スタイリスト・山本マナ、オンラインギャラリーで表現する、静かな記憶の物語

『MilK JAPON』本誌でもおなじみの人気スタイリスト・山本マナが主宰するオンラインギャラリー「SNÖ」にて、7月11日より新たな展覧会「Snow Town」が公開された。


©️Yasutomo Ebisu

2020年にスタートした「SNÖ」は、山本が“スタイリストとして何を発信できるのか”を問い続けた先に生まれた、デジタルの中に静かに佇むギャラリー。誰もが自由に訪れることができるオンライン空間でありながら、実際にホワイトキューブの空間を歩くようなインターフェースが用意され、観る者をやわらかく包み込むような没入感が特徴。

これまで、横浪修、熊谷勇樹、藤田一浩ら気鋭の写真家とともに5つの展覧会を開催してきた本ギャラリー。その多くの作品が、静謐な雪景色だ。スウェーデン語で“雪”を意味する「SNÖ」という名に込められたギャラリー名のように、原点には山本の故郷である北海道の原風景がある。


©️Yasutomo Ebisu

今回公開された「Snow Town」では、写真家・戎康友が山本の地元を訪れ、44点の作品を撮影。新雪に覆われた丘、青く輝く氷、そして小さな町……。いくつもの雪風景の中には、山本が幼い頃に見た記憶や、長い年月を経てこそ浮かび上がる感情が静かに宿る。


©️Yasutomo Ebisu

「子どもの頃によく見ていた景色を、今の気持ちとともに記録に残したくて。
戎さんが以前、家族のお話をしてくれた言葉が心に残っていて、
私も色々な感情があった時だったので、思い切って相談しました。
初めて写真を見たとき、涙が出ました。
それは寂しさではなく、
“ここで育って良かった”という、
ありがとうの気持ちでした」——山本マナ

展示作品の間には、山本自身のことばが添えられ、写真家とスタイリストの間に生まれた静かな共鳴が、観る人の心をそっと揺らす。真夏にあえて公開された、雪に包まれた世界。寒さの中にあるぬくもりを、ぜひ「SNÖ」のギャラリーで感じてみてほしい。


©️Yasutomo Ebisu


©️Yasutomo Ebisu

【「SNÖ」オンラインギャラリー】
https://sno.gallery/

Text: Miki Suka