クリエイティブに環境を考える「ゴミうんち展」が、現在開催中
東京ミッドタウン内に位置するデザイン施設「21_21 DESIGN SIGHT」では、おもしろい視点で世界の循環を考えることのできる企画展「ゴミうんち展」が現在開催中。展覧会ディレクターは、グラフィックデザイナーの佐藤卓と、文化人類学者の竹村眞一。
自然界の中には、「ゴミ」も「うんち」も必ず含まれるものなのに、まるで無かったことのように、見たくないものとして、ブラックボックスの中に隠されている……。展覧会では、身の回りから宇宙までを見渡し、さまざまな「ゴミうんち」を扱いながら、これまで目を背けてきた存在にもう一度向き合うことで、社会問題だけではないゴミとうんちのさまざまな側面を見せてくれる。地球の歴史を省みるようなゴミとうんちを含む世界の循環や、そのプロセスをクリエイティブにデザインすることで、私たちに大切な問題提起をしてくれる展覧会だ。
「ゴミはどこで生まれてどこへ行くのか。46億年の地球の歴史を顧みると、とてつもなく大きな変化が繰り返され、そこで起きてきた奇跡的な現象が現代の科学技術により詳らかになってくると、そこにこれから人類が為すべきこと、歩むべき方向のヒントが潜んでいるように感じられる。以前、21_21 DESIGN SIGHTにて開催した企画展『water』や『コメ展』でご一緒した竹村眞一さんに廃棄物の話を持ちかけると、瞬く間にうんちの話へと繋がり、必然的であるかのようにこの展覧会の開催とタイトルが、ほぼ同時に決まった」(佐藤卓)
「地球の歴史は、ゴミうんちのアップサイクルの歴史だ。この星に新たな生命が進化するたびに、それまでの地球にはなかった新たな廃棄物が生み出され、それを創造的に循環利用するチャレンジを生命は続けてきた。その結果『ごみもうんちも存在しない』この星の見事なpooploopの『環』が精緻に紡がれていった。こうした歴史に連なる “新参者” として、私たち人類はこの星の新たな『循環OS』をアップデートしうるだろうか?」(竹村眞一)
展覧会では、身近なものから宇宙までを見渡して、さまざまな「ゴミうんち」にまつわるものが展示される。「糞驚異の部屋」では、実際にゴミになるもの、リサイクル資源、化石や貝殻、190種類を超える土、うんちからつくられるプロダクト、実際のうんち、発酵にまつわる身近なもの、ミミズの生態やトイレにまつわる資料展示など、700種以上の膨大な数の展示作品や資料で構成される。
また、「ゴミうんち」という新しい概念を元にさまざまなデザイナーたちによる、新しい循環や価値の提案、ゴミの定義を考え直すアプローチ、人間と自然の関係性を再考した作品などが展示される。難しいテーマでありながら、デザインの力で、私たちにクリエイティブで面白く真実を伝えてくれる展覧会。子どもと一緒に、地球規模で考える「ゴミうんち」に、ぜひ向き合ってみたい。
TOP: 山野英之「クソバッジ」 Text: Miki Suka