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for modern family

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DATE 2017.03.30

ツバル:「温暖化で沈む」と言われた島で出会った子どもたち

写真家・田尾沙織が、世界で4番目に小さい島国「ツバル」で出会った子どもたち。

15 年以上前、温暖化で30 年後に沈むと言われるある国のニュースを耳にした。それは南半球のポリネシアと呼ばれる場所に浮かぶツバルという国。温暖化で沈むとはどういうことだろう。どんな人たちが住んでいてどんな生活があるのだろう。そして、その国の人たちはこのニュースをどう受け止めているのだろうか。そんなことを考えだしたら止まらなくなり、気づけば飛行機に乗り込んでいた。

 

フィジーでプロペラ機に乗り継ぎ、窓から海を見下ろすと、入道雲の隙間に見えたのは真っ青に透き通る海。そこに、ぽっかりとツバルが浮かんでいた。映画『天空の城ラピュタ』の空飛ぶ島を見つけたような気分だった。その小さな島は、一番幅がある場所でも5 分も歩けば横断できてしまうくらい細長く狭かった。道行く人がみんな知り合いだから安全で、子どもたちは夜道でも元気に遊んでいた。

ある日、島の小学校を尋ねると、なぜか先生の子どもしかいない。その理由を尋ねると、雨の日は休みだと言う。窓にはガラスがなく、校舎には電気が通っていないので、窓を閉めると真っ暗になってしまうからだ。晴れた日に再び小学校を訪ねると、子どもたちは、突然の訪問客に興味津々。南国の児童には鮮やかな水色の制服がよく似合っていた。お土産に折り紙や色鉛筆をプレゼントすると、こんな鮮やかな色の紙はなかなか手に入らないと、とてもよろこんでくれた。

 

この旅で出会った人や子どもたちに「この国が沈むって本当だと思う? 」と聞くと、「信じていない」と言う人が大半だった。南国の人は、大らかでポジティブな人が多い。確かに毎日のんびりと海を眺めて、風に吹かれていたら、あまりに平和で、今自分が立っているこの場所が沈むとか温暖化だとかいう話は、まるで遠くの国のことのように思えた。