おこさま人生相談室 第39回-小林エリカ
おとなのお悩み
小学1年生の子どもが「なんで学校に行かないと行けないの?」と言います。
今回、人生相談にお答えいただくおこさまは、まほさん、10歳です。3年生のときの授業で昆虫(蚕)の勉強をして以来、生き物が大好きになったそう。犬のムック、マロン、ルマちゃんの他に、フナとメダカを飼っています。夏にはカミキリムシ、クワガタ、カブトムシ、バッタ、オオカマキリを捕まえますが、1週間から1ヶ月飼ったら自然に帰すそう。なぜなら、自分が虫の身になったら嫌だから。
おこさま紹介
お名前:まほさん
年齢:10歳
生まれた場所:目黒
住んでいる場所:そこ
好きな食べ物:牛肉 誕生日にタンをブロックで買ってもらった
嫌いな食べ物:スイカとメロン けどキュウリは大好き
これまでの人生で楽しかったこと:水辺の学校(川で魚をとって観察してから逃がすなどといった活動をする場所、1年前から月1回通っていていまはスタッフになった)
これまでの人生で哀しかったこと:3歳のとき、まほに一番なついていた犬が死んじゃって、車の中で一日中泣いてた
得意なこと:虫捕り(特にチョウ、カブトムシ、クワガタ)
苦手なこと:くもん
好きなこと:水辺の学校
将来の夢:動物関係の仕事につく
おこさまをよく知る人からのご紹介のことば:
おこさまをよく知る人からのご紹介のことば:
自然が好きでおもしろくてシュール ものごとをさっぱり決めちゃう。
(リコピンさんより)
まほさんが描いてくれたハクセキレイ
(まほさん、以下M)
さて、今回のおとなのお悩みは?
Q 小学1年生の子どもが「なんで学校に行かないと行けないの?」と言います。みんなは何で学校に行っているのですか?
(のんのん 39歳 東京在住)
M なんでだ?え、なんでだ?
──なんで学校、行っているのでしょう?
M えっと、勉強するため。
勉強して、将来に役立てるため。
──まほさんは、学校が楽しいですか?
M 友達と一緒に楽しくしよう。
──学校行きたくないな、というときはありますか?
M やだなってときはある。
3年生の後半から4年生の前半ぐらいにいじめられたりしてて、そんとき、あぁ、もう学校行きたくないなっつって。
──そうなのですね。
M 保健室行って聞いてみたら、つらいときはおいでっていわれて、大丈夫だったから。
──保健室へなら行けた。
M 保健室の先生が、つらかったり、どうしでもやだったら、先生に言って、保健室においでって。
──保健室の先生にそう言ってもらえたら、大丈夫になった。
M そんなひとをほっといて、楽しくやろうって。
──つまり、いじめる人のことはほっといて、まほさんはまほさんで楽しくやろうって思えた、ということですね。
M そう。
──ところで、のんのんさんのお子さんは、小学1年生ですでに学校へ行くことに疑問を感じているようです。
M 先生がきびしいからとかじゃないの?
──なるほど。
M うちの妹も、学校中で一番厳しい先生が担任になって、なんか毎日怒られてて。きのうなんかも、友達が怒られてんのを聞くのもやだから、もう学校行きたくないって泣いてたから、保健室行きなって。
──保健室へ行ったらいい、と教えてあげたのですね。
M 保健室行って、それでもどうしても無理なら、相談室行ってって。
──それでもなお、学校へ行かなくてはいけないのは、なぜなのでしょう?
M おとなになったときに、勉強があんまりできないと、まわりの人たちについていけなくて、自分が困るから。
──それは、学校でしかできないことなのでしょうか?
M 家でも頑張ればドリルとかで勉強できるかもしれないけど、集団生活とか慣れないといけないから。
──のんのんさんはお子さんに、何と言ってあげたらよいでしょう?
M 嫌でも一日がんばって教室行って、それでもヤダならちゃんと自分で考えて。で、がんばっていくならそれはそれでいいと思うし。
──がんばって学校へ行けそうなら、行ったらいい。
M いかないって答えだったら、またちょっと経ってから、自分が行けるって思うまでちょっと考えて。
それで1日行って楽しかったら、それを続けて、学校に通ったらいい。
まほさんによる処方箋画
最初教室で楽しくないなって思って、保健室行って、家帰って今日はどうだった?って聞かれて、今日はこうこうこうだったって答えて、うまく解決方法見つけて、学校で友達と仲良くする絵
のんのんさん、いかがでしたか?
学校へ行くのは、おとなになったときに自分が困らないため。
保健室や相談室もあります。
それでも学校へ行きたくない方には、嫌でも一日がんばって教室行って、それでも嫌ならちゃんと自分で考えてみてもらうのがよいそうです。
というわけで、今回の、おこさまからの箴言。
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お悩みを随時お待ちしています。おこさまに相談したい方はぜひ、ペンネームと年齢、お住まいの都道府県を記入のうえ、こちらまでお悩みをお送りください。
小林エリカ
作家・マンガ家。新刊はシャーロック・ホームズ翻訳家の父の生と死を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)。
著書には小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社、第7回鉄犬ヘテロトビア文学賞受賞)や『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)、コミック『光の子ども』1〜3巻(リトルモア)などがある。