写真家・小見山峻が「数字」に注目した新作を発表。5/14(日)まで
「現実の出来事に対する視点を記録する」という写真の本質を突き詰め、デジタルの合成や加工を施さない写真表現にこだわる小見山峻の新作写真展「9876543210 (Nine to Zero)」が東京・馬喰横山の「SOM GALLERY」で開催されている。
4月24日(月)発売の『MilK MAGAZINE JAPON』no46のカバーを撮影した小見山。新作では数字に注目し、自身の周囲、街に存在する数字という記号を写真で切り取った。数字という、全世界で共通の意味を持ち、人間だけが認識しえるモチーフを素材にすることで、数字が持つ寓意的な意味を探る。
人類は古くから数字を用いて、他者との関わりを築いてきた。現代においても同じく、数字は言葉が通じない状況でも意思を伝えるための強力な記号であり、概念である。一方で、それら記号は、時に人々を縛り付けるという逆説的な意味を持ち合わせている。資本主義社会においても、記号として用いられることで価値を有していた数字が、ラベルとして意味づけされることで、本来持ち合わせている価値が埋没することもある
現在の写真表現は、複製可能性や印刷等の特性に目が向けられ、写真が持つ本質的価値や表現が希薄化しているのではないか。
そのような写真の存在を数字になぞらえて、写真が持つ本質的価値の再定義を試みる。