Lifestyle magazine
for modern family

Lifestyle magazine
for modern family

DATE 2018.12.27

森を守り、人を癒す「ヒノキ」がもたらしてくれるもの。〈ようび〉の信念 ―ていねいな買い物教室

モノが生み出される過程に目を向け、モノの背景にあるストーリーに思いを寄せて、モノを買う。それを「ていねいな買い物」と名付け、長期にわたって学びの機会を提供する教育プログラム「ていねいな買い物教室」が、伊勢丹新宿店が展開する学びのプロジェクト〈cocoiku〉、岡山県の家具メーカー〈ようび〉、そして〈MilK JAPON〉の三社合同企画としてスタートしている。

 

森で学び、木を知り、自分たちの手で家具を作る。このプログラムの鍵とも言える、森と木のこと、そして森と木を守るべく国産の「ヒノキ」を使って家具を作り続けている〈ようび〉の信念と、このプロジェクトで体験できることとは。

 

※〈cocoiku〉会田大也 ×〈ようび〉大島正幸 ×〈MilK JAPON〉編集長・星本和容による鼎談(前・後編)

なぜ「ヒノキ」を使うのか?

家具メーカー〈ようび〉があるのは、岡山県西粟倉村。人口は約1,600人、そして村の面積の95%が森林という小さな、そして大自然に抱かれた場所だ。〈ようび〉は、国産の「ヒノキ」にこだわり、家具を制作している。なぜ、「ヒノキ」なのか。それは〈ようび〉が「日本の家具を変えたい」という信念を持っているからにほかならない。

 

「ヒノキ」は高級木材で、歴史的に神社仏閣などに使用され、一般の建物にはなかなか利用されてこなかった。さらに、輸入材との対抗や住宅事情の変化などで、過剰供給気味となり、値崩れがおき、森林所有者の意欲が低下。さらに高齢化も進んで森は手入れ不行き届きの状態に陥ってしまった。そんな森を守り、ひいては子どもたちの未来を守りたいと、「ヒノキ」にスポットライトを当てるべく、〈ようび〉は「ヒノキ」の家具を作り始めた。伝統的で、日本らしい「ヒノキ」をもう一度表舞台に。それは、大きな挑戦だった。

「ヒノキ」の家具が森を守る

実は「ヒノキ」は世界の中で日本と台湾にしか生息していないということをご存知だろうか?数多くの神社仏閣に優先的に使用され、今もなおそれらの建物が当時のまま維持されていることからもわかるように、「ヒノキ」は耐久性や保存性に優れた木材。

 

しかしながら、安い家具を大量生産する時代の流れの中、輸入材が多用され、日本の森は荒れ放題になってしまっていたのが実情。そんな中、〈ようび〉は荒れた森を間伐して得られる「ヒノキ」を使って付加価値のある家具を作ることで、森を守る活動を可能にする経済的な循環を生み出そうと考えた。

 

価値の高い木材である「ヒノキ」を〈ようび〉のノウハウやデザイン力、職人の技で、世界に誇れる家具に。それが広く流通することで利益が生まれ、木こりや森林所有者の生活が成り立ち、豊かな森の存続につながる。かつては考えられなかったが、最近では「水を買う」ことが当たり前になっている。それと同じように、将来的に「空気を買う」という時代が来てもおかしくはない。美しい水も、空気も森がもたらしてくれるものだということを考えると、森を守ることがどれだけ重要なことなのかがわかるだろう。

親子で家ではできない体験を

「ていねいな買い物教室」では、2019年2月9日(土)、10日(日)、11日(月・祝)に学習机とファーストチェアを作るワークショップを開催予定。学習机は5歳以上、ファーストチェアは3歳以上の子どもが保護者と一緒に参加でき、親子で協力してひとつのものを作り上げる。

 

ノコギリで板を切り、ドリルで穴を空け、カンナで面を取ったり、やすりでピカピカになるまで磨いたり、トンカチを使って刻印を打ったり。完成までの多くの工程を自身の手で行うので、その道のりは長いが、そこにこそ、ものづくりの楽しさがある。ノコギリで木を切る工程は、刃を当てる角度や、柄の引き方などコツさえつかめばほとんど力がいらないので、3歳の子どもでも難なくやることができる。「できないだろう」とか「危ないから」という理由で子どもから遠ざけてしまいがちな作業も、親が丁寧に見守り、やらせてみることで、子どもにとってはかけがえのない経験になる。親にとっては子どもの成長を間近で感じられる貴重な機会になるはずだ。

本物の技で素材を生かしたものづくり

素材の良さはもちろん、とことん使いやすさやデザイン性にこだわっている〈ようび〉の家具作りのノウハウも体感できるのがこのワークショップの魅力の一つ。プロの技を近くで見て、教わって、実際にやってみる。そして、一生使えるモノが完成すれば、その体験と成果物が丸ごと宝物になるだろう。

 

制作する学習机は、基本の大きさは横幅120cm×奥行65cm×高さ72cmで、二段の引き出しが付いている。何歳になっても使うことができ、大人が書斎に置いて使っても良いシンプルなデザイン。ヒノキは耐久性に優れた素材なので、自分が使った後、子どもへ、孫へと受け継いで使い続けることも可能だ。

天板と脚の部分はヒノキだが、引き出しのみ、堅く変形しにくいホウノキの板を使用。素材選びからとことん長く使うことが考え抜かれている。今回のワークショップでは、天板の大きさや脚の長さを変えて、横幅、奥行き、高さを変えることも可能。部屋の広さや使い勝手、使うシーンを思い浮かべて、それぞれにぴったりの机を完成させよう。

ファーストチェアは、使用対象は0~3歳。上下をひっくり返すと高さが変わり、長く使えるのが特長。座る部分の板は釘を使わず組み木で仕上げ、継ぎ目が見えにくく洗練されたデザイン。サイズは横幅33cm×奥行24cm×高さ30cm。素材が安心・安全だから、子どもが最初に座る椅子として最適。ぜひ子どものために想いを込めて手作りしてほしい。

 

木組みのサイズ、角度など試行錯誤を重ねて研究されてきた〈ようび〉のノウハウが詰め込まれた家具を、自身の手で作るチャンスはそうない。この機会をお見逃しなく。