Lifestyle magazine
for modern family

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DATE 2020.02.14

第46回:salvia デザイナー セキユリヲより
私たち夫婦で、子どもを幸せにできるだろうかと話し合った。

女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。昨年2月からはじまった、絵本作家ユニット、tupera tuperaの中川敦子さんとサルビアを主宰するデザイナーのセキユリヲさんによる往復書簡。いよいよ、さいごのお手紙です。

セキユリヲさんから中川敦子さんへ。

 

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中川敦子さま

 

1年間、あっという間でした! 電話でもメールでもSNSでもなく、郵便の手紙のやりとりともまた少し違った「往復書簡」も、わたしからはこれが最後になります。バタバタと過ぎていき、気がついたら子どもが大きくなっていた、となりがちな子育て期間の中、ひと月に一度頭を整理して自分や家族のことを見つめ直し、つたないながらも毎月言葉にして。敦子さんにいつもゆったりと受け止めてもらえるので、無理せず自然に続けることができました。貴重な機会を本当にありがとう! 今度はみんなで会ってゆっくり話したいですね。

 

我が家では、先月インフルエンザB型が一巡して、やっと落ち着いたところです。チビの高熱から始まり、最後は看病していたわたしに感染して終わる、という「インフル家族あるある」な約2週間。いつもは元気すぎる子どもたちがぐったりして別人のようになり、家中がシーンと静まりかえっていました。長女は、ふだん喜怒哀楽がすごくはっきりしていて、何かにつけてプンプン怒ることも多いのだけど、熱が下がって何日も経ってからやっと「コラーーーーーア、るいとおおおおお!!!」と弟の名前を叫ぶようになりました(笑)。「ああ、元気になったんだねえ」と夫とひと安心。「怒る」って、人間の感情の中でもすごくエネルギーを使うことなんだなあということに感心しました。「おとなしめの子を育てるとこういう感じなのかもね」なんて、ふたりが元気になった今では笑い話をしていますが、体力的にも精神的にも本当にきつかった〜!健康は何よりの宝物。中川家は大丈夫でしたか?

 

そうそう、書いてくれた通り、うちはまだまだ小さな子たちを前にテンテコマイです。もうすぐ3歳の長男なんて一番のいたずら盛りで、ちょっと目を離したら、泥棒が入ったのかと思うくらい部屋中がぐちゃぐちゃになっていたり、外に出たら出たでパパパパーっとどこかに消えて、遠くでニコニコ笑っていたり。でも、振り返ってみたら「あの頃、よかったなあ、かわいかったなあ」と思い出すのでしょうね。

今回、最後のお手紙ということで、子育てをしていく上で何を大切にしているかなあとあらためてじっくり考えてみたのですが…。

 

ひとつめは、人との関わり。親や先生などタテの関係、友達や兄弟などヨコの関係、そして、近所の人や先生以外の大人たちとのナナメの関係など、常に多様でいろいろな価値観を持っている人の中で子どもたちに成長してもらいたいなあと思います。

 

ふたつめは、自然との関わり。人生を通して、厳しくてやさしくて美しい自然の中から学ぶことは大きいです。助けてもらうこともたくさんあります。また、人間の力だけではどうにもできないものごと(神さまみたいなことも)に対して、尊敬の気持ちを持てる人になって欲しいです。

 

みっつめは、自分で決めて、自分で行動できること。これからの人生の歩みの中でたくさんの決断が待っていると思うのですが、大切な人に相談しながらも自分で考え、道を開いていける人になってもらいたいです。

 

と、いろいろ書いたものの、とにかくのびのび、その子らしく自由に育ってくれたら十分です。特別養子縁組というかたちでふたりの子どもたちに出会えたことに感謝。そして、この往復書簡を通じて、読んでいる方々に「いろいろな家族のかたち」をほんの少し知ってもらえたことにも感謝しています。

 

養子縁組する前は、私たち夫婦で子どもを幸せにすることができるだろうか、本当に実現できるのだろうか、と不安になることもありました。何度も泣いたし、話し合いもたくさんしました。でも、あの時に諦めず思い切って本当によかった。養子を迎える決断をしていなかったら今の私はどうなっていたんだろうと、思います。

 

日本では、乳児院や児童養護施設などで暮らしている子どもが4万人もいます。予期しない妊娠をして育てるのが難しいというケースもあります。血のつながりがなくても、「お父さん」「お母さん」を待っている赤ちゃんや子どもたちがいます。そして、数年前の私のように子どもを育てたいと願う人も、たくさんいます。

 

もし、子育てしたいけれどなかなか思うようにいかず、養子縁組や里親になることを考えていたり、悩んでいる方がいたら、自分はいつでも背中を押せるような存在になりたい。子育てが人生の全てだとは思わないけど、ふたりの子どもたちがいると、毎日の喜びも笑いも2倍以上。大変なこともあるけど、彼らの笑顔と寝顔で疲れが吹き飛びます。お日さまとともに生きるような時間の使い方になったし、子どもを通じて大切な人のつながりも増えたし、それまでできなかったたくさんの豊かな経験をもらって、今とても幸せです。

 

「お母さんの宝物ってなーんだ?」と長女に聞いたら、間髪入れずに「かぞく!」と答えてくれました。

「ピンポーン、大正解!」。

 

ではまたね。

 

セキユリヲ

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次回更新は2/28(金)の予定です。絵本作家tupera tuperaの中川敦子さんからのお返事です。