展覧会『ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家』開催
スウェーデン在住のガラス作家、山野アンダーソン陽子は、MilK JAPON WEBでも写真家・長島有里枝との連載「ははとははの往復書簡」が人気を集めた、個性あふれるアーティストだ。
彼女の作り出すガラス食器は、宙吹きならではのわずかな歪みがに愛着が生まれる名品ばかり。北欧最古のガラス工場でその手法を身につけ、今もなお古来の技術で制作されるクリアーガラスの食器は、「それはちょうど私たち皆がそれぞれに違うことと似ている」と山野が言うように、手作業ゆえに一つひとつが微妙に異なった独特の佇まいを見せる。
そんな、山野によるアートプロジェクトを体感するような展覧会、『ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家』が、東京オペラシティ アートギャラリーで開催中。この展覧会は、山野が作ったガラスの器を18人の画家が静物画に描くという、山野が2018年にスタートさせたアートプロジェクト「Glass Tableware in Still Life(静物画のなかのガラス食器)」がベースとなっている。
プロジェクトは、まず画家が“描いてみたいガラス食器”を山野に伝え、その言葉を解釈して山野がガラスを吹き、出来上がったグラスやボトルを見ながら画家が絵を描くというもの。会場では、画家たちの目線で切り取られた山野のガラスの器とともに、画家のアトリエを訪れて撮影をしたという、写真家・三部正博の作品も飾られている。
会場では、公式図録のほか、本展のために山野が書き下ろしたエッセイ集『ガラス』が販売されるだけではなく、当プロジェクトを自宅に持ち帰ることのできるオリジナルブランド〈Glass Tableware in Still Life〉も展開予定。ガラス食器にまつわる食卓&キッチン用品は、要注目。スウェーデンとドイツ、日本を舞台にくり広げられた壮大なプロジェクトの展示からは、山野と18人の画家たちとの対話や、絵画というフィルターを通して私たちに届くガラス食器のもう一つの魅力が感じられそう。
TOP: 三部正博《アンナ・ビヤルゲルが描いた静物画〈milk〉》2022(参考作品)Masahiro Sambe, Anna Bjerger’s still life painting milk 2022
Text: Miki Suka