Lifestyle magazine
for modern family
DATE 2017.11.21

03 AI 時代に必要な力とは?
“ 異才” を発掘する、 ROCKET プロジェクト

学校や塾に習いごと、毎日忙しい子どもたちにとって自分らしく生きられる「学び」とはどんなものなのでしょうか?学校教育にとどまらない、独自のエデュケーションを進めるスペシャリストたちが、実践的な新たな学びのかたちを紹介していくコラムシリーズ。
今回は、ユニークな子どもたちの個性を活かす「異才発掘プロジェクト ROCKET」を推進する、東京大学の中邑賢龍先生のお話を、3回にわたりお届けします。第3回目の最終回は、ROCKETの教育の指針となる、殘り2つのポイントと教育論の総まとめです。
・第1回目「学校に行かないのは、悪いこと?」と合わせてご覧ください
・第2回目「知識ではなく、生き方を教える学びの場」と合わせてご覧ください

3. ユニークさを楽しむ

 ユニークな子どもたちと付き合うのは大変でしょうとよく言われます。確かに、常識に合わせようとすると心配になり、ほとんどの人はイライラするでしょう。集団で一斉に活動していると彼らを同じペースで参加させることは大変です。でも一斉指導を原則としてしないROCKET であれば個々が好きな活動をやっていても全く気になりません。むしろ個々の突き抜けた活動をこちらも楽しんでいるのですから。そんな彼らでも本当に生きるために必要だと思えば、彼らの方から勝手に集団の授業に入ってきます。

 また、教科書を開いて勉強させることも大変です。それならば教科書を使わなければいいだけです。ROCKET の教育の基本は普段の子どもたちの活動です。調理したり、工作したり、移動したりする中で教科に関連した大切なことをちょっとだけインプットしておけば、彼らは知識の大切さに気づいて自然と吸収していきます。例えば、異なる値段のリンゴを食べながら、「なんでこんなに値段が違うのかな?」と問いかけておくだけで、産地の規模、輸送費、貿易、為替などの話題につながっていきます。我々が合わせるのではなく、彼らのスタイルに合わせた場所を作れば、ユニークさを発揮する彼らを安心して、また、楽しみながら見守ることができます。

例えば、ROCKET にはキノコが大好きな中学生H 君がいます。彼は学校でキノコの話しかしないので浮いています。でも私は彼の話が大好きです。知識だけでなく採集経験も豊富で話は尽きません。「日本にもトリュフやポルチーニがあるよ。今度採集してくるから」と言って、次週には素晴らしいトリュフが籠盛りで届くのですから驚きです。都内のイタリアンやフレンチ料理のシェフが集まった日はさらに話が盛り上がりました。