春の京都の風物詩、「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が開催!

春の京都を彩る国際的な写真の祭典「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が、本日より5月17日まで開催される。第14回を迎える今回は、「EDGE(エッジ)」をテーマに掲げ、世界8の国と地域から14組のアーティストが参加。京都の歴史的建築や文化施設を舞台に、街全体を使った展示が展開される。写真の展示だけでなく、子ども連れでも楽しめる関連イベント等も必見だ。

「EDGE」という言葉には、境界や分断、接触、揺らぎ、葛藤、そして未知へと踏み出す瞬間といった多層的な意味が込められている。本展では、その“縁”に宿るダイナミズムに光を当て、多様な視点から現代社会や個人のあり方を問いかける。参加作家には、日本、南アフリカ、フランス、パレスチナ、ウルグアイなど多彩な背景を持つアーティストが名を連ねる。会場となる京都の歴史的建造物や文化拠点と、貴重な作品とが呼応することで、立体的な鑑賞体験となりそう。以下、参加作家よりその一部をご紹介する。

© Daido Moriyama Photo Foundation

© Daido Moriyama Photo Foundation

森山大道「A RETROSPECTIVE」
Presented by Sigma
Exhibition organised by KYOTOGRAPHIE and Instituto Moreira Salles
In collaboration with Daido Moriyama Photo Foundation
会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階

戦後日本写真史を象徴する写真家、森山大道の大規模回顧展。キュレーションを手がけるのは、ブラジルの文化機関「モレイラ・サレス研究所」のチアゴ・ノゲイラ。無数の雑誌や出版物に光を当てながら、フォトエッセイや伝説的な同人誌『プロヴォーク』への寄稿、さらに写真集『写真よさようなら』(1972)といった代表作も紹介しながら、これまでとは異なる視点で丁寧にひもといていく。「写真はいつだって“際”にある」——そう語る森山の視線は、今回のテーマ「EDGE」とも深く響き合う。

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Sophie on the winter solstice, Nature’s Valley, 2020 © Pieter Hugo

Afternoon nap interrupted, Nature’s Valley, 2012 © Pieter Hugo

ピーター・ヒューゴ「光が降りそそぐところ」
会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階

ケープタウンを拠点に活動するピーター・ヒューゴ。23年にわたり積み重ねられてきた膨大な数の撮影を通じ、生と死、そしてそのはざまにあるさまざまな節目について深く思索する。本展では、「根源的な彷徨衝動」と名付けたものに導かれながら撮影された、ポートレート、風景、静物が交差し、経験と情動のありようについて表現した「What the Light Falls On」シリーズを展示する。

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What I Do To Please You I Do, 1981–2008 Courtesy of the artist and Modern Art © Linder

The Cry of a Thousand Sentinels, 2024 Courtesy of the artist and Modern Art © Linder

リンダー・スターリング
会場:京都文化博物館 別館 Presented by CHANEL Nexus Hall

1954年生まれで、70年代イギリスのパンクシーンで頭角を現した女性アーティストでありフェミニズムの先駆者。写真やフォトモンタージュを大胆に用い、欲望や女性の身体に関する既成概念に挑み、それを再構築してきたことで高く評価される。本展が日本における初個展。

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For KYOTOGRAPHIE African Residency Program 2025 © Thandiwe Muriu, Courtesy 193 Gallery

The Space Between Love and Comfort, 2025 © Thandiwe Muriu, Courtesy 193 Gallery

タンディウェ・ムリウ
会場:誉田屋源兵衛 竹院の間 Presented by LONGCHAMP
会場:出町桝形商店街 DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space(KYOTOGRAPHIE African Residency Program)

アイデンティティやカルチャー、女性のエンパワーメントなどをテーマに作品を制作するケニアのフォトグラファー。鮮やかでカラフルなテキスタイルの物語から着想を得て制作。代表作である、鮮烈なパターンと衣服・背景の同調が生む「Camo」シリーズと、滞在制作による新作が併せて紹介される。

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© Fatma Hassona

© Fatma Hassona

ファトマ・ハッスーナ
会場:八竹庵

パレスチナの女性フォトジャーナリストであり、ガザの日常を記録し続けたアクティヴィストとして、国際的に高い評価を受ける。25年4月16日のイスラエルにより空爆で家族6人とともに命を落とした。KYOTOGRAPHIEでは、ハッスーナの遺した貴重な写真を紹介し、その活動に敬意を捧げる。

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© Sari Shibata

© Sari Shibata

柴田早理
会場:ASPHODEL Presented by Ruinart

KYOTOGRAPHIE2025で、ルイナール・ジャパン・アワードを受賞した柴田早理。本展では、フランス・ランスでのレジデンス制作をもとに、女性が葡萄のように成長し成熟していくストーリーの作品群を発表。

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Shine Heroes, 2018 © Federico Estol

