LIBRARY新しいファミリー映画2022.05.19

新しいファミリー映画 Vol.10 —山崎まどか

家族のカタチが多様になってきた近年、家族で楽しむファミリー映画もファミリーを描く家族映画も、いろいろで面白い。そんな“新しいファミリー映画”を、コラムニストの山崎まどかさんがピックアップしてご紹介します。

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』

80年代、ニューヨークの街を跋扈するゴーストたちを相手に大活躍を繰り広げて、観客を楽しませてくれた「ゴーストバスターズ」シリーズ。2016年には女性のゴーストバスターズが主人公のリブート版が公開されて、これもとても面白い作品でしたが、今回の『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、オリジナルの「ゴーストバスターズ」の世界観を踏襲して、更にそれをファミリー映画として作り直したことに意味があります。

主人公となるのは、オリジナル版でハロルド・ライミスが演じたイゴン・スペンクラー博士の娘とその孫たち。仲間と共にゴーストバスターズの活動に打ち込み、その後もどうやらゴーストたちと戦っていたスペンクラー博士は家族と疎遠でした。シングルマザーとなったスペンクラー博士の娘キャリーは人生が上手くいかず、アパートを追い立てられて、父親から相続したオクラホマ州の小さな町の家に越してきますが、そこは荒れ果てた農園。奇妙な装置が色々とあるその家で暮らしていた博士は生前、町の人から疎まれていたようです。彼の娘キャリーにとって家の中にあるガジェットは、自分を捨てた父親の苦い思い出にまつわる品に過ぎません。しかし、彼女の娘フィービーは違います。科学オタクでちょっと変わり者の少女である彼女は、自分の祖父が“ゴーストバスターズ”の一員だと知って興味津々。しかも彼は、この町に頻発する地震の謎について何かを知っていた様子です。

フィービーを演じるマッケンナ・グレイスはまつ毛の長い美少女ですが、メガネをかけてゴーストバスターズの装置を操る姿が、時に往年のハロルド・ライミスそっくりで驚きます。自分の居場所がなかった少女が、断絶していた家族の歴史を知って亡き祖父とつながり、ゴーストバスターとしての自分を見出していく過程が泣けます。ゴーストとの戦いによって、失われた家族の絆がまた結ばれていくのです。この映画を作ったのは、オリジナルの「ゴーストバスターズ」シリーズの監督、アイヴァン・ライトマンの息子であるジェイソン・ライトマン。共に映画監督になった二人の強い結びつきを感じる作品です。父ライトマンはこの映画の撮影中、ずっと息子の隣にいて撮影現場を見守り、映画の公開を待って天国に旅立ちました。

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』
疎遠だった父が亡くなり、彼が遺した田舎の古い農園に引っ越すことになった娘のキャリーと彼女の子どもたち、トレヴァー(兄)とフィービー(妹)。この街では原因不明の地震が頻発していた。ある日フィービーは地下研究室でハイテク装備の数々を発見し、サイエンス好きな自分と祖父とのつながりを見出しながら、祖父がかつてニューヨークを救ったゴーストバスターズの一員だったことを知る。一方トレヴァーは納屋で「ECTO-1」と描かれたキャデラックを見つける。そんなか、フィービーは床下にあった装置「ゴーストトラップ」を誤って開封してしまう。すると不気味な緑色の光が解き放たれ、さらなる異変が街を襲いはじめる。
監督・脚本:ジェイソン・ライトマン
出演:マッケナ・グレイス、フィン・ウルフハード、キャリー・クーンほか
デジタル配信中
ブルーレイ&DVD&UHD 5月25日発売(ブルーレイ&DVDセット 5,280円/日本限定スチールブック仕様4K ULTRA HD & ブルーレイセット【初回生産限定】 8,580円)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

コラムニスト
山崎まどか

15歳の時に帰国子女としての経験を綴った『ビバ! 私はメキシコの転校生』で文筆家としてデビュー。女子文化全般/アメリカのユース・カルチャーをテーマに様々な分野についてのコラムを執筆。著書に『ランジェリー・イン・シネマ』(blueprint)『映画の感傷』(DU BOOKS)『真似のできない女たち ——21人の最低で最高の人生』(筑摩書房)、翻訳書に『ありがちな女じゃない』(レナ・ダナム著、河出書房新社)『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』(サリー・ルーニー、早川書房)等。

Text: Madoka Yamasaki
Illustration: Naoki Ando

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