
終わってしまう前に!春休みは「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」へ
堀内誠一は、絵本『ぐるんぱのようちえん』(福音館書店)をはじめとしたやさしいタッチの絵で知られる他、数々の雑誌のエディトリアルデザインを手がけた伝説的な存在。若干14歳の若さで伊勢丹百貨店の宣伝課に就職し、雑誌『anan』や『BRUTUS』(ともに平凡出版、現・マガジンハウス)のアートディレクションで名を馳せ、57歳で亡くなるまでの間、雑誌や広告、そして絵本の世界で数多くの作品を残した。大人も子どももわくわくするような、堀内誠一の作品が一堂に会する展覧会「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」が、4月6日まで、東京・立川のPLAY!MUSEUMにて開催中。
PLAY! MUSEUM「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」会場写真(撮影:植本一子)©Seiichi Horiuchi
展覧会では、3組のクリエイターが空間デザインを手がけ、堀内誠一の世界を「FASHION」「FANTASY」「FUTURE」という3つのセクションに分けて見せていく。「FASHION」では、アートディレクターの有山達也が案内人として、堀内誠一が手がけた雑誌『anan』49冊を特集展示する。実際の雑誌を解体して再構築し、一冊の全ページを見せたり、企画や特集の魅力やユニークさや画期性をピックアップすることで、この雑誌がめざした「ファッション」に光をあてながら、堀内のアートディレクションの新しさと時代を切り開いたダイナミックなパワーに触れることができる。
PLAY! MUSEUM「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」会場写真(撮影:植本一子)©Seiichi Horiuchi
『anan』表紙(47号、1972年)平凡出版 ©マガジンハウス ©Seiichi Horiuchi
「FANTASY」では、幼い頃から絵を描くことが何よりも好きだったという堀内誠一による、絵本の世界を味わうことができる。物語や世界の民話、科学絵本など多岐にわたる主題を、異なる画風、画材、技法で描き分け、70冊を超える絵本を残した堀内誠一。絵本作りの中で大切にしてきた「ファンタジーのおもしろさ」を、建築家・インテリアデザイナーの設計事務所imaの空間デザインとともに体感できる。
PLAY! MUSEUM「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」会場写真(撮影:植本一子)©Seiichi Horiuchi
『ぐるんぱのようちえん』(1965年)福音館書店 ©Seiichi Horiuchi
「FUTURE」では、絵画やリトグラフ、イラスト、地図、写真、ポスターや装丁のデザイン、旅行記やエッセイ、友人に宛てた絵手紙にいたるまで、多様な作品を残した堀内誠一の作品群から、未来へのヒントを見出し共有する場。展示空間は、デザイナーの三宅瑠人と岡崎由佳が担う。堀内誠一を敬愛する110人の著名人が好きな作品を挙げながら、未来へ伝えたい言葉と共に展示するセクションは、まだ見たことのない作品に出会えるチャンスだ。
PLAY! MUSEUM「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」会場写真(撮影:植本一子)©Seiichi Horiuchi
《セーヌ左岸》1981年 ©Seiichi Horiuchi
会期中、ミュージアム併設の子どもの遊び場PLAY! PARKでは、ぐるんぱの物語を楽しむあそびやワークショップが開催されている。3月31日は、3〜12歳の子どもとその保護者を対象に、親子で参加できる「PARKとMUSEUMのぐるんぱ堪能ツアー」が開催予定。また、絵本とかわいいメニューをそろえたブックカフェや、会期中のみ販売されるオリジナルグッズも見逃せない。この春休み、堀内誠一が残した心あたたまる作品たちに、ぜひ触れてみたい。

堀内誠一 (1932-1987)
1932年東京生まれ。デザイナー、アートディレクター、絵本作家。『anan』や『BRUTUS』、『POPEYE』など雑誌のロゴマーク、アートディレクションを手がけ、ヴィジュアル雑誌の黄金時代を築いた。1958年に初の絵本『くろうまブランキー』 の刊行を皮切りに『たろうのおでかけ』『ぐるんぱのようちえん』『こすずめのぼうけん』など70冊を超える絵本を世に送り出し、挿絵も数多く描いた。1973年から81年にかけて家族と共にパリ近郊に移住。ヨーロッパを中心に世界を巡り、旅行記やガイド本を出版。著書に『父の時代 私の時代』(マガジンハウス)、編著書に『絵本の世界・110人のイラストレーター』(福音館書店)など。1987年、54歳で亡くなるまで絵本やデザインの仕事に従事した。
【展覧会概要】
堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE
会場:PLAY! MUSEUM(東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3棟 2F)
会期:2025年4月6日(日)まで
開館時間:10:00〜17:00(土日祝は18:00まで/入場は閉館の30分前まで)
入場料:一般¥1,800、大学生¥1,200円、高校生¥1,000円、中・小学生¥600円、未就学児無料
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Text: Miki Suka