アートと科学を結ぶ!? 銀座メゾンエルメス ル・フォーラムにて、アン・ヴェロニカ・ヤンセンの日本初個展が開催
エルメス財団が主催するアート展「東京、銀座5丁目4-1」が、始まった。銀座メゾンエルメス ル・フォーラムを会場にした、ベルギー人アーティスト、アン・ヴェロニカ・ヤンセンの日本初となる個展だ。

《Rose》|2007年|7基のスポットライト、人工塵|直径350-440cm (サイズ可変)
Photo:Andrea Rossetti|Courtesy of IAC Villeurbanne
1956年にイギリスで生まれ、現在はブリュッセルを拠点に活動するヤンセン。1970年代後半から、ガラスやコンクリートといったシンプルな素材に加え、光、音、人工煙霧など、形をとどめないものを用いた実験的な作品を発表してきた。彼女が探究しているのは、私たちが身体を通して世界をどのように捉え、認識しているのかということ。作品を「見る」という行為を超えて、鑑賞者自身の知覚を揺さぶるような空間をつくり出している。

《Magic Mirrors (Pink and Green)》「東京、銀座5丁目4-1」アン・ヴェロニカ・ヤンセン展 展示風景(2026年)©Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès
その探究は、アートの領域だけにとどまらない点が興味深い。2009年には、アーティストと科学者がともに空間、時間、身体、脳の関係を探る「ブレイン・スペース・ラボラトリー」を共同設立。科学的な視点を行き来しながら、人間の知覚や認識そのものに問いを投げかけてきた。

《Water Glass Roll (110)》「東京、銀座5丁目4-1」アン・ヴェロニカ・ヤンセン展 展示風景(2026年)©Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès
展覧会タイトルとなった「東京、銀座5丁目4-1」は、会場である銀座メゾンエルメスの住所そのもの。今回は、この場所を身体的、感覚的に読み解きながら構想した作品を含む10点余りが並ぶ。
拡散する光をひとつの物質のように扱う《Rose》、瞬間の痕跡をとどめる青いグリッター《Untitled (blue glitter)》、人の体温に反応する塗装を施したブランコ《Swings》、自身の声をメディウムとした新作《Donut》など。光や時間、空気の流れさえ作品の一部となり、空間をどこか異なる場所へと変化させていく。

《Untitled (blue glitter), open sculpture》「東京、銀座5丁目4-1」アン・ヴェロニカ・ヤンセン展 展示風景(2026年)©Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès
色はなぜ変わって見えるのか。光や音を、身体はどう受け取っているのか。自分が動くと、なぜ目の前の世界が違って見えるのか。作品の中を歩き、見て、感じるうちに生まれる素朴な疑問こそが、アートと科学を結びつけている。
自分の目と耳、そして身体で感じてみる。大人と子どもでは、同じ作品からまったく異なる発見が生まれるかもしれない。そんな小さな発見から、世界を知覚する面白さを親子で体験してみては。

《1.06.23》「東京、銀座5丁目4-1」アン・ヴェロニカ・ヤンセン展 展示風景(2026年)©Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès

©Tinko Czetwertynski | Courtesy of the artist
アン・ヴェロニカ・ヤンセン Ann Veronica Janssens
1956年、イギリス・フォークストン生まれ。ベルギー・ブリュッセルを拠点に活動。1970年代より、光や人工煙霧、音などを用い、空間における身体的な知覚を探究。反射や透明性、光の変化を通して、時間や空間に対する私たちの認識を揺さぶるサイトスペシフィックなインスタレーションを発表している。
【展覧会概要】
「東京、銀座5丁目4-1」アン・ヴェロニカ・ヤンセン
開催期間:2026年9月11日(金)~ 2027年1月11 日(月・祝)
開館時間:11:00〜19:00
休館日:水曜日(9月23日(祝・水)は開館)、年末年始(※休館日は銀座メゾンエルメスに準じる。ただし、変更の可能性有り)
会場:銀座メゾンエルメス ル・フォーラム8・9階(中央区銀座5-4-1)
【関連イベント】
ギャラリー・ツアー/9月18日(金)16時〜
ガイド・ツアー/9月25日以降の毎週金曜日、11月3日(火・祝)、11月8日(日)17時〜
展覧会・イベントの詳細は、こちら
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Text: Miki Suka