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for modern family

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DATE 2019.11.01

第40回:salvia デザイナー セキユリヲより
子育ては「ひとつ階段をのぼった瞬間」の積み重ねなのかもしれない。

女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。2月からは、人気絵本作家であるtupera tuperaの中川敦子さんとサルビアを主宰するデザイナーのセキユリヲさんによる往復書簡をお届けします。

セキユリヲさんから中川敦子さんへ。

 

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中川敦子さま

 

この秋は全国的に大荒れの天候で、心痛むニュースが続きますね。そちらは台風の影響はないでしょうか? 私の住んでいる場所は大丈夫ですが、東京では多摩川が氾濫したり、私の千葉の実家は屋根が吹き飛ばされたり、窓ガラスが割れたり、大きな木が何本もなぎ倒されたりして、大変でした。修理をする職人さんも足りていなくて、まだまだ厳しい状況が続いています。

 

以前はなかったような災害が全国いろいろな場所で毎週のように起きていますよね。世界中で気候変動のスピードが上がっているのも心配。私たちだけでなく子どもたちやそのまた子どもたちの未来のためにも、自分がよく考えて行動しないと、と思います。

 

個人の単位でできるのは小さなことだけれど、ペットボトルではなく水筒を持ち歩く、合成洗剤ではなく固形せっけんを使う、顔の見える個人商店や量り売りを利用する、無駄な包材を使わずリユース瓶を取り入れた生協を利用するなど、目の前に小さな子どもがいることでより安全なものや環境に配慮されたものを取り入れようという意識につながるようになりました。

 

タンスの肥やしになっていた服はリユースや寄付できる場所に回したり、使わなくなったおもちゃや読まなくなった本も大処分しました。一度スッキリすると、取っておこうと捨てられずにいた、あれもこれもがどんどん手放せるようになるもの。本当に必要なものだけ持って、いつでも旅ができるような暮らしをするのが今の目標です。

 

最近は、脱プラスチックラップを目標に、知人の養蜂家の方に蜜ろうを譲ってもらって、エコラップを試作しているところ。アイロンで蜜ろうを溶かしながら布にじわじわと浸していく地味な作業ではありますが、蜂の蜜がふわーっと立ち込めていい匂いがするんです。サルビアの活動で余った、あの布を使えるかな、ちょっとオイルを足すといいかな、などあれこれ手を動かしているのはやっぱり楽しい! 近々「エコラップ研究会」を立ち上げて大人の部活動をスタートする予定です。

 

とはいえ、ストイックになりすぎず、ジャンクなお菓子や甘ーいもの、手抜き料理も時には必要で。欲張らず、無理せず、気持ちよく。人によって「これだけは」というポイントはそれぞれだと思うけど、とにかく母が笑顔で楽しくいられることが一番大事かなあなんて思います。自分のちょうどいいと思えるものさしを持つことが大切、むしろみんなの違いが面白い、と大らかに構えられるようになったのも子どものおかげかもしれません。

 

前回、いつにも増してたくさんのアドバイスや経験談、ありがとうございました。敦子さんのお子さんに対するあたたかな気持ちや、リアルな日常の暮らしぶりを感じられてうれしかった! 先輩母のご意見は貴重だなーと心にしみました。

 

前に息子さんの自転車デビューのことを書いてくれましたよね。5歳の長女も、つい最近、補助輪なし自転車が乗れるようになりました。もともと活発で運動が大好きで勝ち気な子だし、2歳の頃からストライダーでかなり鍛えていたつもりだったので、補助なし自転車もすぐに乗れるようになるんじゃないかなと夫婦で話していたんです。それで、4歳の誕生日に素敵な自転車をプレゼントしたんだけど、一度補助輪をつけたらそれに慣れてしまったみたいで。何度か補助なし自転車を練習しても思うようにいかないので、一時期はほとんど乗らなくなり…。「足は地面に着いているし、もう乗れるはずなのになあ、いつになったらデビューするのかな」と気にかけていました。時々「乗ってみる?」と聞いても「やめとく」というそっけない返事。

 

しばらく経ったある日「乗ってみる?」と聞いたら「乗ってみる」と。乗ってみたらスイスイ! 体の軸がしっかりして転ぶ気配もありません。誕生日から1年以上経ってからのデビューとなりました。人一倍負けず嫌いだからこそ、機を選んで「今ならできる」と思った時に力を出してみたのかもしれません。一度乗れると欲が出るもので、今日はあそこに行ってみたい、今度はあの場所に行こう、と少しずつ距離を伸ばしています。これもまさしく「ひとつ階段をのぼった瞬間」と思いました。子育てってそんなことの積み重ねなのかもしれませんね。

 

長男は歩きはじめて3ヶ月が過ぎ、動くのが楽しくてたまらない時期で、階段を見つけるとのぼりまくっています(笑)。かわいい。

 

ではまたね。

 

セキユリヲ

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次回更新は11/22(金)の予定です。絵本作家tupera tuperaの中川敦子さんからのお返事です。