写真家・横浪修に訊く、最新作品集『AFTER CHILDREN』のこと

ファッションや広告の分野で活躍しながら、自身のレーベルやスウェーデンのLIBRARYMANなど海外の出版社からも作品集を発表している写真家・横浪 修。そのライフワークのひとつである「Children」シリーズは、子どもが野菜や果物を首と肩の間に挟んだポートレート。子どもたち本人が意識できていない、“無意識の瞬間”を捉え続けてきた。
このシリーズはこれまで「100 Children」「1000 Children」として発表されてきたが、今回、横浪修はこれらで撮影した子どもたちと再会し、もう一度撮影。3〜5歳だった子どもたちはティーンズになり、もう一度当時と同じ衣装とポーズでカメラの前に立った。この新旧の2つのポートレートを対にした作品集が『AFTER CHILDREN』だ。
今回この作品集を刊行するのが雑誌『MilK MAGAZINE JAPON』を刊行しているミルクジャポン パブリッシング。この作品集について、また子どもたちを撮り続けてきたことについて、「MilK JAPON WEB」が横浪に話を訊いた。
(MilK JAPON WEBのオンラインストアで先行予約受付中。写真集情報は記事末にて)

——これまでもこのシリーズは「100 Children」「1000 Children」とシンプルなタイトルで発表してきましたが、今回の『AFTER CHILDREN』というタイトルには、どのような思いが込められているのでしょうか?

横浪 修(以下横浪)「100 Children」「1000 Children」と同じように、タイトルがそのまま内容を伝えるようなものにしたいと思っていて。だから、これまで撮影してきた「children」シリーズの「その後」という意味で、ストレートに『AFTER CHILDREN』としました。

――これまで約10年にわたってたくさんの子どもたちの表情をとらえてきました。そのなかで、いつ、どうして成長した子たちを撮ろうという思いを抱くようになったのですか?

横浪 「100 Children」をやって、ポートレートを同じバックグラウンド、同じポーズで撮ることで個性が浮かび上がってくるということが改めてわかりました。でも100人だと他の人でもできそうだと思い、1000人を撮ろうと「1000 Children」に取り組んだんですが、そのうちに「この子たちのその後を撮りたい」と思うようになったんです。今カメラの前に立っている小さな子が12歳くらいになったときに、きっと変化が見られるだろうと思って。
5~6歳くらいの子どもは、少しずつ自意識が出てくるころです。3〜5歳くらいまでの子どもを撮影した「100 Children」「1000 Children」では、その中の無意識の瞬間の表情を撮ってきましたが、12歳くらいになると思春期に入ってきて、もっと自意識が出てくるんですよね。その中で無の状態でいてね、とお願いしました。

——『AFTER CHILDREN』で再び子どもたちを撮影して以前とは違った点はありましたか?

横浪 実際にカメラの前に立ってもらうと、思春期特有の不信感があったり、あとは可愛く撮ってもらいたい、こう見せたいという自意識の強い子もいる。それを「自然に、普通にしててね」とお願いしました。

——あの首元に野菜や果物を挟むポーズをとることも「自然に、無になる」のに効果的だったのではないでしょうか? 挟むことに集中して、子どもたちは自分をよく見せようとかそういう自意識を忘れてしまう。

横浪 それはあると思いますね。ティーンエイジャーになった子どもたちは、ずいぶん大人っぽくなった子がいたり、自分の好きな世界に夢中になっているオタクっぽい雰囲気の子がいたり、それぞれに成長していました。3〜5歳くらいの子は無条件にキャラクターが立っていたけれど、そういう無垢さみたいなものの代わりに個性が立ってきたように感じました。

——写真集は出来上がったばかりですが、お手元に届いてどんな思いを抱きましたか?

横浪 やっぱり印刷が上手くいったかなと気になりますね…(届いたばかりの写真集を開く)…大丈夫そうですね。
10年前と今とのポートレートを対にするとその変化は一目瞭然ではあるんですが、特に目を見てもらいたいですね。無意識の中の自意識が、やっぱり目に現れていると思います。

——横浪さんにとって『AFTER CHILDREN』はどんな作品集になりましたか?

横浪 正直、撮るのは小さい子の方が楽しいんです。ちびっこの方がハプニングがあって、思いもよらなかった表情が撮れたり、発見や驚きがあったりします。12歳くらいになると、「まっすぐ立って、笑顔でなくて普通の素のままでいいからね」と指示をするとみんなその通りにちゃんとできて、撮影もすぐ終わってしまう。なんというか、ただ写真で記録しているだけのような感覚になるんです。
でも、こうやってまとめて作品集にすると、やっぱりやってきた意味があるのかなと思えますね。この『AFTER CHILDREN』は、約10年前の子どもたちを撮った「1000 Children」がないと成立しないわけです。だからこれは自分にしかできないことだったと思います。

写真集情報

『AFTER CHILDREN』
著者:横浪修
仕様:96ページ/W220mm×H245mm/PUR製本
初版部数:800部
価格:4500円(税別)
ISBN:978-4-907977-06-1
出版社:MILK JAPON PUBLISHING
全国書店にて8月8日(月)より発売

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写真展情報
【本屋青旗 Ao-Hata Bookstore】
福岡県福岡市中央区薬院 3-7-15 2F
会期:2022年7月22日(金)〜8月14日(日)
時間:12:00〜19:00
定休日:水曜日

【SPACE BANKSIA】
東京都渋谷区神宮前3-20-3 石井ビル1F
会期:2022年9月27日(火)〜10月5日(水)
時間:11:00〜20:00
定休日:会期中なし

【RINEN GALLERY】
大阪府吹田市垂水町3-34-22
会期:2022年10月15日(土)〜23日(日)
時間:11:00〜18:00
定休日:月曜日

横浪 修(Osamu Yokonami)
1967年 京都府舞鶴市生まれ。1989年 文化出版局写真部入社。中込一賀氏に師事。自身の作品制作を行いなが ら、ファッション写真・広告写真・CD ジャケット、ムービー、ドローン撮影などを手がけてい る。ユニークさと透明感が共存する写真は、他のどこにもない独自の世界を構築している。
ウェブサイト
Instagram: @osamuyokonami