おこさま紹介
お名前:今
年齢:7歳
生まれた場所:東京都
住んでいる場所: 東京都
好きな食べ物:みかん
嫌いな食べ物: きのこ
これまでの人生で楽しかったこと:学校の入学式かな
これまでの人生で哀しかったこと: 友だちの家でソファからえいってでたときに手をグキってやってそれがすごい痛かったから一番やだった
得意なこと: 体操です 好きだといえば跳び箱
苦手なこと: プール 水に顔をつけることはもうできるんだけれど10秒もぐれないから
好きなこと: 友だちの家に行くこと
未来の夢: 将来なりたいものは科学者 さいきんコロナとか流行ってるでしょ? それを解決する道具とかつくりたいなと思って

おこさまをよく知る人からのご紹介のことば:
どういうたべものが好きかなぁ、わかんないなあ。
今ちゃんは、いつもやさしい子で、いつもあそんでくれて、ともだちのこともかんがえてやってくれてて、すっごくうれしくって。
あとは、今ちゃんのいつもの髪がた(ポニーテール)より、きょうの髪がた(うしろ髪をハーフアップ)がいちばん好きだった。
(「ICK(いちか)」メンバーちかげさんより)

さて、今回のおとなのお悩みは?
Q
一緒にいると楽しくてお友達になりたい人と、一緒にいても楽しくなくてお友達にはならなくても良い人がいます。
淋しそうで困っている人がいたので、話しかけたら、その人がお友だちになろうと言います。でもその人と一緒にいても私はあまり楽しくありません。なぜならその人は自分の不安な気持ちの話ばかりするからです。
困っている人に何かできることをしたい気持ちと、一緒にいても楽しくない人とお友だちになりたくない気持ちと両方あります。どうしたら良いでしょうか?(とんみさん 30代 東京在住)

(今さん、以下I)

I そうねぇ。そういうときは自分で、そんなに嫌なこといわないで、楽しいこといおうよって、いったらどうかな。

──まずはお友だちにもっと楽しい話をしてほしいと伝えてみるのですね。

I いったらさ、そっちのあいてもさ、わかってくれるかもしれないしさ。

──確かに、本人は不安ばかりを話してしまっていることに、気づいていないのかもしれないです。

I もしケンカして、友だちやめちゃってもさ、ごめんねっていったら、また仲直りして、友だちになれる。

──気持ちを伝えてケンカになってしまっても、おたがいにちゃんとごめんねが言えれば、また友だちになれる、ということですね。

I それで嫌なこといわれつづけても………それどこの友だちなのかな?

──どこの友だちでしょうか。とんみさんは30代ということです。

I じゃあ、もし、会社とかの友だちだったら………友だちになりたくないような気もするんでしょ?

──そうですね。その人に何かしてあげたい気持ちと、お友だちになりたくない気持ちの両方があるようです。

I 嫌なときだけ、ちょっとだけ離れとけばいいんじゃない?また会いたくなったら、また会ってさ。

──なるほど。ちなみに、今さんは、お友だちと一緒にいると、いつも楽しいですか?

I あの、学童でわたしはユノちゃんという友だちといっしょに、おままごととかシルバニアを、ふたりだけでやりたい、っていう気持ちがあるんだけど。でもときどき、学校の友だちが、一緒にあそぼってはいってくるんだけど、わたし、それに断れなくて。それでいっしょにあそんじゃって、ちょっとやな思いしたりする。

──ふたりだけで遊びたいのに、他のお友だちに遊ぼうといわれて断れず、嫌な気持ちになってしまった。そんなとき、今さんはどうするのですか?

I わたしは、いつもそうだったけど、おかあさんに相談したのね。そしたらね、自分の気持をはっきりいっていいんだよって、おかあさんがいったの。そしてね、わたし、ユノちゃんとまたあそびたくなって、そのときだけは(学校の友だちが一緒にあそぼっていっても)断れたから。
だから、だれかに聞くといいよ。

──今さんは、そのとき、どうやって断わる勇気をだせたのですか?

I わたしは勇気ださないで、ただ口がかってに動いて言葉がかってにでてきただけなので、勇気をだしたことでもありません。

──口がかってに動いて言葉がかってにでてくる。

I いつも喋りっぱなしだから、いつもかってに言葉がでてくるから。他の人にはでてくるかはわかりません。

──なるほど。ひとまずは、だれかに相談をするのがよさそうです。

I いま(この「おこさま人生相談室」)みたいに。遠くの国の人でも、どこでもいいから、友だちに相談したらどうかな。
その人が会社にいるなら、会社の友だち、友だちじゃなくても、会社の近くの人に聞いてみたら?

──相談してみると、言葉もかってにでてくるようになるかもしれないです。

I たとえば、それでもみんなが答えてくれなかったりしたら、その人と一緒に楽しいとこいって楽しい思い出つくれば、その人と一緒にいるとき楽しくなれるかなって、思う。

── 一緒にいても楽しくないなら、一緒に楽しい思い出をつくりだせば、楽しくなれる、ということですね。

I その人といるときさ、何回か一緒に楽しいところ行ったりすれば──たとえば、遊園地とか、一緒に鎌倉いったり──そうやってやったら、一緒に楽しい思い出できるじゃない?

──ところで、どうしても一緒にいたくない人とは、友だちにならなくていいでしょうか?

I それはさっきいったみたいにだれかにきいて「ならなくてもいいんじゃない?」っていわれたりするじゃない?
わたし、でも、友だちにせっかくなったんだし、楽しい思い出つくって友だちやめるほうがいいかな、と思う。

──友だちをやめるにしても、楽しい思い出をつくってからの方がいい、ということですね。

I その子とどこでもいいから、ふたりが好きな場所で写真とって、ふたりの部屋に飾っとけば、そんなかんじで思い出せると思う。

──ところで、友だちをやめるときはどうやってやめるのでしょうか?

I そうねぇ。やめるときねぇ。
友だちやめる人なんてめったにいないからね。

──はい。

I そうだなぁ、まあ、わたしだったら「友だちやめてもいい?」とか聞いて、あいてが「いいよ」とかいったら友だちやめるけど。
「えー」とかいわれたら、そのまま友だちでいて、いい思い出つくったり、そういうことする。

(今さんによる処方箋画)

ふたりでパチンコしにいって、パチンコのところのまえで写真とって、(右がとんみさん)家にかえって写真をかざる。

とんみさん、いかがでしたか?
嫌なときだけ、ちょっとだけ離れたり、また会いたくなったら、また会うようにするのがいいそうです。
あとはこんなふうにまわりの人にも相談してみて。
友だちをやめるにしても、まずは、その人と一緒、楽しいところへいって、楽しい思い出をつくってみてください。
というわけで、今回の、おこさまからの箴言。

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絵・取材・文
小林エリカ

近著はシャーロック・ホームズ翻訳家の父の生と死を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)。他の著書には小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社、第7回鉄犬ヘテロトビア文学賞受賞)や『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)、コミック『光の子ども』1〜3巻(リトルモア)など。