LIFESTYLEInterviews2024.03.04

南村麻美/子どもとの豊かな時間を叶えるモノやコトを届ける〈こども ビームス〉ディレクター

〈こども ビームス〉ディレクター南村麻美が考える、子どもと一緒に育む、服への向き合い方

〈こども ビームス〉と〈B:MING by BEAMS〉キッズのディレクターを務めている南村麻美さん。姉妹の母として子育てに奮闘しながら、海外への買い付けや展示会へも精力的に足を運び、エネルギッシュに活動している。子どものファッションの仕事を通じて南村さんが大切にしているのは、服へどう愛着を持ってもらうかということや子どもの感性を育むきっかけづくり。「こども ビームス(代官山)」にて話を聞いた。

〈ビームス〉に入社する前はある海外ファッションブランドで働いていたという南村さん。当時働いていたブランドも大好きだったものの、ひとつのブランドにとどまらずたくさんのブランドをセレクトしたりスタイリングを提案したりしたいという思いから、〈ビームス〉の門を叩いた。
「〈ビームス〉で働くようになってから、もっと服や雑貨に興味を持つようになって。当時先輩たちがとてもおしゃれな人ばかりで、たくさん刺激を受けたんですよね。でも、仕事柄必要に迫られてトレンドを追っていたような気もします。キッズレーベルを担当するようになってからはそういった必要から解放されて、より古着やヴィンテージに惹かれるようになったし、もっとそれらの着こなしを楽しむようになりましたね」

実際に見て触れて話して知ったことが財産になる
〈こども ビームス〉と〈B:MING by BEAMS〉キッズの両レーベルにとって南村さんは欠かせない存在だ。〈B:MING by BEAMS〉は身近でプライスも手頃な商品を企画し、子育てファミリーに多彩なファッションとライフスタイルを提案している。一方〈こども ビームス〉ではインポートやセレクトブランドの仕入れも担当。年に2回のパリ出張も一人でこなす。パリでは子ども服ブランドの合同展示会「プレイタイム」をメインに、ブランドのショールームをまわり買い付けやリサーチを行なっている。

「インスタなどでもいろいろな海外ブランドの新作を見ることができますが、展示会に足を運ぶことでデザイナーさんから直接話が聞けたり、服に触れて素材を体感できることは私にとって財産ですし、ブランド理念も直接知ることができる貴重な時間です。また、ブランドが考えるライフスタイルや文化をお店で表現しているところが多いのも刺激になります。そう考えると、〈こども ビームス〉も店舗があるというのはブランドとして素晴らしい環境だなと思います。お買い物をするのは大人かもしれませんが、来店して過ごす時間を通じて子どもたちにも何か持ち帰ってもらえたらいいな、子どもたちにファンになって欲しいな、と思っています」

服を通じてものを大切にしていく心も育んでほしい
そんなふうに商品の企画や買い付けに奔走する南村さんが、キッズファッションを通じて届けたいものは、おしゃれで素敵なアイテムだけではない。
「子どもたちには、サステナブルなマインドを持ってほしいと思っているんです。だから、〈こども ビームス〉や〈B:MING by BEAMS〉を通して、洋服と向き合う心だったり、手先を動かして育む感性だったりという“こと”も伝えられたら。洋服という“もの”は、トレンドでなくなったりサイズアウトしたりしてしまうと手放してしまうと思いますが、そのあとにも残る、なにか子どもの未来につながることをお届けしたい。そのためにできることはないだろうかということを常に考えています」

たとえば仕入れ。ブランドやアイテムを選定するときには、サステナブルな取り組みを行なっているブランドや、長く着られる素材やデザインのものをセレクトするよう心がけている。
「“洋服は何年も着られる”ということを子どもに伝えることで、子ども自身も服を大切に感じるようになると思うんです。サイズアウトした服を誰かに譲る時も、フリマアプリなどではなく対面で譲れるような場を設けて、そこに子どもも同席すれば、『自分の着ていた服を今度はあの人が着てくれているんだ』と知ってくれる。そして“誰か次の人に譲るためにはきれいに大切に着ておこう”と考えるようになったりすると思うんです」
また店舗では、3月に新入学のための靴の計測会を予定している。
「自分の足のサイズを測って靴を買うという体験を通じて、その靴を大事に思ってくれたらうれしいです。“服育”と言ったら大袈裟かもしれませんが、服との向き合い方やものを大事にしていく心が幼い頃から培われるといいなと思っています」

