おこさま人生相談室 第31回-小林エリカ
おとなのお悩み
ひどい心配性で無駄に疲れてしまいます。
今回、人生相談にお答えいただくおこさまは、櫂さん、6歳です。25種類ほど持っているレゴを、ほぼ毎日のようにやっているそう。テレビでも「レゴ・ニンジャゴー」を観ています。「エレメント・ドラゴン」(レゴ)も2日で組み立て完成させました。レゴを、あきらめたことも、飽きたことも、一回もなく、唯一レゴをやめるのは、寝なくてはいけない時間だけ。
おこさま紹介
お名前: 櫂さん
年齢: 6歳
生まれた場所: 板橋区
住んでいる場所: 板橋区
好きな食べ物: 梨です
嫌いな食べ物: ナスとオクラなんだけれどオクラの方が苦手
これまでの人生で楽しかったこと: さくら組の運動会 リレーと組体操でスターとかピラミッドとか花火をした
これまでの人生で哀しかったこと: あんまりないかな くやしかったことはいっぱいあるけど(くやしかったことは自転車をはじめたばかりのころ坂の途中までのぼれたんだけど転落したこと)
得意なこと: レゴと相撲(お父さんとぼくで毎日相撲をしていて毎日ぼくが勝ってる)
苦手なこと: 自転車のチャリンチャリンっていうところ(ベル)を親指でやりたいんだけどいつも小指でしかできない
好きなこと: そんなレゴ好きなの?!って思うと思うけどレゴと理科
将来の夢: 理科の博士になりたい レゴに興味があるからレゴの博士でもいいかな
おこさまをよく知る人からのご紹介のことば:
即興ダンスで「納豆」や「パンツ」を表現し、なかなかのパフォーマーなので、彼の身体表現の今後の展開が楽しみです。私の好きな絵本をプレゼントしたら、全部読んで見せてくれたときは嬉しかったなあ。芋が大好きでエモーショナルな6歳です。
(叔母のよーよー 在本彌生さんより)
櫂さんが描いた乳しぼり
ブルーベリー狩り
(櫂さん、以下K)
さて、今回のおとなのお悩みは?
Q 7ひどい心配症です。何をするにも心配ばかりして無駄に疲れてしまいます。他の人にもすぐに口うるさく危ない!などといってしまい、もっとおおらかに生きたいです。どうしたら、心配をやめることができるでしょうか。(リトルさん 40歳 東京都在住)
K 自分のね、気持ちをね、落ち着かせてね、二回深呼吸をしたら。
──確かに、そうすれば心配な気持ちも少しは落ち着きそうですね。
K ぼくがすごい(気持ちが)ざわざわしてるときに、すぐざわざわしなくなったから、いいんじゃないかなって。
──櫂さんは、どのようにして深呼吸をすることを思いついたのですか?
K 一回深呼吸したら大丈夫かなって思ってしたんだけど、なんか二回くらいやっとこうかなって思って、やったら、すぐ終わった。
奇跡の瞬間。
──なるほど、奇跡の瞬間がおとずれたというわけですね。
しかし、なぜ深呼吸なのでしょう?
K だってさ、気持ちがおだやかになるからさ。
──ところで、リトルさんはどうして心配ばかりしてしまうのでしょうか?
K 人が危ないことをしたりする。たとえばホームだったら黄色い線の外を走ってるとか。きっとその出てる人は、なんか理由があってやってるじゃない?
──そうですね。
K 人がここにいるからとか、幅がせまいから、ここを歩こうとか。黄色い線の上だから、とおもってやってたり。
なのに、すぐ大丈夫かな、大丈夫かなって、思っちゃう。
──すぐに心配だけをしてしまう。
K そう。ちゃんと考えないで、すぐ大丈夫かな、大丈夫かなって、思っちゃう。
──つまり、リトルさんは、ちゃんと理由を考えずに、ただ、心配だけをしてしまっている、ということですね。
K それが、癖になっちゃってるから。いつでも大丈夫かなって、なっちゃう。
──その癖はどうしたら治せるのでしょう?
K 毎日のように大丈夫かな、って思ったら、そうだ!って思って、二回深呼吸に癖をつけたらいいと思う。
(櫂さんによる処方箋画)
「あのひとがいるからきいろいせんにいればいい!」と理由があってそこを歩いているのだと、心配するリトルさんは考えてみたらいい。
リトルさん、いかがでしたか?
まずは自分の気持を落ち着かせ、理由を考えてみましょう。
大丈夫かなって心配してしまう癖のかわりに、二回深呼吸する癖をつければ、もう大丈夫。
というわけで、今回の、おこさまからの箴言。
二回深呼吸
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小林エリカ
作家・マンガ家。新刊はシャーロック・ホームズ翻訳家の父の生と死を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)。
著書には小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社、第7回鉄犬ヘテロトビア文学賞受賞)や『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)、コミック『光の子ども』1~3巻(リトルモア)などがある。