Lifestyle magazine
for modern family

Lifestyle magazine
for modern family

DATE 2016.09.28

スペイン:カトリックの祭り「ピラール祭」で出会った子どもたち

写真家・田尾沙織が、スペイン最大のカトリックの祭り「ピラール祭」で出会った子どもたち。

ある年の10月、バルセロナからバスで3時間のサラゴサという街に向かった。目的はスペイン最大のカトリックの祭り「ピラール祭」。聖母像に献花するためにスペイン全土から数十万の人が参列するという。祭りの前日に街に到着したが、その街はこれから祭りがあるとは思えないくらい静かな地方都市といった印象だった。

そんな街が、祭りの当日になると、花を手に持って、花に負けないくらい鮮やかなスペイン各地の民族衣装で着飾っている人たちで埋め尽くされた。献花するためには民族衣装を着なくてはいけないという決まりがあるそうだ。人々が何時間も並んで供えた花は、次々と教会の前にある聖母像の下に積まれ、見たことがない巨大な花の山ができあがっていった。

 

民族衣装の種類の豊富さには驚かされた。スペインの衣装といえばフラメンコの衣装くらいしか想像できなかった私の目の前には、見たことがないさまざまな衣装が並んでいた。アラジンを思い出させるもの、長いリボンをたくさんひらひらとたなびかせているもの、中世のお姫様のようなもの。子どもたちも、それぞれの街の民族衣装で着飾っていた。

 

日本人が着物を着ると背筋が伸びるように、スペインの子どもたちも、この特別な日の特別な衣装を着て誇らしげに、そしてちょっとすました表情。みんなに「どこの街から来たの?」と聞いてみると、誇らしげに自分の街の名前を教えてくれる。マドリッド、セビリア、バルセロナ、カナリア諸島というアフリカ大陸の横に位置する島の名前まで挙がる。そして、その地名を聞いてもよく理解していない私に、お供えのために持ってきた特産物を見せて地域の説明までしてくれる。それを聞いているだけで、なんだかスペイン中を旅行して回ったような気分になれた。