家族愛、人生の眩さを描く『マイ・ライフ』

はじめてのOUR FAVORITE。何を紹介しようかなと迷いましたが、こちらの映画を選びました。シリアスな題材を扱いながらも、どこか温かい、映画『マイ・ライフ』(1993年)です。私がこの作品と出会ったのは、昨年のコロナによる自粛期間。父の勧めで、家族みんなで鑑賞しました。
順調にキャリアを重ね、妊娠中の美しい妻と充実した毎日を送るボブ(マイケル・キートン)は、突如、末期ガンの宣告を受けます。余命僅かなボブは、まだ見ぬ我が子に向けてビデオレターを撮影し始め、明るく懸命に日々を過ごします。
余命宣告という残酷な現実の中で、生まれてくる我が子のためには何ができるのか。弱りゆく心身を奮わせ、一生懸命ビデオレターを撮り続ける姿は、まさに無償の愛を体現しています。普遍的な題材の作品ですが、ボブのジョークを交えつつ、明るく人生の眩さ、素晴らしさを説いているところも、本作の魅力のひとつだと思います。
鑑賞後、この作品を勧めてくれた父の真意にも気付きました。不器用にも、この作品を通して、母と私に愛情を伝えてくれていたんですね。熊みたいな風貌の父が、なんだかかわいく思えました。(T)