おこさま人生相談室 第51回-小林エリカ
おとなのお悩み
ずっと仲良し父娘でやってきたのに今はケンカばかりしています。
今回、人生相談にお答えいただくおこさまは、雨さん10歳です。4歳のときから飼っている文鳥のクックちゃん、1年前から飼いはじめた黒猫の雫も一緒に暮らしています。3年生の3学期からホームスクール中で、家には絵の家庭教師の先生も来てくれるそう。自分でリメイクした服を着てNintendo Switchのジャストダンスもやっています。ネイルは金と水色のラメ入りのやつが好き。
おこさま紹介
お名前:雨
年齢:10歳
生まれた場所:?
住んでいる場所:東京
好きな食べ物:カレー
嫌いな食べ物:ピーマン
これまでの人生で楽しかったこと:家族で北海道に行ったこと
これまでの人生で哀しかったこと:そんなにないけど、あるとしたら、雫がベランダから逃げたこと(運良く人がこなかったからごはんのときに帰ってきた)
得意なこと:絵を描くこと
苦手なこと:片付け
好きなこと:絵を描くこと
未来の夢:最近はあんまないかも まえは蜂の養蜂をやりたいっていってた
お子様をよく知る人からのご紹介のことば:
雨さんはハッキリと自分の考えを持ち、興味のある事にはとことん研究しのめり込む集中力がある。観察する目と器用な手先と想像力でステキな物がつくれる。動物が好き。」
(絵の家庭教師のボビコさんより)
雨さんが描いた猫「雫」
(雨さん、以下A)
さて、今回のおとなのお悩みは?
Q Q 小学校六年生で娘が思春期に突入したようす。ずっと仲良し父娘でやってきたのに今はケンカばかりしています。なにかを注意すると、今までは「ごめんね」といえる素直な娘でしたがいまはすぐ反抗されます。どうすればいいでしょうか?
(もりくまさん 45歳 東京在住)
A ・・・・。
――雨さんは父親に反抗することはありますか?
A たまにあります。
――どんなときですか?
A なんか意見がわかれたりとかしたときに、反抗したりします。
――ちなみに、何の理由がなくても反抗したい気持ちになることもありますか?
A 結構、ケンカのあととかは。シズ(猫の雫)とも喧嘩したりして、その気持ちで温ちゃん(母親)の言うことも聞きたくないとか。
――親やおとなが言うことは全部嫌だ、というような気持ちにもなることもありますか?
A たまに。
――それはどんなときですか?
A ケンカした後かね。シズとのケンカとかも、全部やになっちゃって、それで、いろいろやになって、なんも聞きたくない、みたいな。
――シズさんともケンカをするのですね。
A 一緒に遊んでると噛みついてきたり引っ掻いてきたりして。なんかこっちも猫になって、本当にもうなんかケンカ中は日本語を喋んないって感じです。猫の言葉だけを使って。あっちも思いっきりパンチしてきたり。こっちも反撃したり。目を合わせるとケンカの合図って知っているので。でも、合わせちゃったりするとケンカがはじまっちゃう。
――そういうとき、雨さんはどうしていますか?
A ストレス発散したいなって思ったときは、トランポリンで跳ねたりしてストレス発散する。
――ストレスがたまっているときに、全部が嫌になったり、反抗してしまう。
A たまに。だいたいそんなかんじです。
――そんなかんじ、というと?
A だいたいなんか、怒ってるのはひとりなんだけど、ふたりのいうこと聞かなかったりとか。
――なるほど、怒っていたりストレスの原因がひとつでも、別の人やことに対しても、言うことを聞かなかったり、反抗してしまうことがある、ということですね。
A (頷く)
――ところで、そんなとき父親はどうすればいいでしょうか?
A できるだけなにも言わないほうがいいんじゃないかな。
――どうしてそう思うのですか?
A なんかあんまり言われると頭がぐちゃぐちゃになっちゃうから。
――確かに、それがストレスになりそうですね。
A なんか、どうしてものときしか言わないようにすればいいんじゃないかって思う。
――ちなみに、もりくまさんは、ずっと仲良し父娘でやってきたのに今はケンカばかりしていることも、寂しいし、哀しいのかもしれません。
A 趣味とかをやるとか。
――もりくまさんも、娘さんに構いすぎず自分の趣味を持つのがいい、ということですね。
A うちの洋くん(父親)はドット絵をやってるので。それが趣味なのかなって。そこで絵を描いてて、お仕事に集中する感じ。
――自分の趣味を持ち、父娘それぞれの時間を持つ、ということですね。
A ちなみに、うちも美術館のイベントで、占い師でちょっとだけ参加してる。
――雨さんは、占いができるのですか?
A (頷く)
――どのような占いですか?
A 絵で占う。実際に絵を描かなくても、(相手が)ぱっと思いついた、頭に思い浮かべる、その絵で占う。
――頭に思い浮かべた絵を占うのですね。
A 最初のイメージカラーでだいたいのことがわかる。たとえば落ち込んでいる人だったら、たぶん黒とか暗い色を思い浮かべるので、それと逆の白がラッキーカラーだったりとか。
――その占いのやりかたは、どうやってあみだしたのですか?
A 自分で考えて。
――そうなのですね。
A じゃあ、あとでちょっと占いましょうか?
雨さんが描いた文鳥「クック」
(その後、編集部からもりくまさんに連絡をとり、雨さんに電話ごしに占いをしていただくことに)
(もりくまさん、以下M)
A こんにちは。
M こんにちは。
A じゃあ、占わせてもらいます。
M おねがいします!
A まずは自分の想像で絵を思い浮かべてください。
M はい。
A その絵は主に何色ですか?
M 青色です。
A 動物などはいますか?
M 動物はいません。
A 自然とかはありますか?
M 自然はあります。
A わかりました。
ラッキーカラーは緑です。
M はい。
A 植物とかを、育てたりするといいかもしれません。
水やりとかを一緒にやったりとか。なんか、ひとつのものを育てれば。
一緒に共同作業みたいなのをすると、いいかもしれない。
M やってみます。
植物いっぱい家にあるので。
A はい。
M 新しいもののほうがいいですか?
A 新しいのでも、前からあったのでも。
M はい。
A うちは最近ゴムの木をちっちゃいのからおっきい木に育てたいなって思って、家族で水やりしてたり。
M やってみます。
ありがとうございます。
――ありがとうございました。
(雨さんによる処方箋画)
植物を育てる。共同作業で、ひとつのものを育てる。
もりくまさん、いかがでしたか?
娘さんにはできるだけなにも言わないようにしましょう。
自分の趣味を持つといいそうです。
この度は、占いにもご参加くださりありがとうございました。
というわけで、今回の、おこさまからの箴言。
プリントして壁に貼っていただけるようになっています。PDFダウンロードはこちら
それではまた次回!
小林エリカ
作家・マンガ家。著書に小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社、第7回鉄犬ヘテロトビア文学賞受賞)や『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)、コミック『光の子ども』1〜3巻(リトルモア)などがある。