Lifestyle magazine
for modern family

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DATE 2018.12.14

第21回:山野・アンダーソン・陽子より
夫婦でデートも大切だけれど、一人になれる時間も大切。

女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」と「ハハ」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。

山野・アンダーソン・陽子さんから長島有里枝さんへ。

 

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有里枝さんへ

こんにちは。
お忙しくされている事と思います。私は、日本に帰ってくる飛行機の乾燥で喉を痛めました。その後、立て続けに人に会い、喋りすぎ、ホテルでの乾燥にもやられ、友人の結婚式の三次会で滅多に経験できないかすれた声を生かして、八代亜紀や中村あゆみ、もんたよしのりを歌う羽目になった事が原因でここ3週間も声が潰れています。初めて会う人からは見た目のかっぷくの良さからか「酒やけ」を疑われている毎日です。

息子が4歳になり、飛行機や新幹線の移動もかなり楽になりました。今、京都から東京への新幹線の中で息子を膝に乗せながらこれを書いています。息子は静かに2種類のカレーパンに夢中です。

 

有里枝さんからの質問の、「デートのために子供を誰かに預けることは当たり前か?」ということですが、人によってデートの頻度が違いますが、もちろん、当たり前です。大抵は子供の祖父母や伯父、伯母に頼むことが多いみたいです。友人の中にはデートを1週間に1回すると決めて、ベビーシッターに頼んでいる人もいます。私たちはベビーシッターに頼んだことはないのですが、息子の保育園の友達の親にその子を迎えに行く時に、うちの息子も一緒に連れて帰ってもらって、夕飯を食べて、寝て、次の日に2人一緒に保育園に送ってもらう、ということをここ半年で4回だったかな…試みました。うちの息子は人見知りをあまりしなくて、どこでも宿泊できてしまうので、あるときは「近所のおじいちゃんの家で寝る!」と言ってお風呂の後にピンポーンとやりに行ったこともありました(迷惑になるので、その後、近所の人たちには息子が来たらユーモアを込めて断って欲しいと先に根回しています)。親戚が近くにいない私たちは、息子が喜ぶので彼の友人家族にお願いしているのですが、大抵の家族は親戚が近くに住んでいて私たちに頼む必要がありません。それに今のところ「まだ友達の家にはお泊まりできない」という理由でお願いされることがありません。なので、最近は一方通行で頼みすぎているから、頼みづらいね、とパートナーと話していたところです。もしかしたら今後はベビーシッターを頼むかもしれません。でも、息子に合うベビーシッター選びっていうのが結構大変みたいで、未知の世界です。

 

息子と一緒に日本に1ヶ月半行くので「その時にずっと一緒にいられる!」と言い訳をして、日本へ発つ前の2〜3週間の保育園の送り迎え、夕飯作りや土日のお世話をパートナーにお願いして、仕事に集中することもできました。一人になる時間を取りたい時もパートナーが面倒を見てくれます。もちろんその逆もあります。デートも大切だけど、一人になる時間も大切じゃないですか?別に一人で何か特別なことをしているわけではないのですが、ダラっと一人で家にいたいんです。なんか自分のペースでしたい事が家にいるとありませんか? 前もって予定するのではなく、家にいて、その時に「あ! これしよ!」と、思いつきたいんです。スウェーデンでは家族それぞれが「一人になる時間が欲しい」と言っても誰からも責められることがありません。日本では子供がいて、「自分の時間が欲しいから」という理由で旦那さんに家事や育児を頼むことが難しいと友人が言っていました。ベビーシッターもスウェーデンよりも現実的ではないようですね。私は、スウェーデンから来た未知の生物のような扱いを受けています。本当かな? と疑いたくなるくらい、自分とはあまりにも違う環境に戸惑います。小学生の息子を送り出して、すぐにパートに出て、19時に慌てて帰ってくる。そんなパートナーを見ても、お米すら炊かずにテレビを見ながら待つ旦那さんや4歳児が1人でお風呂に入ってしまったのを見ても「勝手に入っちゃってるよー」と言うだけの旦那さん、作ってもらった朝食に文句を言って食べない旦那さんを目の当たりにして、どうやら本当らしいと感じています。カルチャーショックに好奇心が湧いて、友人に色々と聞いてしまい、スウェーデンとの違いを言ってしまうのですが、「変えられない」「自分が我慢すればいいのだ」という友人になんだかとても酷なことを言っているようで悲しくなります。私が旦那さんに話をすることによって、私の友人と旦那さんが喧嘩…とまでは言わずとも険悪な雰囲気になるのは申し訳ないです。そして、私たちは親として、今後、その環境で育つ子供たちにどう伝えていったらいいのでしょうか? スウェーデンの女性がよく、「女性がお願いしなくてはいけないことではないはずだけど、悔しいけど、この世界を変えるのには男性の理解と協力が必要だ」と言いますが、どのようにお願いすれば協力をうまく得られるのでしょうか? 私は友人にどんなアドバイスをしてあげたらいいのでしょう?

 

先日、有里枝さんに息子を見ていてもらって、有里枝さんの展示を拝見しました。実は、二人が遊んでいる間、有里枝さんの当時の日記に日本の友人たち、そして自分自身が重なり、涙と鼻水が出ました。涙が出て、自分の中にモヤモヤがあるのだと気づかされ、普段は強がって大丈夫なふりをしているのだと実感しました。涙を拭いて1階の映像を見ましたが、もう、これ以上感情が入り切らなくなったので、これはスウェーデンに帰る前にまた観にくることにしようと思いました。

 

有里枝さんとの往復書簡、本当に骨までしみました。有里枝さんからのお手紙のおかげで、二国間で揺れていた自分の子育てに勇気をもらえました。2018年、楽しかったです。これから、もっとたくさん不安なことや不思議なことが出てくると思います。そんな時はまたお手紙を書かせていただいちゃうかもしれません。

 

今まで本当の本当にありがとうございました。そして、これからもどうぞよろしくお願いします。

 

山野アンダーソン陽子

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次回更新は12/28(金)の予定です。写真家の長島有里枝さんからのお返事です。