10月14日(金)より写真家・北村圭介の写真展開催
―胎内の記憶とは。誰もがそこにいた場所なのに思い出せない
母のお腹の中で過ごした景⾊はどんなものだったのだろうか。
誰もが過ごした場所にもかかわらず、記憶には残らず未知な場所である。
⾁眼では⾒ることができないが、確かにそこに⾃分はいた。
誰も再び戻れないその場所に、⼦どもを通じて還れる気がした―
『MilK MAGAZINE JAPON』でも、瑞々しい子ども達の表情を数多く撮影する写真家・北村圭介。彼がプライベートで撮り続けて来た自身の“0歳の子ども”が、写真と映像を交えた独自の写真展として、この度開催される。この世に誕生したばかりの、まだ何ものでもない“0歳の子ども”。母の胎内の記憶を宿すかのような、水と光がまざりあうような世界感こそ、北村圭介が表現する世界だ。展覧会名となる「-14.1°C」は、子どもが生まれた日の気温と胎内の温度差が-14.1°Cだったことからつけられた。会場では、同名の写真集も発売される。
「0歳のこどもの写真を撮っているとき、自分が胎内の中にいるようだと錯覚したことからはじまりました。人間の子どもは他の動物に比べ1年早く生まれるそうで、0歳の子どもと対峙することによって、母親の胎内にいる時間が見えると思いました。誰もがいた場所なのに記憶がなく、味わったことがあるのに忘れてしまった感覚。胎内にいた時間をのぞいて下さい」(北村圭介)
text: MIKI SUKA