おこさま人生相談室 第53回-小林エリカ
おとなのお悩み
彼氏の性格は好きなんだけど、顔が好きになれません。
今回、人生相談にお答えいただくおこさまは、アコさん(10歳)とソウタさん(5歳)の姉弟です。アコさんは少しでも姿勢を良くしようと近くの教会で始めたゴスペルで「Souled Out」の歌を練習中。夢はマンガ家です。ソウタさんのお気に入りは恐竜のフィギュアを並べて肉食と草食に分類すること。夢は恐竜ケツァルコアトルスになること。
おこさま紹介
お名前:アコ
年齢:10歳
生まれた場所:東京
住んでいる場所:横浜
好きな食べ物:おさしみ、とくにビントロ
嫌いな食べ物:コーン
これまでの人生で楽しかったこと:お誕生日におばあちゃんたちと「味楽亭」行ってプレゼントにはiPadペンシルもらった
これまでの人生で哀しかったこと:お父さんとお母さんがけんかしたこと
得意なこと:絵を描くこと
苦手なこと:ボールを使った運動
好きなこと:絵を描くこと
未来の夢:マンガ家になること
おこさまをよく知る人からのご紹介のことば:
あこは私の可愛い思いやりのある孫娘です。鉛筆と紙があればいつまでも絵を描きたまにストーリーをつけて描いています。見たこと思ったことをそのまま描くことは私にはむずかしい事ですが、素直に描けるあこは素晴らしい!(ばあばより)
お名前:ソウタ
年齢:5歳
生まれた場所:横浜
住んでいる場所:東京
好きな食べ物:りんご
嫌いな食べ物:きのこ
これまでの人生で楽しかったこと:‥‥
これまでの人生で哀しかったこと:わかんない
得意なこと:‥‥
苦手なこと:‥‥
好きなこと:もんだいです!ヴェロキラプトル、ヘレラサウルス、スーパーサウルス、モササウルス、スチラコサウルス、どれでしょう。
未来の夢:恐竜になる。シルバー ティラノサウルスの夢をみたことがある。ケツァルコアトルスになりたい。
おこさまをよく知る人からのご紹介のことば:
そうたのきょうりゅう好きははんぱない。たていたに水が流れるように名前があふれだす。うんうんと聞いていて、おぼえているのはなんとかザウルスだったかな。そんなそうたが夏のあるひにバッタ好きになった。三浦の金田の草ムラにいるバッタをつかまえに金田に行きたいという。草ムラでつかまえたバッタをすぐに見せてくれた。そうたのゆびにはさまれているバッタはきょうりゅうににていた。バッタを手にそうたは、どくのある生物のはなしをはじめた。
こんちゅうや動物、魚、ふーんとかんしんした。みるものきくもの全部おぼえちゃうんだね。えらいえらい、じいじはみてもきいても半分ぐらいは、じょうはつしちゃうんだね。そうたは、きっとえらくなるぞって、たのしみだよ。(じいじより)
(アコさん以下A、ソウタさん以下S)
さて、今回のおとなのお悩みは?
Q 彼氏の性格は好きなんだけど、顔が好きになれません。
(フルーツサンドさん 37歳 東京在住)
A えぇ・・・・。
──ソウタさんはいかがですか?
S ・・・・。
──ちなみにソウタさんは恐竜のどんなところが好きなのですか?
S かお。
──顔、ですか。顔のどんなところが好きなのでしょうか。
S め。
──具体的ですね。どんな恐竜の目を好きになったことがきっかけだったのでしょうか。
S こいつ(ヴェロキラプトル)。
──なるほど。顔は好きだけれど、性格は好きになれない、という恐竜もいるのでしょうか。
S (無言)
A 性格とか関係ない。食うか食われるか。弱肉強食だから。
S もりとなりけものとなる。
──森となり獣となる。アコさんはいかがですか?
A えぇ・・・・と、その人と一緒にいて楽しいんだったら、顔とかどうでもいいと思う。
──一緒にいて楽しいかどうかが重要だということですね。
A なんか顔よくても性格悪いんじゃ、なんか一緒にいても楽しい気分にはなれないと思う。
──たしかに。もしかすると、フルーツサンドさんは、彼氏の顔が好きになれないことを悩んでいるのかもしれないですね。
A えぇ・・・・わかんないけど、なんかずっと一緒にいたら、そういうの忘れちゃうんじゃないかな。
──無理に顔を好きになろうとしなくても、そもそも顔のことなど忘れてしまう、ということでしょうか。
A なんていうんだろ、一緒にいてすごいいい人だなって思う人は、ずっと一緒にいると、顔よりも性格がいいっていうのが勝っちゃうっていうか。だから顔のこと忘れちゃうんじゃないかな。最初はちょっとあれかもしれないけど。
──なるほど。ずっと一緒にいると、その境地に達せられるということですね。
A わかんないけど、顔が嫌だからってすぐに別れちゃったら、そのままになっちゃうかな、って思う。
フルーツサンドさん、いかがでしたか? 顔が好きになれないからといって、すぐに別れたりしないほうがよいそうです。ずっといっしょにいると、顔よりも性格のほうが勝ってくるそう。というわけで、今回の、おこさまからの箴言。
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お悩みを随時お待ちしています。おこさまに相談したい方はぜひ、ペンネー ムと年齢、お住まいの都道府県を記入のうえ、こちらまでお悩みをお送りください。
小林エリカ
作家・マンガ家。著書に小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社、第7回鉄犬ヘテロトビア文学賞受賞)や『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)、コミック『光の子ども』1〜3巻(リトルモア)などがある。