米と藁の伝統飾り。 しめ縄職人 上甲清の展覧会が開催中
もうすぐ年末。お正月準備も始まる今、お飾りにも通じる日本の伝統文化に触れられる展覧会が、東京・赤坂の「21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3」にて開催中。
会場に展示されるのは、健康や平和、五穀豊穣の祈りを込めて手作業で制作される、さまざまな形の“しめ縄”。これらは、愛媛県西予市で半世紀以上もの間、しめ縄職人として活動する上甲清による作品だ。彼は、材料となるしめ縄用の稲藁作りから手がけていて、田植えから稲刈りまでを丹精込めて行っている。
一年の締めくくりに、また春待つ喜びを象徴するプロダクトとして、全国各地の民藝店やセレクトショップにも並ぶ上甲清の作品だが、その背景には、彼の孫である上甲智香が2021年に立ち上げた「孫プロジェクト」がある。上甲清の営みと伝統的な手仕事や文化、そこから生まれる藁細工をより多くの人に知ってもらいたいという思いから始まったプロジェクトだ。
88歳のしめ縄職人が生み出す魂のこもった作品と「孫プロジェクト」の活動に心を動かされたのが、インテリアスタイリストの作原文子率いる「Mountain Morning」。上甲清の製作に伴走するかたちで、フォトグラファーとともに愛媛に渡り、田植えや製作の様子を写真・映像に収めた。展覧会では、作原文子のスタイリングによって並べられたしめ縄や藁細工の数々に加え、映像や写真の展示、さらに藁文化に触れられる体験スペースも用意されている。
「米と藁。それは、上甲清さんの生き様を記録した企画展です。一人でも多くの方々に、藁文化を知っていただける機会となりますように」
ースタイリスト・作原文子
自然と共に生きる日本人の姿を具現化したような、美しいしめ縄。会場では、お飾りの販売もあるため、新年への準備を兼ねてぜひ足を運びたい。