写真家・伊藤明日香の初写真展、母親とその母胎にいる子どもたちをみつめて
5月6日(金)から東京・中目黒のギャラリーCOMPLEXBOOSTにて、写真家・伊藤明日香の初の写真展「Conception」が開催される。
タイトルのConceptionとは「受胎」の意味を持つ。そのタイトルどおり、お腹に子どもを宿した母親たちの姿をとらえ、「内包されている見えないもの=子どもたち」と、これからつくられる家族をテーマにしている。
伊藤は撮影時に被写体となった母親たちへのインタビューを行い本展への考察を深めた。
もともと家族、母親、子ども、そしてその関係性を見つめようとする作品を作り続けてきた伊藤が今回妊娠中の母親を被写体としたのは「家族写真を撮るなら家族になる前をもっと知るべきだろうと思った」からだと言う。
「僕は男なのでおそらく一生妊娠をすることはなく、自分の子どもがお腹にいる体験が残ることはないと思われます。ですが誰もがお腹から産まれてきているということは共通していて、この経験と関係がない人は1人もいないはずです。この展示を通じて人が産まれるということを改めて考えることは、すべての人が共有できる経験だと思います」(伊藤)
鑑賞者にそういったことを感じてもらいたいと考え、展示構成は、自身が好んで使用する暗室での制作と母胎の中のイメージを重ね、鑑賞者の創造を促すような、それぞれの作品が関係し合うものとなっている。
「写真というフラットな形式だけで伝えるよりもインスタレーション、立体物にして空間の中とした方が来ていただく方により感じていただけるものが多いのではないかと思いました。それはものの大きさだったり見え方だったり、認識しているつもりでなくとも目の中に入ってくるものだったり、言葉ですべてを伝えるよりも体験として何か感じるものがあればと思っています」(伊藤)
会場では作品を販売するほか、会期中の5月8日(日)の母の日には、来場者の家族写真やポートレートの撮影会も実施する予定(有料。オリジナルC-TYPEプリント六つ切1点)。
一人でじっくりと、あるいは大切な人と一緒に、体験してほしい展覧会だ。