「くらし」と「人生」を謳歌する「柚木沙弥郎 life・LIFE」展へ
《世の中はいろいろ変わって目まぐるしくもあるけど、その変化を面白がる。日常のことに気がつく、発見するっていうことが、僕にとってやっぱり生きがいにつながっているんです。》(『柚木沙弥郎の言葉』グラフィック社刊、P.34)
染色作品をはじめ、版画や絵画、立体、絵本などジャンルを超えた表現で70年を超える創作活動を続けている、染色家でアーティストの柚木沙弥郎(1922年〜)。そのさまざまなジャンルの作品を一堂に会した展覧会が、この冬、立川〈PLAY! MUSEUM〉で開かれる。
冒頭に紹介した言葉は、今年刊行された著書の中で自身の創作活動について思うことを綴った一文だ。あるインタビューでは、宅配便の伝票の裏面の黒いカーボンの模様を「面白い」「モダンなアートデザインのように見えた」と語り、また《自分が面白くなれば、他人も面白くなる。それがものづくりの原点》(同書、P.70)とも。柚木沙弥郎さんの大胆で自由な雰囲気の作品は、これら言葉のように日々のなかで発見し面白がることから生まれ出るものなのだと感じさせられる。
本展のタイトル「life・LIFE」は、まさに「くらし」と「人生」を表すもの。本展は、柚木さんの作品を見つめてワクワクする場であり、「くらし」と「人生」を全身で感じ謳歌するものだ。
展示は、うずまきの空間〈PLAY! MUSEUM〉ならではの構成。入り口から始まるのは「絵のみち」。柚木さんが1990年代から手掛ける絵本の原画80点が並び、柚木さんらしい型染めや絵具でのペインティングなどの技法で、生き生きと表情豊かに描かれた人や動物たちが出迎えてくれる。
『つきよのおんがくかい』原画 1999年 ⽊城えほんの郷蔵
また、絵本『トコとグーグーとキキ』(2004年、福音館書店)に登場する町の人々を紙粘土と布で表現した人形「町の人々」は、現在日本にある約20点を展示。
《町の⼈々》 2004年 世⽥⾕美術館蔵 撮影・上野則宏
うずまきの通路には、柚木さんのお気に入りの雑貨や世界各地の人形などが梁の上やキャビネットの中に展示されており、「ご自宅に飾られているそのままを美術館に持ってきた」とのこと。柚木さんの暮らしをいろどっているちょっとしたワクワクを感じることができる。
そんな楽しい展示に導かれて進んでいくと、そこは「布の森」。展示空間に約50点の大きな布が吊るされ、空気の動きにそよぐ。この森では、布のかろやかさ、やわらかさの中で、柚木さんが70年以上にわたって向き合ってきた型染めで染め抜かれた、さまざまな模様が空間に躍動する。
Left:《びっくりマーク》2015年 大島忠智蔵 撮影・平野太呂 Right:《Morning》2019年 IDÉE蔵 撮影・平野太呂
展示を堪能したあとには、ミュージアムショップで大型の展覧会図録(A3変型、168ページ、並製、B1ポスターのカバー付き/染色作品の撮影:平野太呂)や本展オリジナルグッズを買い物するのも、楽しみのひとつ。
また、小さな子どもと一緒に訪れる人にぜひお勧めしたいのが、上のフロアにある〈PLAY! PARK〉のワークショップ。「する・刷る」は柚木さんが使っている技法の型染めを体験できるワークショップで、自分の好きなように切り抜いた型で、長い和紙に繰り返し模様を刷る。子どもたちの作品は〈PLAY! PARK〉に展示。会期が進むにつれ作品が増えていき、柚木さんの展示の「布の森」のように、森となっていくという企画だ(ワークショップは日替わりなので開催日はホームページをチェック)。
柚木沙弥郎さんの作品を“見る”だけでなく“感じる”ことができるこの展示で、そのダイナミズムやユーモアを体感してほしい。
【プレゼント】
本展の招待券を5組10名様にプレゼントします。MilK MAGAZINE JAPONのインスタグラムかツイッターをフォローいただいたうえで、hello@milkjapon.com宛に、メールのタイトルを「柚木沙弥郎 life・LIFE展プレゼント係」とし、「お名前」「送り先住所」を明記の上、ご応募ください。
締め切りは12月3日(金)です。
※プレゼントの当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせていただきます。
※応募・抽選・発送に伴う個人情報の管理・運用については当社のプライバシーポリシーに基づき実施されます。
TOP Image:「柚⽊沙弥郎 life・LIFE」展覧会ビジュアル