美しい数式デザインに触れる展覧会
流麗で美しい、幾何学的なフォルム。その影には難解な数式がある。この造形美は、鑑賞を目的したものでなく、難解な数式を目に見える形で立体化させたものなのだ。この「数理模型」と呼ばれる教材は、19世紀後半からドイツで製作されていたが、実は日本でも国産の数理模型が作られており、大学の授業などで数式を視覚的に理解するために使われていた。その製作元の一つが大阪にある「加藤数物製作所」。ドイツ製のものは、石膏製であったが、当時、木地師や建具師を多く抱えていた加藤数物製作所では、強度や耐久性の高い木製にこだわり、その複雑な形状を木から削り出すという、独自の製法で数理模型を作りだしていた。そんな加藤数物製作所が手がけてきた国産数理模型を展示するエキシビジョン「Mathematical Models」が、奈良・蔦屋書店 天平ギャラリーにて開催中。
加藤数物製作所に保管してあった模型に加え、奈良女子大学に多数収蔵されていたコレクションを撮影し、その造形の数学的意味を解説した同名の書籍も発売される。奈良女子大学研究院の篠田 正人教授による各模型の解説と数理模型とはそもそも何なのか、という概要解説が収録された、和書ではおそらく初めてとなる数理模型のガイドブックとなっている。また、フォトグラファー・山口 明氏による美しい写真がふんだんに使われたヴィジュアルブック的な側面も併せ持っている。
またこのエキシビジョンでは、かつて作られていた数理模型コレクションの中から復刻された模型も限定販売される。手仕事による木地加工と、数値制御の最新の加工技術の組み合わせにより現在に蘇った木製数理模型で、ぜひお子さんと一緒に、数学の世界を体感してみてほしい。
【展示会概要】
「Mathematical Models -数式が織りなすカタチの展覧会-」
会期:2022年4月23日(水)~5月8日(日)
〈奈良蔦屋書店 天平ギャラリー〉
住所:奈良県奈良市三条大路1丁目691-1
開館時間:8:00-23:00(無休)
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