布の芸術祭「FUJI TEXTILE WEEK 2025」が、現在開催中!

富士山麓の織物の街、富士吉田を舞台に、布とアートが出会うフェスティバル「FUJI TEXTILE WEEK 2025」が、開催されている。1000年以上続く織物産業を背景に、街に点在する工場や倉庫、商店街の建物が展示会場へと生まれ変わり、国内外から集まったアーティストたちが“布の可能性”を探る国内唯一の芸術祭だ。

2025年のテーマは「織り⽬に流れるもの」。布の表面に見える織り目の奥には、土地の気配や記憶、音、手のリズムといった“見えない力”が流れている。そんな視点から、織物と文化の深層に迫る試みがアート作品として街のそここに広がっている。本アート展のディレクターは南條史生、キュレーターは丹原健翔が務め、今年も国内外から十数組のアーティストが集結する。

Photo:Shuhei Yoshida / Courtesy of FUJI TEXTILE WEEK

注目は、使われなくなった織物工場や倉庫を会場として再利用していること。産業の記憶を未来へつなぎながら、街そのものが大きな展示空間になっていく。アーティストレジデンスや企業との連携から生まれた「ふじみちアーツ」、さらに地元企業とアーティストたちの協働プロジェクトなど、新しい試みも加わり、作品を観るだけでなく“街歩き”も楽しめそうだ。

上條陽斗《forming patterns》 Photo:Shuhei Yoshida, Keigo Suzuki / Courtesy of FUJI TEXTILE WEEK

東京大学大学院にて建築学専攻の上條陽斗は、ジャカード織のテキスタイルから植物のような有機的なフォルムを生み出し、光との共演で神秘的に見せた「forming patterns」を制作。また、柴田まおは小学校のプールを舞台に「水」と「布」の記憶をたどり、テキスタイルを用いた蓮池を表現した「Blue Lotus」を展示する。さらに、台湾出身のテキスタイルアーティストJia Ling Leeによる、キルティングした布で噴水を制作した「水の器」や、富士吉田で集められた膨大なデッドストックの布を染色し吊るした空間をゲストが歩くことで、繭の中にいるような感覚を味わえる相澤安嗣志の作品、中東とイタリアをルーツに持つ映画監督、アレッサンドラ・コラッツィーニによる衣装作品など、あらゆる角度からテキスタイルアートに触れることができる。

柴田まお《Blue Lotus》 Photo:Shuhei Yoshida, Keigo Suzuki / Courtesy of FUJI TEXTILE WEEK

期間中は、地元の郷土料理が味わえる「蔵の台所」や、地元のお茶やコーヒー、スイーツの特別販売も登場。アート鑑賞の合間に、富士吉田の暮らしや風土に触れられるのもうれしいポイントだ。さらに、織物工場とのコラボレーションから生まれたアーティストのプロダクトが並ぶ「YAMANASHI TEXTILE SHOP」もオープン。現代デザインと伝統技巧が混ざり合ったテキスタイル雑貨をお土産に選びたい。

A-POC ABLE ISSEY MIYAKE《TADANORI YOKOO ISSEY MIYAKE》 Photo Shuhei Yoshida, Keigo Suzuki / Courtesy of FUJI TEXTILE WEEK

家族でゆっくり街を歩きながら、アートと織物の奥深さを感じたい。作品巡りが街の散策となり、アートに興味が芽生えた子どもたちにも心地よい体験となりそうだ。

森山茜《空気を含んだ壁》 Photo Shuhei Yoshida, Keigo Suzuki / Courtesy of FUJI TEXTILE WEEK

「FUJI TEXTILE WEEK 2025」会場マップ。徒歩でもまわれるコンパクトな芸術祭。富士吉田市は都内から2時間ほどのアクセス

FUJI TEXTILE WEEK 2025
会期:2025年11月22日(土)〜12月14日(日)
*11/25(火)、12/1(月)、12/8(月)は休館
会場:山梨県富士吉田市 下吉田本町通り周辺
チケット:¥2,500 / 学生¥2,000
※高校生以下(18歳未満)、65歳以上は無料。心身に障がいのある方と付添者1名は無料
※富士吉田市民は無料

公式SNS:Instagram @fujitextileweek / X @FUJITEXTILEWEEK
チケット情報・詳細:公式HPを参照

Text: Miki Suka