おこさま人生相談室 第19回-小林エリカ

おとなのお悩み

眠くて、お風呂に入るのも、パジャマを着るのもめんどくさくなってしまいます。

今回、人生相談にお答えいただくおこさまは、KAIさん(4歳)です。
いまもっとも憧れているのは悪。「スター・ウォーズ」で大好きなのは、カイロ・レンとダース・ベイダーとストームトルーパー。
主語はおれ。
けれど、いまいちばん怖いのは「地獄」です。

おこさま紹介

お名前: KAIさん
年齢: 4歳
生まれた場所: 白い病院 ゴジラがいるところ
住んでいる場所: 杉並区(以下住所なので省略)
好きな食べ物: ハム
嫌いな食べ物: 肉の脂
これまでの人生で楽しかったこと: コマとスターウォーズ
これまでの人生で哀しかったこと: だれかがKAIのこと泣かせたとか
得意なこと: コマ
苦手なこと: 寝るのはやだ だって寝たら遊べなくなっちゃうじゃん
好きなこと: 三つあんね おえかき、ケータイをいじってゲームする、マリオ
将来の夢: スター・ウォーズをべんきょうしたい、うまくなりたい

おこさまをよく知る人からのご紹介のことば:
幼稚園に通うようになってから、とてもやんちゃになったね。
けれども心の中は、君のホッペのようにプニプニと柔らかく優しいのを知っているよ。
それは、きっと、いつまで経っても変わらないことなのだろうと思っているよ!
(KAIくんの親友、島本塁さんより)

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(KAIさん、以下K)

さて、今回のおとなのお悩みは?

Q 仕事が終わって家に帰ると、眠くて眠くて、お風呂に入るのも、パジャマを着るのもめんどくさくなってしまいます。お化粧もしたまま寝てしまうのは、肌にもよくないとはわかっていても、眠さには勝てません。どうしたらよいでしょう。(37歳、寝落ち王さん 37歳 東京在住)

K わかる!すぐねる!

──ということは、すぐに寝てしまっていいんですね。

K いっかいお家かえって、あそんで、パジャマきがえて、はみがきして、おふろはいって、ねる。

──あ、やはり、パジャマにきがえ、はみがきをし、お風呂に入らないと、寝てはいけないのでしょうか。

K えー、おれ、いっつも、おきてるよ。夜中でも、ずっと、おきてるよ。夜中でも、ずっと、ぼーっと、テレビみてるだけ!

──ちなみに、KAIさんは、夜中ねむくなって、そのまま寝てしまうことはないんでしょうか?

K ないよ。

──はみがきも、いつもできるんですか?

K できるよ。ひとりで。

──そうなんですね。でも、この37歳、寝落ち王さんは、眠さのあまり、それができないようですね。どうしたらよいでしょうか。

K 知らなーい。

──では、そんな37歳、寝落ち王さんが、パジャマにもきがえず、はみがきもせず、お風呂も入らないまま眠っていたら、何かいってあげることはないでしょうか?

K ない。

──ということは、パジャマにきがえなくてもいいということですね。

K だめ。

──では、歯磨きはしなくてもいいんですね。

K だめ。

──お風呂は入らなくてもいい?

K だめ。

──ちなみに、なぜ、だめなのでしょう。

K だって、足とか臭くなっちゃう。

──それは大変ですね。

K ……KAI、いっつもお風呂入りたくないっていってる。

──KAIさんも、お風呂に入りたくないときがあるのですね。

K でも入る。

──どうしたらめんどくさくてもお風呂に入りたくなれるのですか?

K キュウレンジャーのシャンプー、あとは入浴剤。

──キュウレンジャーのシャンプーや、入浴剤など、楽しいものがあれば、たしかに、めんどうでも、眠くても、お風呂に入れそうですね。

K でも、うちにはいま、入浴剤ないよね。きょう、買ってよ。

──入浴剤が必要みたいですね。

K ねえ、みんなきょう、入浴剤かいにいくよ。

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(KAIさんによる処方箋画)
お風呂、玄関、キッチン、洗濯場、寝る場所、トイレ、遊ぶところ、タバコ吸うところなどの図。前には海と原っぱがあるそうです。

37歳、寝落ち王さん、いかがでしたか?
キュウレンジャーのシャンプーや、入浴剤などを、買いましょう。
そうすれば、どんなに眠くても、めんどくさくも、お風呂に入ることができるようになるそうです。それで眠さに勝てるようになるといいですね。
というわけで、今回の、おこさまからの箴言。

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だって、足とか臭くなっちゃう

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お悩みを随時お待ちしています。おこさまに相談したい方はぜひ、ペンネームと年齢、お住まいの都道府県を記入のうえ、こちらまでお悩みをお送りください。

絵・取材・文
小林エリカ

作家・マンガ家。新刊はシャーロック・ホームズ翻訳家の父の生と死を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)。
著書には小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社、第7回鉄犬ヘテロトビア文学賞受賞)や『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)、コミック『光の子ども』1~3巻(リトルモア)などがある。