Lifestyle magazine
for modern family

Lifestyle magazine
for modern family

DATE 2019.08.02

第34回:salvia デザイナー セキユリヲより
フェリーに乗って北海道へ。家族のペースで動くと旅の景色も変わってみえる。

女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。2月からは、人気絵本作家であるtupera tuperaの中川敦子さんとサルビアを主宰するデザイナーのセキユリヲさんによる往復書簡をお届けします。

セキユリヲさんから中川敦子さんへ。

 

──────

 

中川敦子さま

 

このところ雨が多くて、夏の気配が足りません。何より、溜まった洗濯ものが乾かないのが母としてはいちばん困る。去年の今ごろはすでに猛暑で、外にいるのが厳しいくらいだったのに、今年は5月あたりが晴天も多くて暑かったような。せっかくの夏祭りやイベントも曇りや雨だと楽しさ半減ですよね。おひさまカモーン!

 

前回の、娘さんのピアノを弾く姿の写真、凛としてとても素敵でした。自分の世界をぎゅっと詰め込んだ、秘密基地みたいなお部屋もいいね。うちの子たちはまだまだ小さくてやんちゃ盛りなのですが、いつかこんなふうに落ち着いた姿を見られる日がくるのかしら。全然、想像がつかないです。

 

息子くんの自転車デビューおめでとう! 子どもが大きくなったり、2人目以降だったりすると「はじめて」をうっかり見逃したり、上の子より軽く見てしまったりだけど、やっぱり「はじめて」に立ち会え、同じ思いを共有できるのは家族の喜びですよね。家族、それぞれの自転車で街を走り回るtupera家のみんなの様子が目に浮かびます。京都は自転車移動が一番楽しい! 私も前に旅した時にレンタサイクルで走り回りましたよ。

 

我が家の息子はダウン症があって成長は少しゆっくりめで、「はじめて」のよろこびはひとしおです。2歳半を前にして、ついに歩けるようになりました! 座って見えていた世界から立って見える世界への変化は、ものすごく新鮮なんだろうなあ。よちよち歩いては尻もちをつき、新たな景色を心から満喫しているようです。手をいっぱいに広げ、芝生の上を10歩、20歩と歩みを進めている姿には拍手したくなるくらい。歩きはじめが遅いぶん、ハイハイの時期がすごく長くて、ある意味、体幹が鍛えられているかも? 走るようなスピードで高速ハイハイできるのが自慢です。姉と一緒に自主保育の活動に参加して、土の上を全身どろんこになってハイハイで駆けずり回り、お弁当を食べてお腹がいっぱいになったら、座っているうちに眠くなってこっくりこっくりとお昼寝タイムに突入、という幸せな子ども時代を送っています。

 

今年も夏は北海道の家で過ごします。小さな子連れだと荷物はどうしても増えてしまうので、時間に余裕のある夏休みはのんびりフェリーで行くことにしています。必要な着替えやおもちゃ、キャンプ道具などを一式詰めて、ちょっとした引越し状態。茨城の大洗港から苫小牧港まで1泊、そのあと車で数時間、と、なかなかの長旅ですが、大きな手荷物を持って移動するストレスがないので、気分的にはすごく楽です。部屋の丸窓から海を見たり、波でゆらーーーと揺れる大きな共同風呂に入ったり、ビュッフェで美味しいご飯を食べたり、甲板に出て海の風を感じたり、ピンクに染まった朝焼けに感激したり…と楽しいことは盛りだくさん。子どもの遊べるキッズスペースもあるので、飽きることはありません。家族のペースで動くと、同じ距離の旅でも見えてくるものが変わってきますね。子どもがいなかった頃には考えられなかった贅沢な時間の使い方です。

 

前は、出張など仕事での旅では「なるべく早く着くように飛行機や新幹線で」「無駄なくたくさんのものを見たり聞いたりできるよう計画的に」「そこにしかない特別に美味しいものを」と欲張っていました。見るものを全部吸収しようという気持ちが働いて、目がカメラのシャッターみたいになっていて、常にパシャ、パシャという音が聞こえてくるような旅でした。自分のやりたいことをやり切っていたとも言えます。その頃に蓄積した大事なものがあるからこそ今、焦らずにのんびりした時間を楽しめるのかもしれません。人間の一生にはいろんな時代があって、今は小さな子どもとの時間をとことん楽しみたいし、また年を重ねたら、前とは違った自分の時間や夫婦の時間が戻ってくるのだろうと思っています。

 

そうそう、旅での荷造りのコツですね。余分なものは持っていかない、ことですかね。無人島でもない限り、大体のものは現地でも調達できるし、どうしても必要なものはほんの少しだったりします。バスタオルは持っていかずに手ぬぐいにするとか、パジャマは持っていかずに楽な普段着を着て寝るとか、手入れのあまりいらない髪型にしておくとか、化粧品類も最低限のものしか持って行きません。4歳の娘には自分の大きなリュックに着替えや飲み物など自分の持ち物を全部持ってもらうようにしています。それでも2歳の子がいるとオムツとかストローマグとか、持ち物は多くなってしまうけどね。

 

そんなことを考えていたら、そろそろ海外旅行もしてみたくなってきました。
福岡での巡回展や「カタチの森」、すごく面白そう!tupera家のみなさんもよい旅を。
ではまたね。

 

セキユリヲ

──────

 

次回更新は8/16(金)の予定です。絵本作家tupera tuperaの中川敦子さんからのお返事です。