LIFESTYLEScene2023.08.23

The Joys of Country Living

至福の暮らしを楽しむ森の邸宅
起業家のバッバ・リヴェラは、ニューヨークから1時間ほどの村でぬくもりの邸宅を手に入れた。森と湖に囲まれた土地で、彼女は家族とともに自然を満喫している。

コロナ禍がもたらした新しいライフスタイル

新型コロナウイルスの流行により、自然に飢えた多くの人たちが都会での暮らしを見直し始めた。ヘアケアブランド〈セレモニア(Ceremonia)〉の創業者バッバ・リヴェラもその一人だ。もともと彼女はテクノロジー分野の起業家である夫カール・リヴェラとともに、いつの日かニューヨークの自宅アパートから離れた場所に家を持ちたいと考えていた。

そして、彼女が第二子を妊娠していたちょうどその頃、夫婦を後押しする出来事が起きたのだ。コロナ禍における隔離生活が始まると、週末に利用していた「エアビーアンドビー(Airbnb)」が物件の貸しだしを休止。夫婦はいよいよ緑に囲まれたセカンドハウスを本格的に探し始めた。希望はブルックリンから車で1時間半以内のプールつきの古い邸宅。厳しい条件ではあったが、ほどなくしてニューヨーク市の北に位置するタキシード・パーク内にある貴重な物件に出合うことができた。

その家はラマポ山脈の緑豊かな村にあり、いくつかの湖とたくさんの散歩道に囲まれている。初めて訪れた時から、夫婦はその家の魅力に引き込まれた。19世紀末に建てられたオランダのコロニアル様式の邸宅で、目の前には2本の大木がそびえ立っている。敷地面積は300m²。もともと狩猟小屋として使われていたこの建物は、数回のリフォームを経ても、かつての魅力を失わなかった。

「ニューヨークから1時間ほどの場所で、当時の雰囲気が残された家に出合えるなんて本当に驚きました」
とバッバは語る。

4つの部屋と、大きな庭やプールもあり、夫婦はすぐに購入を決意。今ではブルックリンのアパートよりもこの家で過ごす時間の方が長いという。自然を味わうにはぴったりの場所で、夏にはフランボワーズ摘み、秋にはリンゴ狩り、そして1年を通じた農場での体験を通して、2歳のアルマと生後6ヶ月のセルマに自然の大切さを教えている。

「ニューヨークは大好きですが、コロナ禍が始まり、在宅勤務や2人の子どもの育児を考えると、都会から離れたいという思いが日に日に大きくなりました」

今ではリモートでブランドを経営するスタイルにも慣れたという。2020年10月に産声を上げた〈セレモニア〉は、彼女のルーツであるラテンアメリカの天然成分にこだわったヘアケアシリーズを展開している。

家族と親しい仲間がくつろぐためのインテリア

バッバは新たな暮らしを始めるにあたり、この邸宅を用途によって変化するぬくもりに満ちた空間にしようと考えた。森を一望できるダイニングは、社員との会議を行うコワーキングスペースになることもあれば、人を招くことが大好きな夫婦のパーティの場になることもある。もともと自分たちのセンスに合った家を見つけられたおかげで、引っ越しの際にはインテリアに集中することができたという。

全体のトーンには幼少期をスウェーデンで過ごした二人の北欧の美意識が生かされている。そしてそれに呼応するように南米アーティストたちの作品が飾られ、バッバのルーツであるチリのエッセンスが加えられている。

「私たちは、お互いが育った北欧、そして私のルーツであるラテンアメリカという2つの地域から影響を受けています。そのコントラストを敏感に感じながらインテリアに反映させたいと考えました」

家の中心には家族で過ごす共用の空間があり、その周りにはさまざまなインテリアで彩られた部屋が並ぶ。玄関を含めた大部分のスペースに敷かれた黒のフローリングは、クリーム色の壁、階段横の花柄の壁紙、北欧の肘掛け椅子とコントラストを成している。木とダークな色調の壁で囲まれた「シガールーム」は、この地の歴史にちなんで作られたもの。この邸宅が位置するタキシード・パークは、狩りや釣りを楽しむ場としてタバコメーカーのピエール・ロリラード4世によって作られたのだ。

プライベートな空間を演出するため、「シガールーム」の壁にはレコードのコレクションが並ぶ。オンラインマーケット「エッツィ(Etsy)」で購入した2脚の青いヴェルヴェットのラウンジチェアは、〈ノル〉社のデザイナー、ビル・ステファンズのデザイン。さらに、1970年代の雰囲気が漂うリビングにはイタリアのマリオ・ベリーニがデザインした大きなソファが置かれ、ピンク色の壁と調和している。

そしてもちろん浴室には、バッバのこだわりがつまった家族のための空間が広がっている。浴室に限ってはデザインをすべて変更し、コンクリート製の大きなバスタブ、2つの大きな洗面台、広々としたスチームサウナを備えたバスルームが完成。幼い頃からラテンアメリカの美容の伝統を受け継いできた彼女は、バスルームでの過ごし方について次のように語っている。

「この空間には、単なるバスルーム以上の意味があるんです。私が娘たちとお風呂に入っている間に夫がサウナを楽しんでいることもあれば、私が髪をケアしている隣で、夫がグラスを片手に過ごしていることもあります」

これぞ甘い至福のひとときだ。

Photograph: Birgitta Wolfgang Bjørnvad [The Sisters Agency]
Text: Margault Antonini
Translation: Kumi Hoshika

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