おこさま人生相談室 第58回-小林エリカ

おとなのお悩み

旦那さんコントロールができず困っています。

今回、人生相談にお答えいただくおこさまは、リュウヘイさん7歳。
50メートル走の記録は8.6秒。
学校のクラスも学童も通学バスも一緒のお友だち、ゆうさん(前回の「おこさま人生相談室」に登場いただきました)のご紹介で、一緒にドン・キホーテ後楽園のサイゼリアに一緒に来てくれました。
夏休みは家でごろごろしているかもしれないとのことでしたが、学校のプール教室、夏休みの宿題、ゲーム、くもんと、忙しそうでした。

おこさま紹介

お名前:リュウヘイ
年齢:7歳
生まれた場所:東京
住んでいる場所:文京区
好きな食べ物:カレー
嫌いな食べ物:なすびはちょっと嫌いかな
これまでの人生で楽しかったこと: ちょっとむずかしい質問 わかんない
これまでの人生で哀しかったこと:ない(ないわけないけど)
得意なこと:運動
苦手なこと:ない
好きなこと:遊ぶこと おにごっことかよくやるかも
未来の夢:広瀬すず
知らないうちに好きになって、なんとなく(広瀬すずに)なりたいなって思ってる

おこさまをよく知る人からのご紹介のことば:

(ゆうより)

(リュウヘイさん、以下R、ゆうさん、以下Y)

さて、今回のおとなのお悩みは?

Q 結婚して13年。食べたらキッチンに片付けてね、洗い物やれるときお願いね。と言い続けていますが、なかなか伝わらず。伝え方も色々工夫しているのですが、いまだに改善されません。仕事上(こども関係の仕事)心をうごかしたり、伸ばしたりすることが得意のはずなのですが1番身近な旦那さんコントロールができず困っています。
(ANさん 41歳 神奈川県在住)

Y ぼくがそれやりたい。わかる!

R うーん。

──ちなみに、リュウヘイさんは、食べ終わったお皿の片付けなどをやっていますか?

R やれるときは、やるかな。

Y ぼくお手伝いとしてやる。

R ひまつぶしとしてやる。

──リュウヘイさんは、ひまつぶしとして片付けなどをするのですね。この旦那さんさんは、どうやらそれができないようです。リュウヘイさんがANさんの立場だったら、どうしますか。

R おれはそういうとき、じぶんでやるかな。

──いっそうのこと、片付けも、洗い物も自分でやってしまう。

R 他にやる人いないから。

──そうなると、仕事も家のことも自分ひとりでやらなくてはならなくなって、大忙しになりそうですね。

R そういうときはひとまかせか、もう一生やんない。めんどいから。

──ANさんも片付けを旦那さんさんや家事代行などのひとに任せるか、それができなかったらもう片付けなど一生しなくていいということでしょうか。

R うん!
ううん……わかんないなあ。

──ちなみに、そもそもどうしたら、ひとに、やりたいという気持ちを起こさせることができるのでしょうか?

Y やりたい。やりたい。わかるもん。コントローラーつくって操作する!

──リュウヘイさんはいかがですか?

R やっぱりお金でコントロールするしかないでしょう。

Y この人は全てがお金だと思ってるから。

R そんなことないよ。

Y お金でなんでも解決できるっていったの、リュウヘイだから。

──なるほど、お金をわたせば、やりたいという気持ちになる。旦那さんさんも、お金を貰えるとなれば、積極的に片付けや洗い物に取り組めるということですね。

R 家事やってくれたら1000円あげる。
なんかTik Tokで、ここでなになにしたら1万円あげるとかそういうのがあった。

Y でもそうしたらさ、自分のお金なくなっちゃうよ。
無限お金製造機つくったらいい。
それか旦那さんが散歩にいっているときに、財布からあげたお金をまた取ればいい。

R だけど日本にお金がなくなるときはくるのかな。
また物々交換にもどるのかな。

──物々交換?

R 物と物で欲しい物をなんでも手に入れられる。

──ちなみに、この場合も物々交換できますか?

R お片付けぐらいだったら、うん、ウィンドウズのパソコンでいいでしょ。

──ウィンドウズのパソコン1台で何回くらいのお片付けができるのでしょうか?

R 10回。

Y 10回は超えるよね。あれ高いもん。
アップルのパソコンも。

──ちなみにリュウヘイさんが旦那さんさんの立場だったらどうでしょうか?

R プレステ5あげるって言われたら(なんでもやる)。

──お片付けは何回くらいできますか?

R 20回はやるよ。
でも、(お金じゃなくて)交換でいいんじゃない。

──お金よりも物々交換がおすすめ、ということですね。

R だけど旦那さんの時間はお金よりも大切なものだ。

Y この人ね、名言だって思ってることが名言じゃなくて、名言じゃないって思ってることが名言なんだよ。

──ところで、ANさんの時間も、お金よりも大切なものでしょうか。

R うん。

──それぞれみんなの時間が、お金よりも大切、ということですね。


(リュウヘイさんによる処方箋画)
片付けを物と交換する

ANさん、いかがでしたか?
片付けを物と交換するのがよいそうです。
ANさん自身もこれまでやった片付けを交換すれば、旦那さんさんからウィンドウズのパソコンや、プレステ5などが貰えるかもしれません。
というわけで、今回の、おこさまからの箴言。


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お悩みを随時お待ちしています。おこさまに相談したい方はぜひ、ペンネー ムと年齢、お住まいの都道府県を記入のうえ、こちらまでお悩みをお送りください。

絵・取材・文
小林エリカ

作家・マンガ家。新刊はシャーロック・ホームズ翻訳家の父の生と死を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)。
著書には小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社、第7回鉄犬ヘテロトビア文学賞受賞)や『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)、コミック『光の子ども』1〜3巻(リトルモア)などがある。