名作絵本『てぶくろ』の画家、生誕120年を記念した展覧会が開催中

ウクライナ民話絵本『てぶくろ』で知られる画家、エフゲーニー・ラチョフの生誕120年を記念した展覧会「『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界」が、ちひろ美術館・東京にて現在開催中。会期は、5月10日まで。

ラチョフは、写実的に描いた動物たちに民族衣装をまとわせ、人間の性格や感情を重ねる独自のスタイルで、多くの動物民話を描いてきた画家。代表作『てぶくろ』は、日本でも1965年の刊行以来、世代を超えて愛され、発行部数は330万部を超えるロングセラーとなっている。

エフゲーニー・ラチョフ ロシア民話「つるとさぎ」 1965年

本展では、『てぶくろ』の原画6点と未収録のラストシーン1点を含む貴重な作品に加え、立体作品も含めたラチョフのコレクション全32点を一堂に展示。およそ30年ぶりとなるまとまった紹介で、その豊かな世界観をじっくりと味わうことができる。

エフゲーニー・ラチョフ ロシア民話「マーシャとくま」 1965年

展覧会では、ラチョフが生きた時代にも目を向ける。ふたつの世界大戦や革命、社会主義国家の誕生と崩壊という大きな歴史の流れのなかで、絵本がどのように生まれ、子どもたちに届けられてきたのか。ちひろ美術館のコレクションからは、同時代を生きた画家マーヴリナや、自由な表現が広がり始めた1960年代に活躍したミトゥーリッチ、ドゥヴィードフらの作品も同時に紹介され、東スラブの民話の世界が多角的にひもとかれる。

戦争が続き不安が広がる今だからこそ、異なる動物達の思いやりが心に響く、絵本『てぶくろ』の物語。小さなぬくもりを分け合う大切さを、親子で感じられる時間にもなりそうだ。同時開催では、「ちひろ いつもとなりに ―子どもと動物―」も行われ、いわさきちひろが描く、子どもと動物をめぐるやさしい世界にも出会える。

エフゲーニー・ラチョフ ロシア民話「つぼのおうち」 1959年

【展覧会概要】
生誕120年『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界
会場:ちひろ美術館・東京(東京都練馬区下石神井4-7-2)
会期:2026年3月1日(日)~5月10日(日)
開館時間:10:00~17:00 (入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(祝休日の場合は開館、翌平日休館)※4月28日~5月10日は無休
入館料:大人¥1200、高校生・18歳以下無料、65歳以上・学生¥900

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Text: Miki Suka