おこさま人生相談室 第14回-小林エリカ

おとなのお悩み

やりたかったお仕事なのに、わたしには向いていないのでしょうか。

今回、人生相談にお答えいただくおこさまは、Aruさん(8歳)です。
3歳の時にYoutubeで見たバレエ「くるみ割り人形」にビビッときたAruさん、4歳からバレエをはじめて、今は週に二回バレエの教室に通っています。夢はバレリーナになって「くるみ割り人形」の主人公、クララの役を踊ること。
長く伸ばした髪は人生でまだ三回しか切ったことがないそうです。


おこさま紹介

お名前: Aruさん
年齢: 8歳
生まれた場所: 東京都
住んでいる場所: 杉並区
好きな食べ物: サラダ
嫌いな食べ物: こんにゃく、あと、かまぼこ
これまでの人生で楽しかったこと: たくさんありすぎる。まずAruの誕生日でしょ、はじめて二重跳びが跳べた日でしょ、あと、ママからプレゼントもらった日
これまでの人生で哀しかったこと: けんかしたときとか
得意なこと: 絵をかくこと、あみもの
苦手なこと: あや跳びが苦手 よくひっかかっちゃう
好きなこと: バレエ、そろばん、ママといっしょにお茶すること、絵をかくこと
将来の夢: バレリーナ

おこさまをよく知る人からのご紹介のことば:
バレエと本と映画が大好き!天真爛漫、生真面目ガールです! (パパより)


絵が得意なAruさんがいつも持ち歩いているスケッチブックより
渋谷Bunkamuraザ・ミュージアム「ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで」展を訪れた時のAruさんのデッサン画


おじさんと赤ちゃんの顔の違いについての考察画

(Aruさん、以下A)

さて、今回のおとなのお悩みは?

Q こんにちは、まだ大人と言える年齢ではないかもしれませんが、相談させてください。わたしは今新しいお仕事を始めたばかりで、そのお仕事はとてもたのしく前からやりたかったお仕事ですが、わたしには向いてないのか、ミスばかりしてしまい最近いやになっています。前のお仕事はたのしくなかったですが、わたしに向いていたのか、仕事は順調でした。これからどうすればいいでしょうか?
(生うにさん 22歳 東京都在住)

A  真逆だなあ。それがちょうど反対だったら、ちょうどうまくいけるけど……。

──反対だったらといいますと?

A  ほら、好きな仕事でうまくいって、嫌な仕事であんまりうまくいかないんだったらちょうどだけど。

──そうですよね。でも、生うにさんは、せっかくやりたかったお仕事なのにミスばっかりしてしまうそうなんです。

A  上手にならなきゃいけないけど。

──上手になるためには、どうしたらいのでしょうか?

A  うーん。他の人のを見るとか?

──なるほど、他の人のやり方を見たら、上手にできるようになりそうですね。

A  たぶん。

──はい。

A  それかお友だちに教えてもらったり?あとはまあ、練習したり、する、かな。

──ところで、生うにさんは、そもそも、たのしくないけれど上手にできていた前の仕事ではなく、ミスばかりしてもこのずっとやりたかったお仕事をした方がいいのでしょうか?

A  うん。やりたいのをやった方がいい。Aruはそう思う。

──どうしてAruさんはそう思うのでしょうか?

A  だって、やりたいことができなかったら、ちょっとやだし、もっとやりたかったのに、みたいに思うから、先にやったほうがいいと思う。

──では、生うにさんが、このやりたかったお仕事をこれからがんばって続けられるためには、どうしたらよいのでしょうか。

A  なんか、勇気みたいなのをだしてあげたい。

──どんな風にでしょうか?

A  いま嫌なことだから、一回たのしくなってから……また、たのしいことをしてからやったら、気分がなおって、またやりたいって思うかも。

──やりたかったお仕事がいやになってしまっているんですものね。どんなたのしいことをすればよいのでしょうか。

A  なんか好きなお友だちと一緒に遊んだり、一緒にごはんたべたりしたら、やっぱいまの仕事をやりたいって思うから。


Aruさんによる処方箋画 この鳥もしあわせ。たのしいこと。テラスのカフェにいって、たのしくなって、またやっぱ、たのしい仕事がしたいって思えるように描いた絵。
生うにさん、いかがでしたか?
いまはいやになってしまっていても、たのしいことをしてみれば、きっと、またたのしい仕事がやりたいって思えるようになるかもしれないですね。
やりたいことを、やったほうがいいそうですよ。
というわけで、今回の、おこさまからの箴言。


なんか、勇気みたいなのをだしてあげたい

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お悩みを随時お待ちしています。おこさまに相談したい方はぜひ、ペンネームと年齢、お住まいの都道府県を記入のうえ、こちらまでお悩みをお送りください。

絵・取材・文
小林エリカ

新刊はシャーロック・ホームズ翻訳家の父の生と死を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)。他の著書には小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社、第7回鉄犬ヘテロトビア文学賞受賞)や『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)、コミック『光の子ども』1〜3巻(リトルモア)など。