カルティエ現代美術財団、都市とアートをつなぐパリの新拠点

4月29日から森美術館で始まる「ロン・ミュエク」展をサポートする、カルティエ現代美術財団。昨年10月には、パリ中心部・パレロワイヤル広場に、同財団の新たな拠点がお目見えした。場所は、ルーヴル美術館の向かい。街の記憶が折り重なるその場所に、子どもから大人までが足を運びたくなる、“ひらかれた美術館”が話題を呼んでいる。

新拠点のオープンを記念し、2026年8月23日まで『エクスポジション ジェネラル(Exposition Générale)』展が開催されている。展覧会では、カルティエ現代美術財団の所蔵品の中から厳選された作品が、これまでにない規模で展示されている。アーティストは、クラウディア・アンデュジャールをはじめ、ジェームズ・タレル、サラ・ジー、オルガ・デ・アマラル、ロン・ミュエク、ソランジュ・ペソア、デヴィッド・リンチ、アネット・メサジェ、蔡国強、ディラー・スコフィディオ+レンフロ、シェリ・サンバなど、世界中から100名以上、作品数は600近くにものぼる。日本からは、杉本博司、横尾忠則、川内倫子、石上純也といった、これまで財団とゆかりのあるアーティストたちが出展している点も注目したい。

パリ、パレロワイヤル広場2番地にオープンした、カルティエ現代美術財団の内部。© Jean Nouvel/ADAGP, Paris, 2025. Photo © Martin Argyroglo

この新しい舞台を手がけたのは、建築家ジャン・ヌーヴェル。19世紀には「グラン・オテル・ドゥ・ルーブル」および「グラン・マガザン・ドゥ・ルーブル」として使用されていた歴史的建造物を再生し、ガラスのファサードをまとった空間へと生まれ変わらせた。外の街並みと内側の展示がゆるやかにつながり、都市とアートを結びつける「開かれた美術館」としての理念を体現している。

展覧会は、「建築という装置:一過性の建築実験室(Machines d’architecture)」、「自然であること:生物界とその保全に関する考察(Être nature)」、「ものをつくる:素材と技術における実験スペース(Making Things)」、「現実の世界:科学、技術、フィクションを組み合わせた未来的ストーリーの探索(Un monde réel)」という4つのテーマで構成される。館内は5つの可動式プラットフォームで区切られており、写真や映画、舞台芸術、科学、工芸といった多様な表現が自由に交差する。まるでひとつの大きな“実験室”のように、アートがのびのびと息づく。

『エクスポジション ジェネラル』展の展示風景より。石上純也による建築作品と組み合わせられた、ルイス・ゼルビーニによる作品《Natureza Espiritual da Realidade(現実の霊的な自然)》(2012)。カルティエ現代美術財団蔵(2019年収蔵) © Marc Domage

都市の中でアートをどのように位置づけるかという、カルティエ現代美術財団の豊かな表現に触れることのできる本展。この春には、ワークショップや教育プログラムを行うスペース「La Manufacture」が新設され、子どもから大人までがアートに触れ、学ぶための場が提供される予定だ。

『エクスポジション ジェネラル』展の展示風景より。左にある家形の作品は、アレッサンドロ・メンディーニ《Petite Cathédrale(小さな聖堂)》(2002)によるもの。カルティエ現代美術財団蔵(2002年収蔵)© Marc Domage

作品のスケールも、ジャンルも、国境も軽やかに越えながら、訪れる人それぞれの視点に寄り添うように広がっていく壮大な現代美術館。光あふれるパリの街とともに、子どもたちが最先端のアートに触れ、体験し、考えることのできる貴重な場所となりそうだ。

カルティエ現代美術財団 パリ パレロワイヤル広場
住所:Place du Palais Royal, 75001 Paris
開館時間:11:00〜22:00(火)、11:00〜20:00(水〜日)
※12/24、31は、18時閉館
休館日:月、12/25、1/1、5/1
入館料:15€(一般)、10€(18〜25歳、求職者)、18歳未満無料(最低所得保障制度の受給者、障害のある方とその付添者、難民申請者、教員、芸術家・著作者、ICOM/ICOMOS会員、報道関係者は無料)

『エクスポジション ジェネラル』展
日時:2025年10月25日(土)~2026年8月23日(日)
場所:カルティエ現代美術財団(Place du Palais Royal, 75001 Paris)

問い合わせ先:カルティエ カスタマー サービスセンター Tel.0120-1847-00

TOP: © Cyril Marcilhacy
Text: Miki Suka