Lifestyle magazine
for modern family

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DATE 2017.12.21

02 フランス味覚の一週間
子どもの豊かな暮らしのための「食育」

最近「おいしかった!」と感じた食べものは何ですか?人はどんなものを「おいしい」と感じるのでしょう。子どもの豊かな食生活のために、味覚について学ぶコラムシリーズ。全2回にわたりお届けします。五感をフルに使って、親子で食べものを深く味わってみましょう。

フランス味覚の一週間

 レトルトや大量生産品など、工業製品ともいえるような食品が食卓にのぼるようになっていた1990 年当時のフランス。人々の食べものに対する意識が無秩序になっていることを危惧した、ワイン醸造学者であるジャック・ピュゼ氏の考えのもと、ジャーナリストで料理評論家のジャン=リュック・プティルノー氏とパリのシェフたちが一緒になり、「味覚の一週間」の前身「味覚の一日」は生まれました。共働き夫婦の増加や、塾通いなどで子どもたちが多忙になってしまったことにより、食文化の乱れが深刻になっていたことから、1992 年には「味覚の一週間」となり、1週間にわたって味覚教育に関するさまざまな企画が開催されるようになったのです。この「味覚の一週間」は8割以上のフランス人に認知されいてる国民的イベントです。

 味覚の一週間で行われる味覚の教育の基本構成は5つ。①五感の働きと5つの基本の味覚(甘み、うま味、塩味、酸味、苦み)を教えること ②五感で味わうことによって広がる食の豊かさを教えること③食品の産地や生産方法についての情報を伝えること ④仲間と「おいしさ」を共有することの楽しさを教えること ⑤講師自身の経験や料理に対する想いを伝え「食」に興味をもつきっかけを作ること、です。講師として一流シェフや生産者が学校に赴き、毎年約150 万人の児童(対象は8〜10 歳)に味覚の授業を行っています。

 まずは基本の味を感じてもらうためカカオの濃度が高いチョコレート、塩、ショートケーキ、グレープフルーツなどを実際に味わってもらい、基本の味とそれらの味の違いを学ばせます。また、すりおろしたりんご、角切りりんご、りんごジュース、乾燥させたりんごを順に口に入れて同じ食材でも調理法次第で触感が異なることを学ばせたり、同じくらいの大きさにカットされた野菜や果物を鼻をつまんで食べさせて、今食べているものが何か当てさせたりと、五感をフルに使って味わう練習をさせるのです。鼻をつまんだ状態で口に食べものを入れると味がしないことから「普段は嗅覚を使って味わっているんだ」と、子どもは身をもって覚えていくのです。実際に舌で味わったあとは、児童同士で感想を述べ合います。前述の通り、自分が感じた感覚と人が感じた感覚は異なることがあると知ることで多様性を学んでいきます。また、食べる楽しみに欠かせない表現力を研ぎすませます。