トルコのお皿
世田谷・上町にある「工芸喜頓」は、スタイリストのNさんから教えてもらった器のお店。ある連載の仕事の撮影時にいつも「このお皿いいですねー」「その器すてき!」と言っていたら、「Kさん、ここきっと好きだよ」とお店を教えていただいた、というわけです。
訪れた日はいい天気で、1時間ほどかけて歩いて行きました。たどり着いたお店は思ったより小さいながら、日本各地の窯の作品を中心にガラスや漆器、あるいはトルコやイランの器も並び、どれもこれも魅力的。特に棚に飾られている直径30cmほどの大皿はどれも凛としてカッコよく、「これに何を盛ろうかな」と考えながら手に取っては、「いや、でも二人暮らしには大き過ぎる」と棚に戻し……の繰り返し。
最終的に「まずは小物から」とグラス2つをレジに持って行き会計をしていただく間、「でもやっぱり……」と諦めきれず棚に目をやりもう一度存在を確認したのが、このお皿でした。トルコの古い窯で作られているものだそうで、深い沼のような緑色の釉薬がどろりと半分にだけかかっていて、後の半分は素焼きのまま。この素焼き部分には料理を盛れるのか? という不安があったので、レジへは持って行かなかったのです。
思い切って「素焼き部分って、料理大丈夫ですか?」とお店の方に訊くと「はい、私も使ってます。素焼きなので水分をものすごい吸い込むから汁物はだめですが、揚げ物とかサラダとか、汁気の少ない料理は大丈夫」とのお答え。
なんでも揚げ物の油分が吸い込まれるとそれはシミとなり使い込むほどにいい味わいになるとのこと。ほほー、いいですね……というわけで「やっぱりあのお皿も買います!」。
さっそく天ぷらを揚げてこのお皿をデビューさせました。油染み、育てようっと。(K)