世田谷美術館にて、〈ミナ ペルホネン〉による「つぐ minä perhonen」展がスタート

ファッションやテキスタイルの世界を越えて、日常に寄り添ってきたブランド〈ミナ ペルホネン〉。ブランド創設30周年を迎え、現在、世田谷美術館にて展覧会「つぐ minä perhonen」が開催中。

“surplus” 2003-04↑a/w

“つぐ”という言葉は、水面にひろがる静かな波紋のように、ひと雫の想いが人から人へ、手から手へと受け継がれていくことを表している。本展では、〈ミナ ペルホネン〉が紡いできた繊細な世界観が、6つのエリアに分けられて、どのように広がり、育ち、また次の誰かの日常へつながっていくのか、その軌跡を静かにたどっていく。

“sea sky” 2025-26→ a/w Photo: Keita Goto(W)

“alive” 2011-12↑a/w 原画 Photo: Shinichi Yamasaki

会場に足を踏み入れると、展示室いっぱいに広がる約180種類のテキスタイルが出迎えてくれる。蝶、空、花、幾何学など、さまざまなモチーフの布たちが、美術館のある砧公園の緑と調和して、自然が連なり合うような演出だ。続くエリアでは、どんな想いから絵柄生まれ、どのように服や暮らしの道具へと姿を変えていくのか、そのプロセスが丁寧に紹介される。消しゴムハンコから生まれた森の風景や、ちぎったマスキングテープから生まれた格子模様など、身近な素材から生まれたテキスタイルの数々は、子どもが夢中になって絵を描く姿にも通じる“制作の喜び”を思い出させてくれる。

刺繍工場での補修作業 手元風景 Photo: Yayoi Arimoto

“pot-au-feu” 2015-16↑a/w

また、本展では〈ミナ ペルホネン〉を支える刺繍や織り、プリントの職人たちの技にも光が当てられ、受け継がれる知恵と手仕事にも触れられる。さらに、公募で集まった服をリメイクした特別なプロジェクトも紹介される。30年の時間をかけて、“特別な日常”を紡いできた〈ミナ ペルホネン〉。会場のあちこちに散りばめられた「つぐ」という想いは、親が子へと伝えたい思いや願いのように、心にやわらかく響いてくるはずだ。有機的なデザインに囲まれて、大切につくり、大切にそだてることの美しさを、親子で感じてみたい。

【展覧会概要】
つぐ minä perhonen
会期:2025年11月22日(土)~2026年2月1日(日)
会場:世田谷美術館 1、2階展示室(東京都世田谷区砧公園1-2)
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月、年末年始 (2025年12月29日~2026年1月3日)
(ただし2026年1月12日(月・祝)は開館、2026年1月13日(火)は休館)
観覧料:一般¥1,700、大高生¥800、中小生¥500、65歳以上¥1,400、未就学児は無料

撮影(展示会場) :山本倫子
Text: Miki Suka