おこさま人生相談室 第26回-小林エリカ

おとなのお悩み

遠距離の彼氏の誕生日を忘れてしまいました。

今回、人生相談にお答えいただくおこさまは、カヤさん9歳です。
教会学校のキャンプで河口湖へ行ったときには、夜には恋バナもしました。何を話したかって?それは秘密。
好きな人は、「今はいないけど、まえはいた」。

おこさま紹介

お名前: カヤさん
年齢: 9歳
生まれた場所: 西新宿
住んでいる場所: 神楽坂と早稲田の間
好きな食べ物: メロンパンとお魚とあとは他にもあるような気がする
嫌いな食べ物: グリンピース、ゴーヤ
これまでの人生で楽しかったこと: 友達と一緒にディズニーランドにいったこと、ジェットコースターに乗ったこと
これまでの人生で哀しかったこと: バスで(チワワの)ぬいぐるみをなくしちゃったこと
得意なこと: 絵を描くこと、あとは工作すること
苦手なこと: 算数
好きなこと: お裁縫、メロンパンを早食いする
将来の夢: 保育園の先生

おこさまをよく知る人からのご紹介のことば:
かやちゃんの頭の中にはファンタジーな世界が広がっているようで、そこにはお気に入りの文房具(うさぎのテープ)が住んでいるらしいです。隣で見ていると、とても不思議に思いますが、すぐに一人の世界に入ることができるのはかやちゃんの特技で、すごいなあと思います。今度、私もかやちゃんの世界に連れて行ってね!
(同級生のみらいさんより)

(カヤさん、以下K)

さて、今回のおとなのお悩みは?

Q 遠距離の彼氏の誕生日を忘れてしまいました。すごく怒っているみたいです。どうすればいいですか?なんで忘れてしまったんでしょう。
(ミジンコさん 25歳 東京都在住)

K それは、うーん、ごめんねって、手紙を書いて送ったりすればいい。

──まずは謝るのが重要ということですね。ところで、なんで忘れてしまったのでしょうか?

K それは、あんまり会ってなかったりしたら、わすれちゃったとか。

──遠距離恋愛だからでしょうか?カヤさんは遠距離恋愛についてはどうお考えですか?

K 自分もそこに引っ越せばいいと思うけど。

──なるほど。自分が彼氏のところに引っ越して遠距離恋愛ではなくすということですね。

K 引っ越せなかったら、その彼氏に来てもらう。

──自分も彼も引っ越すことが困難で、遠距離恋愛が続いてしまう場合にはどうしたらよいのでしょうか。

K 毎日、お手紙を出す。

──お手紙。

K そうすれば、なんか、毎日おんなじところでお話してるみたいだから。

──ちなみに誕生日を忘れられた彼氏は、すごく怒っているそうです。謝っても許してゆるしてくれなかった場合にはどうしたらいいでしょう?

K うーん、自分から別れればいいかな。

──別れる!

K だってそうすれば、その彼氏もさ、やっぱりいいよって言えばよかったなって思って。で、もういっかいお願いって、いうと思う。

──自分の方から別れてしまえば、彼氏が反省して、もう一度やっぱり付き合いたいと言いだすだろう、ということですね。

K そう。

──しかし、別れたままになってしまったら、どうすればいいのでしょう?

K (彼氏が)逃げちゃったら、まだ住所も知ってるし、それに、携帯で電話できると思うから、新しい彼氏をすぐにつくって、それでその写真を送ったりすればいい。

──新しい彼氏をすぐにつくる!そしてその写真を送る!

K そう。

──つまり、反省しなかった彼氏を後悔させるということですね。しかし、それでもダメだったらどうしたらいいでしょう?

K それでもダメだったら、その彼氏と結婚しちゃう。

──新しい彼氏と結婚!

K そうすれば、もう無理だと思うから。

──反省しなかった彼氏は、何が無理だと思うのでしょうか?

K なんか、結婚しちゃったから。結婚式に招待されたら、あのときにいいよって言えばよかったなあって。

──つまり、結婚してしまったために、もう一度やっぱり付き合いたいと言うのも無理、ということですね。そこでやはり、謝られたときにきちんと許してあげればよかったと思うだろう、ということですね。

K そう。

──でもその彼とは、その後いったいどうなってしまうのでしょう?

K 結婚してるから浮気になっちゃうけど、かくれて浮気しちゃってもさ、しょうがなくてつきあった人だからまたすぐ離婚できるしさ。その最初の彼氏とまたデートしたりして、それで、結婚すればいい。

──すぐに離婚もできる!また結婚すればいい!


(カヤさんによる処方箋画)
自分から彼氏をふって、それで彼氏がいいよっていえばよかったなってなって、もう一回付き合う絵

ミジンコさん、いかがでしたか?
まずは謝って、それでもダメだったら、別れるのがいいそうです。
彼氏、あるいは新しい彼氏と、うまくいくとよいですね。
別れるのも、付き合うのも、離婚するのも、結婚するのも、案外簡単なことなのかもしれません。
というわけで、今回の、おこさまからの箴言。


結婚すればいい

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お悩みを随時お待ちしています。おこさまに相談したい方はぜひ、ペンネームと年齢、お住まいの都道府県を記入のうえ、こちらまでお悩みをお送りください。

絵・取材・文
小林エリカ

作家・マンガ家。新刊はシャーロック・ホームズ翻訳家の父の生と死を描いた『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)、はじめての絵本『わたしは しなない おんなのこ』(岩崎書店)。
著書には小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社、第7回鉄犬ヘテロトビア文学賞受賞)や『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、第27回三島賞候補、第151回芥川賞候補)、コミック『光の子ども』1~3巻(リトルモア)などがある。