FASHIONFeature2022.04.14

Blessings of Nature

〈プチバトー〉と考える、服はどこから?
さらり、しっとり、あざやか、あたたか、つややかー毎日、私たちが身につけている服。使われている生地はさまざまで、その風合いや印象もいろいろだ。なかでも天然素材を使った服の着心地は、自然の恵みそのものだ。そんな天然素材を中心により環境に配慮した服作りを追求する〈プチバトー〉と一緒に、服と自然の関わりについて親子で考えてみよう。

*服の素材と関わりのあるモノを線で結んでみるクイズです。記事末からpdfでダウンロードできます。以下が回答になります。

さて、キミの着ている服は何でできている?

コットンと綿花

綿花の種子をつつむふわふわの繊維がコットンの原料。栽培や生産の過程において環境負荷が高く、よりサステイナブルな方法が模索されている。

ウールと羊

ウールは古くから使われてきた繊維。羊の毛を刈り、洗って紡いで糸にする。羊毛は、主にオーストラリアやニュージーランドで生産されている。

リヨセルとユーカリ

リヨセルはユーカリなどの木材を環境に無害な溶剤で溶かして繊維にした天然素材。ユーカリの栽培は少ない水ですみ、溶剤は再利用が可能と、環境負荷が低い素材の1つ。

ジーンズと綿花、藍

デニムには100年ほど前から天然の藍ではなく合成インディゴが広く使われている。染色と洗浄に大量の水を使うため、その生産過程が見直されている。

リネンと亜麻

最古の繊維と言われているリネン。昔も今も、発酵の力を借りて亜麻の茎を分解し繊維をとるため、環境負荷が低い天然素材。

リサイクルナイロンと漁網・ペットボトル

リサイクルナイロンは、廃棄された魚網やペットボトルなどを再生して繊維に。ゴミを資源として再利用できるサステイナブルな素材。

服を楽しみながら自然ともっと仲良くなろう
寒い冬にはふかふかのセーターや暖かいコート。日差しが強くなったらさらりとしたTシャツや軽やかなワンピース。私たちは毎日、着るもののおかげで楽しく快適に過ごすことができています。
人間が服を着るようになったのは何万年も前のことですが、以来ずっと私たちは自然の恵みを身につけてきました。植物の繊維を編んだり、動物の毛を刈って紡いだり。また、最近では合成染料が使われることが多いですが、草花で糸や布を染める技法は今も使われています。そういった自然と服の関係について知ることは、日常の中で自然に触れる機会でもあるのではないでしょうか。
しかし、服を通じて自然の恵みを受け取り続けるためには、私たちが地球についてもっと考える必要があります。地球に生きるすべての生き物にとって大切な水、空気、大地。これを守るために今、服作りにおいてもさまざまな取り組みがされています。
例えば、原材料の栽培や加工過程で自然環境にあまり影響を与えない素材を取り入れたり、従来のやり方を見直してより地球にやさしい生産方法を考えたりする。あるいは、ペットボトルや魚網をリサイクルして作られた繊維を使えば、プラスチックごみを資源として活用することができます。作りの良い服を選んで長く楽しんだり、古着を再販売してコミュニティ内で着回すなどの積極的な仕組みも大事。自然のおすそ分けである服を大切に活用し続けることができます。もちろん、自然の生き物そのものを守ることも忘れてはいけません。
そんなふうに、環境に配慮し、より道徳的でエコロジカルな生産方法を取り入れているのが、〈プチバトー〉です。あらゆる世代に愛される服を作り続けてきたからこそ、地球と子どもたちの未来を大切に考え、SDGsに取り組んでいます。次のページでは、その具体的な取り組みについてご紹介しましょう。

子どもたちと自然をつなぐ懸け橋になるために 〈プチバトー〉の服づくり、3つの約束
流行に左右されず世代を超えて引き継がれる服を作ること、服を少しでも⻑く着てもらうためにリサイクルシステムを整えること、そして環境に優しい素材を使用すること。〈プチバトー〉では2025年までにすべてのアイテムで、環境に配慮した素材の100%適用を目指しています。その中から素材にまつわる3つの取り組みをご紹介。

