おこさま人生相談室 第38回-小林エリカ

おとなのお悩み

小学校5年生の息子が夏休みの宿題を全然やってくれません。

今回、人生相談にお答えいただくおこさまは、ゆうだいさん5歳です。スカイツリーをはじめて見たときから、急にタワーが好きになっちゃった♡という、ゆうだいさん。大好きなタワーのトップ5は、1位ブルジュ・ハリファ、2位東京スカイツリー、3位東京タワー、4位は上海タワー、5位は台北101。注目のタワーはこれからサウジアラビアにできる予定のキングダムタワー(ジッダ・タワー)。タワー好きのゆうだいさんのお悩みは、車や電車が好きな友だちと話が合わないこと。どうしても車や電車を好きになりきれない理由は、「想像に入りきらないから」。

おこさま紹介

お名前:ゆうだいさん
年齢:5歳
生まれた場所:埼玉
住んでいる場所:東京
好きな食べ物:うどん
嫌いな食べ物:オクラ
これまでの人生で楽しかったこと:誕生日
これまでの人生で哀しかったこと:ない
得意なこと:絵をかくの
苦手なこと:ない
好きなこと:「LaQ」(知育ブロック)であそぶの
未来の夢:建築家

おこさまをよく知る人からのご紹介のことば:
ばばから見た優大くんは、いろいろな事に興味を持つ事が多く今はタワーに興味津々です。外国のタワーの名前も写真を見ただけで私にいろいろと教えてくれます。性格は少し慎重ですが、パパとママが大好きな優しい優大くんです。
(ばあばより)
 

(ゆうだいさん、以下Y)

さて、今回のおとなのお悩みは?
 
Q 小学校5年生の息子が夏休みの宿題を全然やってくれません。毎年本人は最後の一週間で泣きながらやっています。どうすればいいですか?
(まさこさん 42歳 東京在住)

Y じゃあ、泣かないでちゃんとやらせるの。

──そうですね。泣かないようにちゃんとやらせるためには、どうしたらよいでしょうか?

Y 勉強にちゃんと慣れるように教えてあげる。

──なるほど、勉強に慣れればよいのですね。

Y ほんとは、勉強してるのかなあ?

──もしかしたら、勉強はしているのかもしれないですね。でも、夏休みは長いので、つい、宿題は後でやろうと思ってしまうのかもしれません。

Y ちゃんと、終わらせて、次のことやる。

──ゆうだいさんは、面倒なことや、あまり好きでないことでも、ちゃんとすぐにできるのですか?

Y うん。

──どうしたら、そんな風にできるのでしょう。

Y 好きなことあって、まだ好きなことあるから、すぐ終わらせて、次のことやるから。

──なるほど。好きなことがあるからこそ、面倒なことや、あまり好きでないことを先に終わらせて、その後、思う存分その好きなことをやる、ということですね。

Y うん。

──ゆうだいさんは、いつから、そうできるようになったのですか?

Y えっと、タワー見てから。

──タワー?!何のタワーを見たのですか?

Y 東京タワー。

──東京タワーを見て以来、すぐにできるようになった。

Y うん!

──ちなみに、タワーのどのようなところを見て、そのような気持ちになったのでしょう?

Y えーと、形とか、いっぱいあるところとか、高いところとか、見たら好きになった。

──タワーを好きになったおかげで、面倒なことも、好きでないことも、きちんと先に終わらせることができるようになった。

Y うん!

──タワーの力、好きの力は、偉大ですね。では、まさこさんの小学5年生の息子さんには、どんなタワーをおすすめしてあげればよいでしょうか?

Y じゃあ何個?

──ええと、では3個、お願いします。

Y 大阪通天閣でしょ。神戸ポートタワーでしょ。あと、京都タワー。

──ほう。この3つのタワーを見れば夏休みの宿題もすぐにできるようになる。

Y うん!

──最後の一週間も泣かずにすむでしょうか?

Y うん!


ゆうだいさんによる処方箋画
左から大阪通天閣、神戸ポートタワー、京都タワーの絵。

まさこさん、いかがでしたか?
タワーがあれば、好きがあれば、面倒なことや、あまり好きでないことも、すぐできるようになるそうです。
ぜひ小学5年生の息子さんとご一緒に、タワーを、好きを、見あげてみてください。もう宿題が終わらないことも、最後の一週間に泣いてしまうことも、なくなるかもしれません。
というわけで、今回の、おこさまからの箴言。


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お悩みを随時お待ちしています。おこさまに相談したい方はぜひ、ペンネームと年齢、お住まいの都道府県を記入のうえ、こちらまでお悩みをお送りください。

絵・取材・文
小林エリカ

作家・マンガ家。新刊はシャーロック・ホームズ翻訳家の父の生と死を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)。
著書には小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社、第7回鉄犬ヘテロトビア文学賞受賞)や『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)、コミック『光の子ども』1〜3巻(リトルモア)などがある。