それぞれのサステイナブル。キッズファッション、各ブランドの取り組み
ファッションの世界も、急速にSDGsへとシフトする昨今。フランスでは、廃棄物の削減や繊維産業による地球温暖化にもつながり得る環境汚染を食い止めるため、政府による衣類や靴の修理に補助金の支給が、この10月から開始される動きを見せている。約2年でサイズアウトしてしまうともいわれる子ども服。我が子の成長を感じる喜びと共に、小さくなったアイテムを廃棄することなくより良い形で社会に還元することができたら……。
私たちと同じ思いで、日本国内の子ども服を取り扱う企業も、さまざまな方法で循環型のファッション経済を模索している。家族のクローゼットにもきっと一着は眠っているであろう人気のファッションブランドから、子どもたちの未来へとつながるサステイナブルへの取り組みを一部ご紹介する。
〈プチバトー〉#プチバトン
愛情も思い出も一緒に、次の人へとつないで
「自由・品質・持続可能」をブランドのスローガンに抱える、130年という歴史を持つフランスのブランド。肌着メーカーとしてスタートした同ブランドには、着心地の良いロンパースやTシャツ、カルソンなどの愛用者もきっと多いはず。毎日の洗濯でもへたらない品質の良さで、兄弟姉妹で着まわすことも多いブランドだ。そんな〈プチバトー〉では、着られなくなった洋服を、思い出と一緒に次の世代へと渡すプロジェクト「#プチバトン」が2021年に開始された。対象店舗にて買い取りもしくは回収が可能で、商品にまつわる思い出や、次のオーナーへのメッセージを「バトンカード」に記せば、思い出のカードと共にアップサイクルされた商品がリサイクル品として安価で店頭に並ぶ。買い取りポイントやメッセージカードを書くともらえるポイントは、そのまま直営店やオンラインブティックで利用可能だ。
______________________________________________________________________
〈ザ・ノース・フェイス〉〈ヘリーハンセン〉&ゴールドウイン
GREEN BATON
キッズウエアをアップサイクルした魅力あふれる一点もの
サイズアウトした子ども服は、廃棄されることが多いというデータから、〈ザ・ノース・フェイス〉と〈ヘリーハンセン〉という人気ブランドを有する企業、ゴールドウインが立ち上げたキッズ製品を対象とするサステイナブル・レーベルが、「GREEN BATON」。ロングライフという考えを掲げる2つのブランドは、着られなくなった同ブランドのウエアを買取店舗で売ってクーポンと交換することが可能。買い取られたウエアは、プロの職人がリペアを施すのだが、そのリペアが素敵と話題だ。ワッペンやあて布などでリペアされたり、2つの洋服を合体させたり、新たにポケットやフードがつけられたりと、他にはない“一点モノ”のアイテムが誕生するという素敵なアップサイクルに注目したい。
______________________________________________________________________
〈無印良品〉刺繍工房
子どもが自分で作り出す、自分だけの愛着
長年愛用した服の回収リサイクルという取り組みを、2010年から「ReMUJI」というプロジェクトでいち早くスタートを切った〈無印良品〉。藍色や黒で染め直した服が注目を集める中、もう一つのサステイナブルとして子育て世代に知って欲しいのが、オリジナルの刺繍工房。子どもたちに“自分のもの”という認識を高めることで、物を大切にする心、そして簡単に物を捨てない意識を持つことにもつながりそうだ。対象店舗では、〈無印良品〉で購入した布製品であれば、どんなものにも刺繍のサービスが受けられる。動物や植物、のりもの、文字など、400種類以上もの刺繍の中から、好きな刺繍を選ぶことができるだけでなく、自分で描いたオリジナルの絵をそのままに刺繍をしてくれるサービスもある。子ども服だけでなく、バッグやタオルなど、世界で一つのアイテムをずっと大切にする心を育てることサステイナブルのひとつだ。(オリジナル刺繡については対応店舗で相談を)
______________________________________________________________________
〈ボンポワン〉Bonpoint Cherrysh、Bonpoint Vintage
捨てることをやめ、ハイセンスに生まれ変わらせる
1975年、フランス・パリで誕生したハイエンドな子ども服ブランド〈ボンポワン〉。ブランドが掲げる精神にも、子どもたちや家族とともに、地球環境や労働者を大切にしたいというエシカル先進国フランスならではの希望が込められている。〈ボンポワン〉では、大きく二つの取り組みがある。ひとつは、「Bonpoint Cherrysh」という、世界を包括的に“大切にする”ためのプロジェクト。ブランドの過去のプロダクトや残布やレザーの端切などを、改めて染色を施したり新しくデザインすることで生まれたコレクション。もうひとつは、洋服の回収とリセールを通じて次なる物語をつなぐ「Bonpoint Vintage」だ。着られなくなった〈ボンポワン〉の洋服をブティックに持ち込むことで、次の買い物に使えるバウチャー券と交換が可能。
______________________________________________________________________
〈ユニクロ〉RE.UNIQLO
エシカルで世界を動かす、多方面の取り組み
世界規模でブランドを展開する国民的ブランドとあって、〈ユニクロ〉はサステイナブルへの活動や姿勢もインターナショナル。商品のリサイクルやリユースを通じて循環型社会を目指す取り組み「RE.UNIQLO」による、店頭の衣類回収ボックスを目にしたことのある人も多いはず。プロジェクトで回収された衣料は、固形燃料や自動車用の防音材に活用されたり、ダウン商品はリサイクルダウンとして新しい商品へと生まれ変わっているだけだなく、UNHCRや世界各地のNPO・NGOの協力によって、80の国や地域に、まだ着られる洋服として無償で届けられている。サイズアウトしただけでまだ着られる子ども服も、衣料回収を通じて、難民の子どもたちが愛用してくれるという喜びがある。また「RE.UNIQLO STUDIO」は、小さな穴が空いただけで着られなくなってしまった服や、裾がほつれてしまった服、ボタンがとれてしまった服などのリペアが受けられるサービス。約100種類のテンプレートからオリジナルの刺繍が選べたり、日本ならではの補修方法である“刺し子”のサービスも、衣類を長く愛するための美しい取り組みだ。
10月11日から22日までは、古着のプロジェクトのトライアル第1弾として、UNIQLO原宿店にて、ポップアップストアがオープン。衣料回収ボックスで回収された大人用の古着に、後染めと洗い加工を施し、ヴィンテージの風合いにリメイクした古着などが販売される予定。
TOP: PETIT BATEAU
Text: Miki Suka