オーガニックコットン/Organic Cotton
オーガニックコットンとは、農薬の使用を極力抑えた有機農法で生産された、遺伝子組み換えではないコットンのこと。なんと、オーガニックコットンの生産量は世界中のコットン生産量のわずか1%と言われています。現在、通常のコットンを生産するためには、大量の殺虫剤や駆除剤が必要になり、地球の生態系や農業関係者への健康被害が危惧されています。オーガニックコットンは、水や土壌の質、生物の多様性、生産にたずさわる人々の健康、ひいては未来の地球を守るための選択です。〈プチバトー〉では2022年春夏コレクションではオーガニックコットン製のアイテムを先シーズンの倍に増やし、2025年までには全てのコットン製品でオーガニックコットンを採用することを目指しています。

レスポンシブル・ウール・スタンダード/Responsible Wool Standard(RWS)
レスポンシブル・ウール・スタンダードとは、羊毛が最終製品になるまでのすべての工程において、責任ある管理がなされていることを証明する国際的な認証基準です。責任ある管理のひとつに、羊の扱いが挙げられます。羊は毛が長くなるとお尻まわりに寄生虫が発生し、それが元で羊が死に至ることもあります。そこで衛生を保つためにお尻周りの皮膚を切除するミュールシングという処置が慣習となっていました。しかし近年では動物福祉を考慮しミュールシングを禁止する国が増えています。そういった動物の人道的な扱い、健全な土地保全、サプライチェーンなどの厳しい基準をすべてクリアして初めてレスポンシブル・ウール・スタンダードとして認証されます。プチバトーでは、2023年までにこのレスポンシブル・ウール・スタンダード認証取得のウールのみを使用することを目指しています。

ウォータレスデニム/Waterless Denim
地球に暮らすすべての生き物に欠かせない水。地球の80%を占める水。水を大切に使うことは、すべての生き物と共存するための基本であり、海と地球の未来を守ることに繋がります。〈プチバトー〉では水を守りながら服を生産するために、2021年からウォーターレスデニムを選択しています。ウォーターレスデニムとは、洗いの工程で使用する水を大幅に40%も削減したサステイナブルなデニム素材です。その他にも、「化学薬品を57%カット」「オーガニックコットンを75%使用」「作業工程のエネルギーを25%カット」と、さまざまな点で環境に配慮しています。もちろん、着心地や丈夫さはこれまでのデニムと変わりません。

〈プチバトー〉が伝えたい「水の豊かさと重要性」
1893年に子どもの肌着からスタートした〈プチバトー〉は、今や幅広い世代のために、着心地がよくてデザイン性も高く、身にまとうだけで気持ちがハッピーになる……そんなアイテムを作り続けてきたフランスのブランドだ。そんな〈プチバトー〉が今、新たにミッションとして掲げているのが、「すべての子どもが、自然とのつながりを持てるようにサポートすること」。自然とのつながりを通して子どもたちに創造性や自信を育んでもらい、そして地球を守りたいと願う気持ちを抱いてほしいという思いからだ。特に、すべての生命の源である「水」の豊かさと重要性を子どもたちに発見してもらうことに力を入れている。
2021年からは、フランスで子どもたちに水の大切さについて伝える活動をしている団体「ウォーターファミリー」とパートナーシップを結び、活動を開始。今年は〈プチバトー〉の創業地であるフランス・トロワの生産工場内に「ウォーターファミリー」の活動拠点を開設した。トロワ市内の学校で、水と健康、そしてすべての命を守ることについて子どもたちと一緒に考えるプロジェクトが始動する。また、工場施設内では既存の共同菜園の活性化や野鳥の保護を促進していく。この取り組みについて〈プチバトー〉ダルーゼ社長は「産業界と各種団体が力を合わせて課題に立ち向かうことがこれまで以上に重要だ」と言う。このパートナーシップはまさにそういう動きを促すものの1つだ。
そして今シーズンはこの〈プチバトー〉と「ウォーターファミリー」とのコラボレーションコレクションも登場。日本でも6月中旬よりEC先行でアイテムが並ぶ予定だ。ベビー、キッズ、大人サイズが揃うので、それぞれのアイテムを身につけて、「この服はどこから?」と親子で思いを馳せることから始めてもいいかもしれない。

〈プチバトー〉

Illustration: Kensuke Ito
Edit & Text: Sachiko Kawase

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