Lifestyle magazine
for modern family

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DATE 2018.04.13

第5回 山野・アンダーソン・陽子より
「朝食への思いが強い旦那と夕食への思いが強い私」

女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」と「ハハ」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。

山野・アンダーソン・陽子さんから長島有里枝さんへ。

 

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有里枝さんへ

 

今、朝の9時すぎです。3月の最終日曜日からはサマータイムになりました。まだまだ雪も降り、気温もマイナスになりますが、気分だけは確実に春めいています。先々週に行ったパリで買ってきた喉に効くお茶を飲みながらこれを書いています。子供の風邪が私にもうつりそうな気配が喉にきていまして、退治しにかかっています。

 

出張に出て、たった数日息子を見なかっただけで、あれ?  この人、こんなに喋れたかしら? と、つい先日も思いました。「個」が形成されてますます楽しくなる反面、こちらだけなんだか少し取り残されたような気分にもなります。有里枝さんみたいに、息子と時間を忘れて夢中になっていろんなことを話せる関係になれたらいいなぁ〜。それってすごく素敵な子育てですね! そのためにも私自身、きちんと時間をかけてたくさんのことを経験して、いろいろな知識を柔らかく持っていたいです。

 

私のパートナーは家事をなんでもします。例えば、息子と一緒に私よりも早く起きて家族3人分の朝食を作ります。これは、彼が私よりも朝食への思いが強く何かとうるさいので誰に文句言われることもなく、彼が好きなものを好きなように好きなだけ道具を使って作れるという特権です。食べ終わった食器ももれなく洗ってくれるので、朝からキッチン道具が流しに山盛りになっていても、私はイライラせずのんびり朝食を食べることができます。滅多にありませんが、彼が朝食を必要としないときは見事に何も作っていませんので、私が自分と息子の分を作ります。悪い気はしません。夕飯は、私が帰宅途中に生春巻きの気分になっているのに、家に着いてパートナーがヘラジカを煮込んでいたりすると「あ〜、夕飯特権取られた〜」と悔しくなりますので、夕飯までに帰ることができないときだけ準備をお願いする、ということにしています。唯一、彼がやらないのが息子の爪切りです。多分、自分の息子に爪があることに気づいていないのだと思います(3年以上も!)。

 

うちに限らず、どの家庭も家事は生きる上で必要なことで、男女関係なく自分でするものだという感覚です。自分のすることで他の人の分も一緒にやってあげられることはやってあげればいいという考えなのだと思います。私は洗濯物の仕分けとたたむのが好きなので、これだけは譲れず、彼も、じゃあ、その代わりにランドリーに持って行って洗濯して、乾燥させるまではやるよ、と分担することもあります。面倒くさいことと捉えるのではなく、誰もが当たり前にやることと捉えていると思います。スウェーデンではすでに私たちの親の世代で、専業主婦・主夫だったという人がいなくて、皆、男女関係なく仕事をして子供を持っていますので、その中でできる限りパートナー同士が平等でいられるように助け合います。育児も、寝かしつけの絵本の読み聞かせのような毎日の小さなことであれば、1日交代にしたりしますし、産休・育休といった社会のシステムにのっとったことであれば、子供にかける時間や仕事量がきちんと数字にして平等にできる社会のシステムもあります。ちなみに、家事と育児は全くの別物なので、産休・育休を取っているからといって、家事を全部しなくてはいけないなんてまったくないです。家事はもれなくみんなについてきます。産休、育休中はパートナーが仕事に出ている(例えば8時間の)間は育児が仕事の代わりとなります。それ以外は二人で協力します。パートナーが残業で遅くなれば、その分の時間と仕事分を埋め合わせしてもらいます。(だいたいですけどね。)

 

仕事に関しては、子供が出来てからは、旦那とスケジュールを照らし合わせることが多くなったことと、オンとオフをなんとなく分けるようになったことが一番の違いですね。そのことによって、今やらなければいけないことが明確になって、ちょっとだけ無感情になって、ちょっとだけ使命感が強くなった気がします。

それに、保育園が土日祝日は休みなので、きちんとスウェーデンのカレンダーにのっとって仕事をするようにもなりました。イースター休みもどうしていいか分からず、友達に連絡しまくりましたが、あんなにキリストの復活に興味のなかった友人も子供ができたら実家で祝うために帰ってしまいます。どこも休みだし、親戚がいない外国人と行事に興味のないスウェーデン人にとって、ジーザスネタは本当に暇です。でも、暇が人に創作意欲を沸き立たせるらしいので、暇にもてあそばれてみます。

 

有里枝さんは、行事に敏感ですか? 息子さんがまだ小さい時は仕事や行事、どのようにしていたのでしょう? 今、息子さんが大きくなって、変化はありますか?

 

山野陽子

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次回更新は4/27(金)の予定です。写真家の長島有里枝さんからのお返事です。