〈FAB 1-2〉作ればわかる!しかけ絵本の秘密

ポップアップブックを作ろう! @こども本の森 中之島

各界で活躍するプロフェッショナルから直接学ぶことで、こどもの好奇心と感性を育てていくMilK JAPONのワークショップ企画、「FAB LAB」。第一回は、ポップアップブックをはじめとした様々なしかけ絵本を楽しむことができる、大阪の「こども本の森 中之島」にて「しかけ絵本のワークショップ」を行いました。

しかけ絵本は、非常に壊れやすく公共施設には向かないため、一般的な図書館ではあまり扱われることはないのですが、「こども本の森 中之島」ではこどもたちに直接触れて楽しんで欲しい!という願いから、多種多様なしかけ絵本を取り揃えています。
もちろん、その管理は大変で、スタッフの方が日々、丁寧に修繕を重ねながら維持されています。そんなしかけ絵本のお世話を通して、その仕組みを知り尽くしたスタッフの土肥 優さんが、今回のワークショップの先生です。

まずは、しかけ絵本の仕組みの説明からスタート。「難しそうに見えるけど、実はとっても簡単な仕組みで出来てるんです。ほら、ちょっと切って、折り曲げるだけで、こんな風にあっという間に飛び出すでしょ?」
と、土肥先生が半分に折った紙に少し切れ込みを入れて折り込むだけで、見事に飛び出す絵本のベースが出来上がり。こどもたちからは驚きの歓声があがり、「自分も作りたい!}と早速創作意欲を掻き立てられた様子。こうした簡単にできる基本のしかけをベースにして、自分なりの飾りを貼り付けるだけで、素敵な飛び出す絵本ができてしまうのだとか。

今回、その飾りつけ用に、『MilK MAGAZINE JAPON』本誌でも活躍していただいているイラストレーターの服部あさ美さんのイラストをあしらった特製クラフトペーパーを用意。様々な自然の景色や動植物のほか、「こども本の森 中之島」をイメージした描き下ろしイラストをあしらったものなどもあり、よりどりみどり。
机いっぱいにひろがった可愛らしいクラフトペーパーを前に、こどもたちもどれにしようか迷ってしまって大変。本を作る時間よりも長い時間を、紙選びにかけてしまった子もいたほどです。

土肥先生が用意してくれたしかけのベースは3種類。たくさんの切れ込みを入れた紙の両端をそれぞれ対向するページにのりづけし、開くと飛び出してくるしかけ。紙を渦巻き状にカットして両端をそれぞれ対向するページに貼ることで、バネのように飛び出すしかけ。そして、開くとテーブル状の土台が持ち上がって飛び出すしかけ。
同じ渦巻き状のしかけなのに、貼り付ける位置が少し違うだけで、虹のように見えたり、波に見えたり、いろいろな飛び出し方をするので、友達と見せあいながら、なぜそのような形に飛び出すのかを真剣に調べていました。
また、それぞれのページで最大限のインパクトを追求する子(追求しすぎて、しかけが本からはみだしてしまう子も)や、3つのしかけにストーリーの流れをつけて1冊の物語に仕上げる子、など、みんな千差万別の自分だけのしかけ絵本を仕上げることができました。

テーブル状の土台が飛び出すしかけは少し複雑なので、土肥先生がベースを用意してくれましたが、そのほかの2つは本当にカンタン。今回のワークショップは幼稚園の年長さんからが対象だったのですが、みんな楽しみながら仕上げることができました。
渦巻状のしかけの台紙データを掲載しますので、プリントアウトしてぜひ、ご家庭でも試してみてください。

〔材料〕

型紙(A)
貼ってはがせるのり(またはマスキングテープ)
はさみ
台紙(A4の厚紙などを二つ折りにしたもの)

〔つくり方〕
  • 好きな模様の紙に型紙(A)を、貼ってはがせるのりか、マスキングテープを使って貼ります。
  • それを渦巻きの線に沿って切り、型紙を剥がします。
  • 両端のおもて面、うら面を台紙(A4の厚紙などを二つ折りにしたもの)の対向するページに接着します。
こども本の森 中之島

こどもたちに多様な本を手にとってもらい、無限の創造力や好奇心を育んでほしいという想いからつくられた文化施設。乳幼児からたのしめる絵本や幼年童話、児童文学、小説、各分野の図鑑、自然科学書、芸術書など様々なジャンルの本が揃う。建築家・安藤忠雄氏により建物が大阪市に寄附された。現在は予約制。
www.kodomohonnomori.osaka

Photograph: Akira Yamaguchi
Produced by STRAIGHT