おこさま人生相談室 第32回-小林エリカ

おとなのお悩み

いつもまんぞくができなくて、あきっぽくて、ちゅうとはんぱ。

今回、人生相談にお答えいただくおこさまは、イッシュウさん、7歳です。自然が好きで、自然が何からできているかを考えたら、それが植物だと気づいてから、植物が好きになったそう。ちなみに、好きな植物は、カタクリ。可愛いし、食べ物にもなるし、なんかきれいだから。
近頃は、プレゼントで貰ったエアエンジンカーを製作中です。

おこさま紹介

お名前: イッシュウさん
年齢: 7歳
生まれた場所: つくば
住んでいる場所: 東京
好きな食べ物: まあなんでもすきだから お肉!あの脂肪のとこプリプリしてるから
嫌いな食べ物: たまご
これまでの人生で楽しかったこと: ヨーロッパに行ったこと(フランス、イタリア、ドイツ、スイス、フィンランド、オランダ)
これまでの人生で哀しかったこと: あんまりおぼえてないなあ
得意なこと: 図鑑を読むこと あとはものを作ったりすること
苦手なこと: 靴下履いてなかったり
好きなこと: 図鑑を読むこと つくること スポーツ 考えるのも好き(特に難しいことを)
将来の夢: 植物博士!!!!!

おこさまをよく知る人からのご紹介のことば:
一柊くんは動物・植物・食物が大好き。動物は何でも触りたい、植物は手に取って確認したい、食物は自身で野菜を育てたり、土筆や鮎を沢山取って、ヒゲや頭を最後までがんばってとり、料理したものは少し食べて、ママに沢山お土産を持って帰る優しい孫です。
(祖母の末子さんより)


イッシュウさんが描いてくれた絵 傘の漢字を分析

(イッシュウさん、以下I)

さて、今回のおとなのお悩みは?

いつもまんぞくができなくて、あきっぽくて、ちゅうとはんぱ。なにかをきわめたいってわけじゃないけど、じぶんにじしんをもちたい。こどもにもっと、やさしくせっしたい。どうしたらよいですか。(さわさん 42歳 東京都在住)

I じゃあねえ。まず、すぐあきちゃうんでしょ?
たのしいっておもうものを、じぶんでみつけりゃいいんじゃない?

──さわさんは、自分に自信をもちたい、とも思っているようですね。

I とにかくじぶんはできるんだ!って思ってればいいんじゃない?

──もしかすると、たのしいって思えるものを見つけることも、じぶんはできるんだ!って思うことも、さわさんにとっては難しいことなのかもしれないですね。イッシュウさんは自分に自信はありますか?

I ないときと、あるときがある。

──自信がないときはどうしていますか?

I ないときは、無理やりやるか、やんないか。

──どういうときに、自信があると思えるのですか?

I なんかつくるとき。

──イッシュウさんはものをつくるのが、たのしく、得意なのでしたね。

I だって、なんかさ、自分はできるんだー!!って。

──どうしたらたのしいって思えるものを見つけることができるでしょうか?

I じぶんで探せばいいんじゃない?
それか、たのしいって思うものを、じぶんで作ればいいんじゃない?

──なるほど、たのしいって思うものを作る。どうやって作るのでしょうか?

I じゃあさあ、そのアイディアと、そのアイディアを、つなげたら?
たとえば、じぶんでつくって、あ~これはダメだ~って、もういっこも、これはダメだ~ってなっても、それとそれをどっちも改造してくっつけたら、もっといいものになるんじゃない?

──つまり、まんぞくできないものや、あきてしまったもの、ひとつひとつはダメでも、そのふたつを合体させてみたら、たのしいって思えるかもしれない、ということですね。

I アイディアをいっぱい重ねたら、すごいものになる!

──まんぞくできないものや、あきてしまったものも、やめずに続けてみる。そうして、そのアイディアをきちんと積み重ねてゆけば、すごいものができる、ということですね。

I そう。どんどん重ねていけばいいんじゃない?

──ところで、さわさんは、こどもにやさしくせっしたい、とも思っているようです。

I うーん、ママはね、じぶんが疲れてると、なんでか怒るんだよー。

──さわさんも、ひょっとしたら、疲れているのかもしれないですね。
どうしたら、疲れをなくすことができるでしょうか?

I 自分が自由にしてれば(疲れが)とれんじゃない?

──自由に?つまり好きなことやたのしいって思えることをしていれば、よいということでしょうか。

I うーん、わかんない。だって、イッシュウくん、おとなじゃないし。疲れないから、わかんない。

──では、最後に、さわさんに何かお伝えしたいことはありますか?

I 大丈夫。大丈夫だから。

──大丈夫?

I そう言われたら、自分は大丈夫なんだって、思えるでしょ?
大丈夫って、自信を持てるから。
自信があってできないのは、ないもん。絶対に。

──自分は大丈夫なんだって思えたら、自信も持てるということですね。

I できないときに、ちょっとさ、もうヤダっていうのあるけど、できないことをかさねるから、できるようになる。


(イッシュウさんによる処方箋画)
失敗しても、作ったものを重ねて、どんどん重ねればいい、そうすればいつか、いいものができるよ。作ったものを一回でゴミ箱に入れて、もうできないっていうのは、地球にも悪いし。

さわさん、いかがでしたか?
大丈夫。自分は大丈夫なんだって、思いましょう。
イッシュウさんが、そう言ってくれているので、大丈夫です。
まんぞくできなかったり、あきてしまったり、失敗したり、うまくいかないことが続いても、それをどんどん重ねていけば、よいそうです。
自分に自信を持てて、疲れもとれて、こどもにもやさしくせっすることができるようになるといいですね。
というわけで、今回の、おこさまからの箴言。


大丈夫

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お悩みを随時お待ちしています。おこさまに相談したい方はぜひ、ペンネームと年齢、お住まいの都道府県を記入のうえ、こちらまでお悩みをお送りください。

絵・取材・文
小林エリカ

作家・マンガ家。新刊はシャーロック・ホームズ翻訳家の父の生と死を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)。
著書には小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社、第7回鉄犬ヘテロトビア文学賞受賞)や『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)、コミック『光の子ども』1~3巻(リトルモア)などがある。