家の中に子どもが感性を育む環境をつくる
家に帰れば二人の子どものお母さん。家族はNO.1の最優先にしたいという。仕事のチームにも子育て中のスタッフが多く、時短勤務だったり、体調を崩したりしたときも、チーム内で連携をとりながらみんなで仕事と家庭を両立しているという。
「両立するにはもちろん夫との連携も欠かせませんが、自分が意識しているのは会社を出てからはPCは開けないようにして、社用携帯はカバンの中に入れておくこと。家に帰ったら子どもの宿題を見ながら夕食を作ったり。ただ、常日頃からいろんなアンテナを張っていたいので、自分のスマホでインスタやweb記事を見たりしている時間はどうしても多い。子どもたちの前でスマホを見ていると指摘されてしまうので(笑)子どもたちが寝た後に一気にチェックしたりしています」

そして、子どもたちの感性や心を育みたいと考えているのは子育てにおいても同じ。自宅にはクレヨンや画用紙、リボンや折り紙などがすぐ手に取れるように、リビングにお道具箱が置いてあるそう。
「そうすれば、興味を持ったタイミングですぐ手を動かせると思って。工作のワークショップを調べて、いろんな画材があるところに飛び込ませてみたり。手を動かして脳や心、感性を育てて欲しいなと思っているんです。だからそのための環境を作ってあげたい」

また、リビングには「ものを大切に長く愛する」を象徴するアイテムも。
「以前『こども ビームス(代官山)』で、サイズアウトした思い出深い洋服などを、ハンドメイド作家さんにリメイクしてもらおうというワークショップを実施したんです。大切にしていた洋服を別の形で日常に取り入れたいと考えて。たくさんの古い洋服が、巾着やバッグ、髪飾りなどに姿を変えてお客様の手元に帰っていきました。我が家では、サイズアウトしたパジャマをクッションに仕立ててもらいました。今ではお守りのようにリビングに置かれていて、子どもたちも愛用しています。常にお気に入りがそばにあるってやっぱり安心しますよね」

そんな南村さんの思いやこだわりが、今一冊の本にまとめられようとしている。『MOM & KIDS DIALOGUE 子どもと一緒に暮らしを楽しむためのヒント!』だ。以前より〈ビームス〉がスタッフ個人にフォーカスし、クリエイティブのインスピレーションの源となったカルチャーやライフスタイルを紹介するパーソナルブック「I AM BEAMS」シリーズの最新コンテンツとなる。
「海外出張を任された時もですが、この本のお話をいただいた時も『え、私!?』と最初は戸惑いました。でもやっぱりお客様や読んでくださる方に楽しんでいただきたいので、全力で取り組んでいます」
自身のファッションやインテリアを紹介したり、家族や仕事の話、子どもの未来のためにできることについて考えていることなどもまとめられているそう。ぜひ、南村さんのハートとマインドに触れてみてほしい。

南村麻美(Asami Namura)
2004年 BEAMS入社。店舗スタッフ、ビジュアルマーチャンダイザー、〈B:MING by BEAMS〉のレディースディレクターを担当。産休・育休を経て復職後〈こども ビームス〉と〈B:MING by BEAMS〉キッズの 2レーベルのディレクターを務め、海外からの買い付けや商品企画まで幅広く活躍。趣味はこども服とインテリア。SNSで発信する親子のライフスタイルが注目を集めている。Instagram:@chami1222

こども ビームス(代官山)
東京都渋谷区猿楽町19-7 1F
03-5428-4844
営業時間:10:00〜19:00(不定休)

ビームススタッフのパーソナル・ブックシリーズ I AM BEAMS Vol.6
『MON & KIDS DIALOGUE 子どもと一緒に暮らしを楽しむためのヒント!』

南村麻美著、世界文化社刊
1760円
全国書店、amazonほかネット書店にて4月18日(木)より順次発売。
詳細はこちら
※一部地域は輸送の関係で発売が遅れる場合があります。

photograph: Keisuke Kitamura
Text: Masako Serizawa

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