Lifestyle magazine
for modern family

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DATE 2018.08.01

AUGUST / トケイソウ

花に触れるほど、暮らしは豊かになる。〈The Little Shop of Flowers〉代表であり、自身も母である壱岐ゆかりさんが、季節の花を選び、暮らしに寄り添うカタチを提案。ルールに縛られず、肩の力をすっと抜いて。花をもっと身近に楽しみましょう。

見れば見るほど吸い込まれる
トケイソウの個性

『トケイソウ』は、私が花屋になってから知った花。まだお店をはじめたばかりの頃、市場に一緒に行っていた仲間と『トケイソウ』を見かけると、まるで食虫植物のように吸い込まれそうな個性に惹かれて、必ず仕入れていました。その仲間も、今や千駄ヶ谷の花屋〈vein〉の店主。見るとふと懐かしい気持ちが蘇る、思い出の花なんです。

 

母親になって6年、花屋になって9年。やっとその二つの顔を両立しながら笑顔でいられるようになってきた今。目の前に待ち構えていたハードルは、「自分の引き出しの少なさ」でした。

出産前はとにかく本能的にフットワーク軽く動いていたので、素敵なモノ、本や写真、お洋服…多くの出会いがありました。でも、子育てが始まってからの6年間は、ひたすらフットワークの重い引きこもりに。どうしたら笑顔でいられるのかだけを模索することに必死で、案の定、自分が花屋としての引き出しを蓄える時間はおざなりになってしまいました。そのツケは大きくて、毎回撮影や展示会などの提案をするときは、冷や汗をかきながら必死に引き出しを増やして、本能を開花させ、生み出すリハビリが続いています。

去年はそれが辛く虚しかったけれど、今はそのリハビリが楽しいと感じます。このMilKの連載もそう。今回のテーマが『トケイソウ』に決まってから、どうこの子の表情を切り取るのかを考えて、日本名ならではの時計っぽさを主張したと一枚が欲しいなと思いました。連載の度に毎月テスト受けているようで、ドキドキワクワクします。こういうちょっとした緊張感を積み重ねることで、いつの間にか増える新たな引き出しを夢みて。

 

『トケイソウ』は朝咲いて夕方には閉じてしまう一日花。咲いていない時間は、まるでその個性とパワーを蓄えているかのよう。朝目が覚めると、次にどこが開花しているのかを楽しみに起きる夏。どんなに猛暑でも、思い出の『トケイソウ』が咲いてくれるなら悪くないです。

トケイソウ – PASSION FLOWER

花のカタチが時計の文字盤を連想させ、3つに分裂した雌しべが時計の長針、短針、秒針のように見えることからその名がついた。花を楽しむ種類のほか、パッションフルーツのように果物として利用される種類も存在。花色は白、ピンク、紫、青など。蕾がついたツルを水にさせば、何度でも楽しめる。

 

〈HOW TO POINT〉

花器はどんなものでも好相性。木工作家の小山剛さんの一輪挿しや器に生けると、より一層華やかさに奥深さがプラスされる。一方、ガラスの花瓶に入れるとフェミニンな表情に。その日の気分によって花器を変えるのも『トケイソウ』を楽しむコツ。動きのあるツルを生かしていければ、より存在感が引き立ちます。