あの絵と言葉に会いに行く「クマのプーさん」展が開幕
イギリス生まれで世界中に愛されているクマ、それはクマのプーさんだろう。1926年に発表された『クマのプーさん』(Winnie-the-Pooh)は、クリストファー・ロビン少年とプーとその仲間たちが過ごす日々を綴った児童文学の名作。本作で、A.A.ミルンの生み出した物語にいっそうの輝きを与えているのが、E.H.シェパードによる挿絵。本展はこの貴重な原画100点とミルンが書いた言葉とで、クマのプーさんの世界をじっくりと楽しむことのできる展覧会だ。(招待券プレゼント! 詳細は記事末)
E. H. シェパード『絵本 クマのプーさん』原画 1965 年 E. H. Shepard, Illustration for The Pooh Story Book by A. A. Milne. Courtesy of Penguin Young Readers Group, a division of Penguin Random House, LLC. © 1965 E. P. Dutton & Co., Inc.
会場であるPLAY! MUSEUMの楕円形の展示室は、プーたちが過ごしていた百町森に。緑、青、黄、赤色の大きな布が広がる空間には、なだらかな丘を想起させるスロープや階段があり、東京・檜原村の木材を活用した展示ケースや、カラフルな額縁に、シェパードが描いた原画が飾られている。
「クマのプーさん」展 展示プランのスケッチ、齋藤名穂
百町森(展示室)へ至る道では、「森のなかを行こう」と題した文章が迎えてくれる。作家の梨木香歩による書き下ろしのこの文は、原作をオマージュしたリズミカルな言葉で森の様子を綴っている。
また、「クマのプーさん」(Winnie-the-Pooh)シリーズの中であまり知られていない詩集『クリストファー・ロビンのうた』『クマのプーさんとぼく』からも原画と言葉を展示。詩の一部はミュージシャンの坂本美雨の朗読で味わうことができる。
E. H. シェパード『The Pooh Cook Book』 原画 1969 年 E. H. Shepard, Illustrations for The Pooh Cook Book by Virginia Ellison. Courtesy of Penguin Young Readers Group, a division of Penguin Random House, LLC. © 1969 E. P. Dutton & Co., Inc.
そんなふうに会場を歩き絵と言葉に出会いながら、訪れた人はクマのプーさんの物語の魅力の秘密も知っていくことになる。解説は、イギリスの児童文学に造詣の深い本展監修者の安達まみ(聖心女子大学教授)。物語を生んだミルンとシェパード、また日本語版の生みの親である石井桃子や吉野源三郎などについて、紐解いていく。
プーさんの物語の舞台となったイングランド南部のアッシュダウンの森の様子を映像インスタレーションで体験できるのも魅力だ。
2022年の「アッシュダウンの森」Photo: Kanon Okamoto
PLAY! MUSEUMならではのオリジナルグッズやカフェのスペシャルメニューはもちろん、PLAY! MUSEUM上階にあるPLAY! PARK(料金別)でのワークショップや遊具も見逃せない。
物語の中に入ってプーさんと一緒に過ごしたような一日を、ぜひ味わってほしい。
アラン・アレクサンダー・ミルン
1882年ロンドン生まれ。ケンブリッジ大学で数学を学んだのち、風刺雑誌『パンチ』でユーモア作家として活躍。第一次世界大戦に従軍後は、劇作家として注目された。1920年、息子クリストファーが誕生。1924年には初の子ども向け詩集『クリストファー・ロビンのうた』を発表し、成功を収めた。『クマのプーさん』(1926)、詩集『クマのプーさんとぼく』(1927)、『プー横丁にたった家』(1928)とつづく4部作は、時代を超えて世界中で読み継がれている。
アーネスト・ハワード・シェパード
1879年ロンドン生まれ。奨学金を得てロイヤル・アカデミー・スクールで学び、在学中から挿絵画家として仕事をはじめる。1906年からは風刺雑誌『パンチ』に描くようになり、1924年、A.A.ミルンの詩集『クリストファー・ロビンのうた』の挿絵を担当。以降、クマのプーさん4部作の挿絵を手がけた。カラー版や新版など、4部作に関連する依頼はその後も絶えることがなく、 90代まで絵筆をとりつづけた。ケネス・グレーアムの『たのしい川べ』の美しい挿絵でも知られている。
TOP IMAGE:PLAY! MUSEUM「クマのプーさん」展 メインビジュアル
【展示会概要】
「クマのプーさん」展
会期:2022年7月16日(土)~11月27日(日)*この後名古屋市美術館へ巡回予定
会場:PLAY! MUSEUM(東京都立川市緑町 3-1 GREEN SPRINGS W3棟 2F)
開館時間:10:00〜18:00(日時指定制を導入)
問い合わせ先:042-518-9625
入場料:一般 1800円、大学生1200円、高校生1000円、中・小学生800 円、未就学児無料
※割引制度や日時指定制について、詳細はウェブサイトにてご確認ください
展覧会ウェブサイト
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