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DATE 2015.02.23

メキシコ:『死者の日』に出会った子どもたち

写真家・田尾沙織がメキシコ合衆国の祝祭『死者の日』に出会った子どもたち。

毎年、11月のはじめにメキシコ全土で行われる『死者の日』という祝祭は、いわゆる日本のお盆のようなものだと聞いていた。メキシコシティに到着してみると、街はお盆の厳かな雰囲気というより、飾り物の鮮やかな色が溢れ、地元の人も観光客も仮装をし、ハロウィンのようなお祭り騒ぎだった。伝統的な風習を見てみたいと思い、メキシコ洲の外れにあるミスキックという小さな村を訪ねることにした。

車で2 時間ほどかかってようやく辿り着いた村の入り口では、巨大なガイコツのカップルの人形が出迎えてくれた。中心部に向かって両脇には屋台が軒を連ね、縁日を思わせる高揚感が伝わってきた。屋台をひやかしつつ人の流れに沿って進むと、お墓に囲まれた趣のある教会をみつけた。人々が吸い込まれるように入って行くので、後に続いてみた。すると、墓地にはこれでもかというくらいの花が手向けられ、墓石の上に花びらで文字や絵が描かれていたり、墓石が見えないくらいの花束の山が供えられていたり。夕日に照らされるマリーゴールドの黄金色がキラキラと輝きを放っている。墓地を見学に来るなんて不謹慎かと思ったけれど、すれ違う地元の人たちと和やかに挨拶を交わしたり、写真を撮るように勧めてくれたりして、こちらの気持ちも温かくなった。

どこからか歌声が聴こえてきた。音をたどって墓地の奥へと進むと、かわいいガイコツメイクの4人姉妹が民族衣装を身にまとい歌っていた。どうやら、その4人姉妹の先祖のお墓ではなく、お墓の家族に許可をもらい歌ってあげていたようだ。スペイン語の賛美歌なんだろうか。とても心地よく、周りにいた誰もが聴き入ってしまっていた。一番小さな女の子はお姉ちゃんを見習って歌っていた。歌い終わってお駄賃をもらうと「グラシャス」と笑顔で手を振って去っていく。そして、また違う家族のために歌いはじめた。仮装の一番人気はガイコツで、他にもドラキュラ、デビル、頭にナイフが刺さった人など個性的。小さな子どもでも、カメラを向けると仮装しているキャラクターになりきって表情をつくってすましてみせる。そして写真を撮り終わるとニコっと笑って普通の子どもに戻る。みんなプロの役者顔負けで感心する。いつまで居ても飽きない墓地をゆっくり歩き、周りの人たちと一緒に一番端の壁によじのぼると陽が沈みはじめた。壁の上から見る墓地は空間全体が今日最後の陽に照らされて、お香の煙が朝もやのように浮かび上がっていた。みんなこのままお墓と寄り添って一晩夜を明かす。『死者の日』の夜は、神聖で平和で温かい空気に満ちあふれていた。

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