おこさま人生相談室 第16回-小林エリカ

おとなのお悩み

そろそろ子どもが欲しいけど、母親業なんてつとまるのでしょうか。

今回、人生相談にお答えいただくおこさまは、Ninaさん(8歳)です。
Ninaさんは昨晩、お友だちのRicoちゃんの家でお泊まり会をしていたそう。今日は朝から、ふたりで一緒にスイートポテトをつくりました。
中学二年生と小学五年生のお兄さんがいる三人兄弟末っ子。
ぬいぐるみのパディーがいないと眠れません。

おこさま紹介

お名前: Ninaさん
年齢: 8歳
生まれた場所: 日本
住んでいる場所: 二子玉川
好きな食べ物: さつまいも
嫌いな食べ物: パセリ、ゴーヤ、緑っぽいものがきらい
これまでの人生で楽しかったこと: 空港にいるとき(羽田)。飛行機に乗る前いすにいるとき(飛行機でオーストラリアにいるおばあちゃんと従兄弟に会いに行った)。
これまでの人生で哀しかったこと: YA(ヤングアメリカンズ)っていう、ダンスとかおしえてもらってショーをしたりするやつがあるんだけど、ジェシカって女の子が(うちに)ホームステーしたときすごくやさしかったから、わかれるとき寂しかった。
得意なこと: ダンス
苦手なこと: 鉄棒
好きなこと: ダンス(ロックとヒップホップやってる)
将来の夢: 服のデザイナー

おこさまをよく知る人からのご紹介のことば:
おもしろくていつも笑ってる。ともだちが多い。発想がすごい。
(お友だちのRicoより)

(Ninaさん、以下N)

さて、今回のおとなのお悩みは?

Q 結婚して2年になります。そろそろ子どもがほしいと思うけど、飲み歩いたり、女友達と旅行に行ったりできなくなるのかーと思うとそれは寂しい。そもそも、人のお世話など苦手な私に母親業なんてつとまるのかしらって思ってしまう。考えれば考えるほど、子どもは無理かしらと思ってしまう。どうしたらいいですか。
(おこめさん 34歳 東京在住)

N なんかいろいろ旅行行きたいときは、お父さん……夫に任せたりとか。

──なるほど。子どもを夫に任せれば、旅行に行ったりもできますね。

N うん。

──子どもを夫に任せれば、飲み歩いたりもできますね。

N 飲みに行くのはちょっとね。

──飲みに行くのはダメですか?

N 子どもがいるのに飲みに行くのはダメだと思う。

──ダメ……。

N なんか赤ちゃんのときはちゃんとお世話しなくちゃいけないんだから。

──では、何歳になったら飲みに行っていいでしょうか?

N 小学生入ったら?

(Ninaさんのお母さんが小声で:きびしー!)
(一緒に来てくれた友だちのRicoちゃん:お父さんに全部任せればいい!)

──ところで、おこめさんは、人のお世話など苦手な私に母親業なんてつとまるのかしらって不安なようですね。

N なんか友だち、子どもがいる友だちに、どうすればいいのかなって聞く感じにすればいい。

──なるほど。実際の母親業について話を聞くことができそうですね。ところで、Ninaさんにとって母親業はどんなものでしょうか?

N なんか、子どもみてて、あと、家事をしてる。大変だと思う。

──母親業は、大変なんですね。どうしたら大変でなくなるのでしょうか?

N たのしいかんじにやる。

──なるほど、たのしいかんじにやると、大変ではなくなる。

N そう。

──では父親業はどうでしょう?

N 大変だと思う。仕事もあるし。

──父親も大変なんですね。ところで、おこめさんは子どもは無理かしらと思ってしまうそうですが、どうしたらいいでしょうか?

N え、なんか、しあわせだったらいいかな。

──しあわせ。

N そう。

──つまり、子どもがいてもいなくても、しあわせだったら、いいということですね。

N そう。


Ninaさんによる処方箋画
(飛行機に乗っているのは)なんか友だちで(その隣が)お母さんがばいばいしてて、家でお父さんがばいばいしてて、赤ちゃんがいる。
おこめさん、いかがでしたか?
母親になっても、夫に子どもを任せれば、女友達と旅行には行けるそうですよ。
飲み歩きだけは小学生までお預けのようですが。
というわけで、今回の、おこさまからの箴言。


え、なんか、しあわせだったらいいかな

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お悩みを随時お待ちしています。おこさまに相談したい方はぜひ、ペンネームと年齢、お住まいの都道府県を記入のうえ、こちらまでお悩みをお送りください。

絵・取材・文
小林エリカ

新刊はシャーロック・ホームズ翻訳家の父の生と死を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)。他の著書には小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社、第7回鉄犬ヘテロトビア文学賞受賞)や『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)、コミック『光の子ども』1〜3巻(リトルモア)など。