フェデリコ・エストル「SHINE HEROES」
会場:嶋臺ギャラリー

ウルグアイ出身のアーティスト兼アクティビスト。ボリビアの靴磨きたちとともに、周縁に追いやられたコミュニティを
ヒーローとして捉え直し、そのアイデンティティと結束を映し出す。会場には、ラパスで靴磨きの人々が実際に使用してきた道具も展示される。

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Woman in middle of the night, 2022 © Lebohang Kganye

レボハン・ハンイェ
会場:東本願寺 大玄関 Presented by DIOR 

ヨハネスブルグを拠点とし、写真、アニメーション、インスタレーション、テキスタイルなど、文学や演劇、歴史への深い関心とも結びついた制作活動をする。DIORがサポートする本展は、日本における初の大規模個展。個人史と歴史的な物語の形成、断片化、そして再構築を探る4つの作品群が展示される。

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© Atsushi Fukushima

福島あつし
会場:ygion Supported by Fujifilm

弁当配達員として働いたのち、農業に携わり、日本列島を縦断する旅にも出ながら、その度ごとに出会った人びとや風景を撮り続けてきた。「ぼくは独り暮らしの老人に弁当を運ぶ」でKG+SELECT Awardグランプリ(2019)を受賞。本展では農業における夏の激しさにフォーカスしたシリーズを発表する。

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Kate Bush, London, 1982 © Anton Corbijn

アントン・コービン
会場:嶋臺ギャラリー Supported by agnès b.

50年にわたり世界の名だたる著名人たちのポートレートを撮影してきた、オランダの写真家アントン・コービン。アニエスベーがサポートをする今回の展示では、半世紀にわたるそのキャリアを象徴する静謐なモノクロ作品群が並ぶ。

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c803d74b-86ff-49a9-b633 3d83e9633402, Les Ruines de Paris, 2024 © Yves Marchand & Romain Meffre

イヴ・マルシャン&ロマ・メェッフェル
会場:重信会館

20年以上にわたり活動するフランスの写真家ユニット。現代の廃墟を大判カメラで捉えた作品とともに、大判カメラで撮影した写真にAIのテクノロジーを組み合わせた作品を発表する。本展では、AIを使い京都を廃墟へと変貌させる新たな作品も制作し、現実と虚構の境界のあわいを問いかける。

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リンダー・スターリングの展示会場となる「京都文化博物館 別館」

イヴ・マルシャン & ロマ・メェッフェルの作品が展示される「重信会館」は、昭和5年竣工の歴史的建造物

「KYOTOGRAPHIE」は、街を舞台にした展覧会だけでなく、随所でトークイベント、ワークショップ、参加型プログラムなど開催予定。会期中は京都の街全体が、写真の学びの場となる。プロフェッショナルや学生だけでなく、子どもや家族連れなども楽しめるのが魅力だ。

キッズプログラム

フェスティバル期間中、さまざまな会場やプラットフォームで展開される「KYOTOGRAPHIEキッズプログラム」。作品や写真について学ぶことができる無料冊子「キッズパスポート」をはじめ、ワークショップやツアーなど、学びの場やさまざまな体験を創出する多彩なプログラムが開催される。フェスティバル期間中は、NTT西日本三条コラボレーションプラザにて、子どもたちのために特別に設計された展示「KODOMOGRAPHIE」も展開。KYOTOGRAPHIEメインプログラムから厳選された作品を、楽しく、わかりやすく学びながら紹介される。また、教育機関との提携プログラムとして、ファイナリストの写真を紹介する「キッズコンペティション展」も開催。

2025年キッズコンペティション展の展示風景

「KYOTOGRAPHIE」と並行して開催されるサテライトフェスティバル「KG+2026」では、京都市内およそ150会場で220以上の展覧会 が行われ、20を超える国と地域から約300名が参加。新進作家を発掘する国際公募プログラムとして2013年に始まり、街を歩きながら才能と出会える“もうひとつの写真祭”として定着している。

リュ・ヒョンミン《eight eyed boy》

スリダー・バラシュブラマニヤム《Manarsuzhal》

また、共同創設者のルシール・レイボーズと仲西祐介が2023年に立ち上げた国際音楽祭 KYOTOPHONIE も、春と秋の年2回開催され、2023〜25年で延べ約4万人を動員。ジャンルや会場に縛られないボーダレスな音楽体験を生み出してきた。2026年春は、南アフリカのデュオMsaki × Tubatsiがオープニング週を彩り、最終週末にはブラジルのシンガーソングライタードラ・モレレンバウムが登場する予定だ。

【芸術祭概要】
KYOTORAPHIE 京都国際写真祭 2026
会期:2026年4月18日〜5月17日
会場:京都府京都市内各所(詳細はウェブサイトを参照)
入場料:パスポートチケット:¥6,000(一般)、¥3,000(学生)
※オンライン割引あり。中学生以下無料

TOP: The Queen's Speech, 2023 © Thandiwe Muriu, Courtesy 193 Gallery
Text: Miki Suka